カテゴリ:イタリア( 11 )

「ドロミテで」・・・

先週はコラムでも取り上げたドロミテへスキーに行って来ました。

目は未だ二重に見えているので心配だったのですが、何とか事故も無く滑ることができました。

ミュンヘンからボローニャに向かう列車はシンシンと雪が降り注ぐオーストリーを抜け、インスブルックからは喘ぎながら登っていくようですが、
車窓からの眺めは木々に一杯雪が積もっていて綺麗な光景です。
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ブレンナー峠に着く頃には1mほどの積雪でした。
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このブレンナーでは運転手が交代するため15分ほど停車をするので、いつもホームへ降りて一服つけています。

ミュンヘンから乗務している車掌さんも降りてきて、これから下りなので一両一両のブレーキの位置を前後入れ替えています。
この人が年配ながらお茶目な人で、対抗するホームに泊まっている列車の車掌目がけて雪を投げつけたりとハシャイデいます。

投げつけられた車掌もゲラゲラ笑っていてノンビリした微笑ましい光景です。
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そんな雪景色もブレンナーを出発し南の斜面を下り出すと、
次第に雪は減り始めました。

乗換駅のBrixsenに着く頃にはベタベタした雪が、わずかに残っているだけでした。
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バスに乗り換え目的地の“Ortisei”に着いた頃には残雪が辛うじてへばり付いているだけでした。
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この辺のスキー・エリアは普段でも雪不足のことが多いのですが今シーズンは特に少なく
11月末にちょっとだけ降って以降は晴天続きで、牧草地は草がむき出しの状況です。

コースは辛うじて人工雪を降らせているだけで、ジャリジャリの状態です。

それでもゲレンデ整備は夜遅くまで頑張っていて、朝の段階ではラッセル車が固めた真新しい線がクッキリと付いていて気持ちよく滑れます。

でも、お昼くらいにはそれもスキーやボードによって固められカチカチの状態、
夕方には小さな氷の塊がゴロゴロしていて気をつけなければ引っ掛かってしまいそうです。

目も片目でないと正常に見えない上、距離感がつかみ辛く苦戦をします。

スピードが出そうなところでは先の斜面がどうなっているのか予測するのが難しく、
なるべく上手そうな人が滑っている跡をつけてそのままの格好を真似ていました。

ここのハイライトであるセラ・ロンダも天候の影響で何日かは封鎖されていました。

まぁ気を取り直して地元のスキー場で我慢していましたが、
目が不調の私には返って良かったかもしれません。

そこは“Seiser Alm“といってヨーロッパ最大の高原だそうで、
長閑な牧草地が広がっています。
山々を背景に景色はパァ~と広がり、
冬場でもハイキングを楽しむ人や馬車ソリがノンビリと走っていたりと穏やかな風景です。
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スキーのコースも概ね穏やかで安心して滑れます。

それでも一番奥まで行って帰るには一日見ておかなければならないほど広いエリアです。
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Ortiseiから長いゴンドラに揺られ15分ほどで出発点に到着します。

ここの頂上駅には大きなレストランがあって何時もこのテラスで一休み・・・
エスプレッソ・マッキャートで気合を入れてからスタートです。
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このスタート地点が曲者でちょっとキツメ傾斜の小道から滑り出さなければなりません。
しかも結構長い小道で、途中からは傾斜が穏やかになるのですが、
初めての人は先がどうなっているのか分からないので皆さん慎重に滑り出しています。
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昨年はここに“Caravinieri“の制服を身を纏った一団が集結していて、
「ほぅ~これからパトロールか、それとも訓練か?」と、
この優秀な国家憲兵の精鋭部隊に尊敬の眼差しで眺めていました。

ところがどうしたことでしょうか・・・中々滑り出しません。

やっと隊長らしき人に従って数人滑り出しましたが、なんとまぁ酷いものです。

最後尾の女性隊員などは最初のひと滑りで尻餅をついている有様です。

どこかスキーとは縁の無い地方から配属された隊員たちの初訓練だったのでしょうか。・・・
その優秀なイメージとは正反対の様相に思わず微笑んでしまったことを思い出していました。

