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「ゴッホを探しにヌエネンに・・・」

オランダ南部の街アイントホーヘンを北東へ向け出発したバスは長閑な田園風景を
抜け30分ほどで、Nuenen(ヌエネンまたはニュネン)に到着しました。

小さな町で周辺を住宅街が取り囲んでいます。
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バス停からは直ぐにこれまた小さな商店街が始まり穏やかな雰囲気です。
建物はレンガ作りのファサードで統一されていて綺麗な佇まいです。
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それに中央をはしる車道も良く整備されているし、歩道の外灯には花々が飾られていて良い雰囲気です。

店頭も綺麗に飾られ、ゴミ一つ落ちていない清潔ぶりは好感が持てます。
「頑張ってこの町を綺麗に保つのだ!」との住民の心意気が伝わって来そうです。

さて、なぜこの町に来たのかと云うと、ここはゴッホのお父さん(牧師)の新しい赴任先で、
ハーグで本格的に絵の修業を初めていたゴッホもここへ帰り2年ほど過ごしたからです。

ハーグでは面倒見の良いモーヴと云う画家に付いて教わっていたのですが、
初心者のゴッホに基礎である石膏像のデッサンを描く事を勧めていたにも関わらず、
もっぱらモデルを描くのに固執し続け、挙句の果てにはその身重のモデルと生活を始める有様でした。

意見の対立も絶えず経済的にも困窮を極めていたゴッホは、言わば失意のうちにヌエネンにやって来たのでした。

それでも風景を手始めに描き、特に力を入れたのが農夫たちの肖像でした。

これには尊敬するミレーの影響を強く受けているようです。

やはり牧師の息子だったミレーからは生涯に渡りそのモチーフやバックグラウンドに
ある宗教的な精神性の影響を受けています。

事実ここでは何と60点ほどと言う膨大な数の農民を描き、
その集大成としての「ジャガイモを食べる人々」を描いています。
それも習作を含め3枚も描いています。
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「ジャガイモを掘ったその手で、今はジャガイモを食べている。・・・顔も土に汚れた顔に表現したかった。」
ゴッホはこの貧しい農民達に対して、労働への尊厳を感じていたのでしょう。

これはミレーの「晩鐘」にも通じる精神で、ある種の聖画と捕らえることができます。

さて、商店街を抜けると中央に池のある公園にでますが、この角にはスケッチ・ブックを手にしたゴッホ像が立っています。
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この公園も良く整備がされていて思わず散策をしてみたくなります。
この角でも「刈り込んだ柳のある風景」を描いています。
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商店街は右側に折れ連なっています。
歩を進めると“Vincentre”と書かれた看板が垂れ下がった館が現れました。
これがゴッホ・ミュージアムになっているようです。
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早速に入場しましたが、なんとこんな田舎のミュージアムにも関わらず日本語のオーディオ・ガイドがありました。

展示は彼の生い立ちから始まり、学校やら絵の修業時代の年表が展示されていますが、展示方法は中々お洒落です。
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彼の母親や弟テオなどの肖像写真が額縁に納まっていて何かを喋っています。
例のオーディオ・ガイドを近づけると聞こえるシステムになっていました。
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2階では「ジャガイモを食べる人々」をテーマに、この時代の農家の暮らしぶりや、
室内もその当時の雰囲気で再現していました。
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ミュージアムを後にし暫くすると、ちょっとしたロータリーへ出ました。
ここには古い茅葺屋根の家が残っていて、ここでも一枚描いているようです。
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更に歩を進めると今度は教会の跡地へと出ました。
この教会の塔を何枚も描いていますが、少々手入れがされたとは言え、未だ現存していました。 
(実は今回の旅は、この教会跡が見たかったのがメインでした。)
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更に町の外へと散策を続けましたが、この辺の住宅も綺麗に整備されていて、
「オ~ォ」と感心することしきりでした。

ゴッホ好みの小川に沿って歩いていると遠くに風車も現れました。
オランダでも数が少なくなってきましたが、風車をみるとやはりオランダらしい景色だなぁと感じます。
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この町にはそれほど期待することもなくやって来ましたが中々素敵な所で大いに楽しむ事ができました。
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さあ、今夜の宿場、オッテルローの村へと向かうことにしました。


by Atelier Onuki
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by Atelier-Onuki | 2016-10-13 00:38 | オランダ | Trackback | Comments(0)
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