そういう私も今回は片目滑走、・・・「ああ~なんて酷い格好だろう!」と思いながら
この小道をガリガリと無理やり曲がりながら小刻みに進んで行きました。

何とか中腹にあるヒュッテ“Sanon”に到達した頃にはすっかり疲れていました。
もう思わず一休み・・・眺めも良いし暫く休んでいました。
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それにここのコースは練習には打ってつけの穏やかなショート・コースなので
暫く調子を取り戻すべく何本か滑る事にしました。

二日目からはやっと片目での滑り方も身に付いてきたので、更に奥へと進みました。
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一番奥にある“Florian”と云う頂上を目指しました。

ここでは“Sasso Lungo”や“Sasso Piatto”など3000m級の山々が間近に迫り迫力があります。
反対側にはパァ~と広がったパノラマも楽しむことができて絶景です。
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一般のコースとは別に裏側を通るソリ用のルートがありますが、
このコースはさすがそり用だけあって緩やかです。

暫く傾斜を滑ったあとは小川にそってダラダラとした行程です。

それにもう一つのお目当ては途中にある“Tirler”というヒュッテで昼食を取ることでした。
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ここへは昨年も来たのですが、とても美味しかったので後から調べた処、
このエリアで人気No.1のヒュッテでホテルも併設されています。

お天気が良かったこともあって、テラスには大勢のお客が座っていました。
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この辺のエリアは他でもそうなのですが、
純粋のイタリアンではなく、むしろチロル料理に近い感じです。
パスタ料理はあるのですが、ピザやラザーニャといった典型的なイタリア料理は見かけません。

ポルチーニの入ったキノコのタリアテッレ(キシメン)を注文しましたが、
20分以上待たされ「これは期待できるな~」とジット空腹を堪えていました。

出てきたお皿は見るからに美味しそうです。
麺も自家製で程よい茹で具合・・・キノコ・ソースもタップリで良く麺に絡みつきます。

それにここの面白いのは、近くに“魔女の泉”と言われる源泉があって、
ミネラル・ウォーターを頼むと「ビン入りか・・・それとも泉の方か?」と訪ねられます。

当然面白いので「泉の方!」と頼むのですが、
ガス入りを頼むとちゃんと炭酸を入れてくれます。
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もう一つ、気になるヒュッテがありました。

それはこのエリアではないのですが、“Seceda”から“Ortisei”へのダウン・ヒルの途中、
“Anna渓谷”にあるヒュッテで何時も焚き火をしているので気になっていました。

昨年、初めて食した処、ここも実に美味しかったので今回もよってみました。

ここも大勢の人たちが来ています。
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寒かったので“グラーシュ・スープ”を頼みました。
このドイツやオーストリアの何処にでもあるハンガリー風・スープなのですが、
この辺では味は別格に美味しく、円やかさや深みが増しています。

コースを挟んで向かい側のモミの木には未だクリスマスの赤い玉が取り付けられていますが、
その横を見ると“Hot”と書かれた赤いソファがズラリを並んでいます。
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「本当に“Hot”なのだろうか?」と、食後に試してみましたが、
ソファには熱線が仕込まれているようで暖かく、
あまりの気持ちの良さに暫く立ち上がれないでいました。
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余裕のある粋な配慮に嬉しくなってきました。

最終日に名残惜しくゴンドラ駅で休憩していると、あるスキー教室も最終日のようで、7~8人のグループがテーブルを囲んで座っていました。

教官からのリキュールの差し入れで乾杯をしています。

おもむろに大きなビニール袋から取り出したのは、なんとビーチ・サンダル。・・・
一人一人に「夏のビーチで又僕の事を思い出してね!」と渡していました。
ここでも又微笑ましい光景に温まりました。
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まぁ今回は雪も少なく、目も不調だったので遠出やセラ・ロンダは出来ませんでしたが、
早く目を治して次回はまた、あの不思議空間のロング・コースへ行って見たいものです。

帰ってきて未だ3日ですが、もうウズウズとしてきました。


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by Atelier-Onuki | 2017-01-26 21:48 | イタリア | Trackback | Comments(0)

「引き続きドロミテにて」

このドロミテ・スキーのハイライトは何といっても”Sellaronda”と云って、ズボッと隆起し巨大UFOのような形をしたセラ山脈を一日かけて一周することでしょう。
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左右両方のコースをその日の気分で選んでスタートするのですが、全長約45kmのコースを登ったり下ったりとちょっと気合が入る一日となります。

案内には右回りの方がアクティヴだと書かれていますが、まぁどちらも似たり寄ったりの難易度です。

昔は左回りだとCorvaraから標高2300mもあるDantercepiesの尾根までオ股に挟んで自力で登っていくリフトを3本も乗り継ぎ、
距離も長かったので苦労をしましたが、今ではゴンドラが新設され快適になりました。

まぁちょっと苦労を要する行程ですが、其々特徴の異なる絶景が各所に散らばっていて、その景色を眺めるだけでも回る価値は充分あります。

そんなコースも毎年チョコチョコ変更されていたり、新しいリフトやコースが増えていたりと油断はできません。

そんな中、3年ほど前に回った折、途中のPasso Campolongoで新しいリフトを発見しました。
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この辺は私が宿泊していた地域から一番遠い所で、まず越えることが出来ない山脈が迫っていて、この向こうはコルチナ・ダンペンツォへとつながっています。
コルチナから登ることができるトファーナ山も雪の冠をつけて迫っています。
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初物の好きの私にとって行かない手はありません。
迷わずリストに乗り込みワクワクしながら3本乗り継ぐと、見知らぬ山脈が迫り景色は一層迫力を増してきました。
頂上に着くと周りは氷河で白一色の不思議な光景が広がっていて感動物でした。

それ以来、私はここを不思議空間と勝手に名付けました。
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ここから引き続き帰り道を回るべくCorvaraを目指して滑り出しましたが途中でこれは間違ったコースを取っていることに気付き、
無理やり脇道を横切って何とかCorvaraへと辿りつきました。

ただ、「こんな不思議な風景を又見たい!」と思うのは人情で、今回は特にこのへき地を目指して出発しました。

山はPralongiaというらしく今回はちゃんと名前を確かめる余裕がありました。

山小屋の近くにはヘリコプターが待機しています。
よく確かめてみるとハハッ~これはArmentarolaまで運んでくれるヘリでした。
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噂には聞いたことがあるのですが、ここにはリフトが付いていないのでコルチナ側からはヘリか馬ソリに引かれて登ってくるそうです。
唯、コースの全長が11kmと世界最長で、訪れる人も少なく素晴らしいコースだと聞いていました。

まぁこのコースだとコルチナにしか下れないので帰ってくることが出来ません。

まぁ諦めてダラダラと下りだしました。
ところが余程この間違いのコースに惹かれているのか又同じコースを辿っていました。
ここで又初物の好きの悪い癖が出て、こうなったらトコトン行って見ることにしました。
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地図で確かめると延々とブルーのコースが続きこの地域の一番端まで降りて行けます。
後で気が付いたのですが、このArmetaraola終着点の直ぐ横まで行っていました。
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まあ、もう帰りを急いでいたし今回は行かず宿題を残しましたが、このブルー・コースはとても滑りやすく、
長々と続く林間を気持ちよく滑る事ができました。

これは又再挑戦する価値が充分あります。

1週間の滞在はアット云う間に過ぎ後ろ髪を引かれながらバスに乗り込みました。

来た時の同じPonte Gardenaでローカル線に乗り継ぎBrixenからミュンヘン行きのICに乗り換えです。
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待ち時間が少しあったので何時ものように駅構内のCaféで一休みするのですが、このCaféには5・6年前から若い中国人夫妻が切り盛りしています。

まぁドイツでも中国人やトルコ人が経営するキオスクなども多いのですが、彼らのバイタリティには何時も感心してみています。

ここでも人懐こく対応してくれる彼らに心のなかで「頑張ってね~」と応援しています。

ホームへ出て列車を待っていましたが、フト待合所の裏に張られたポスターを見ると、
それは、この近くでマーラー縁の町Toblach (伊Dobbiaco)での音楽祭のポスターでした。
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なんとそこにはMaurizio Pollini に Ute Lemper の名前も載っています。

あんな田舎なのに錚々たる演奏家が出演しているようです。

まぁマーラーはピアノ曲を書いていないのでポリーニが何を演奏したのか分かりませんが、又一つ気になる催しを発見してしまいました。



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by Atelier-Onuki | 2016-01-30 03:42 | イタリア | Trackback | Comments(0)

「ドロミテ」にて

先々週はミュンヘンで所要があって、そのついでに更に南下しイタリアへと向かいました。
目指すはドロミテ山系の一番北に位置する ”Val Gardina’ ガルディナ渓谷の
“St.Ulrich”(伊名Ortisei)と云う町でこの界隈では比較的大きな町です。
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ここはドイツからは一番近いので去年まで行っていた “Val di Fassa“よりも一時間ほど早く到着します。

ミュンヘンを出発したボローニャ行きの列車はシーズン・オフのせいか空いていて快適です。
雪景色のオーストリアを抜け時刻通りイタリアとの国境ブレンナーに到着しました。

ここで牽引車や乗務員の交代があるので14分間の停車をします。
一息入れるにはちょうど良いタイミングで何時も通りホームに下りて一服つけていました。

ここでは何時もドイツ側の車掌とイタリア側の女性車掌が抱擁し会って
賑やかな挨拶をするのを微笑ましく眺めています。

いざ出発が迫って来たので車内に引き返して座っていると、
先ほどの女性車掌の声で「テクニカルな問題が発生し、この列車はキャンセルされます。・・・ 
1番線に停車中のボローニャ行きに乗り換えて下さい。」と・・・これ以上,何の説明もありません。

仕方なく1番線へと向かいましたが、食堂車には良く事情が理解できなかった人たちが
ノンビリと食事中で「大丈夫かな~」と心配になるほどでした。

結局は30分ほど待たされて、やっとこのローカル線は動き出しました。

こうなったら予定変更で途中のローカル線しか止まらない“Ponte Gardena”で下車、
ここからバスに乗り換えましたが、結局は最短コースとなり結果オーライとなりました。

さて今回この町にしたのは久しぶりにあの広大な高原の“Seiser Alm”に行きたかったからです。
ここから出ているゴンドラに乗れば15分ほどで到着、一面に広がる絶景を眺めることができます。
ゴンドラ駅に併設されているレストランで暫し景色を楽しみながらエスプレッソ・マッキャートで一息入れていました。
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それにここのコースはダダッ広いので厳しい傾斜は一箇所しかなく、あとはノンビリと滑走を楽しむだけです。
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そのくせ複雑に絡み合ったコースはたくさんあって一日で周り切るには相当気合を入れなくてはなりません。

さていよいよリフトを4・5本乗り継いで一番遠い所にある“Zallinger”と言う山を目指しました。

出発点の小道ルートに行くと、なんと格好良いスキー用の制服に身を固めた20人ほどの集団が次から次からと現れました。
背中には“Carabinieri”と書かれています。
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イタリア警察には何種類かの警察官に分かれているそうですが、
一般的な地方警官の“Porizia”よりも精鋭部隊である彼らは国家憲兵で軍隊の一部隊でもあるそうです。

そう云えば大昔、○ちゃんご一家と回っている時に、最後の難所Arabba“の急斜面で
ご子息がピタッと立ち止まってしまって身動き一つ出来なくなりました。

目に一杯涙をため言葉も出ません、・・・ 日は暮れてくるし、雪は勢い良く降って来るはで、どうしようもない状況の中・・・
上の方から出現した数人の影はパトロール中の“Carabinieri”の人たちでした。

この最悪の条件下に救いの手・・・大きなご子息をヒョイと抱っこして、あの険しい急斜面をスイスイと滑り降りて行きました。

まぁその格好良かったこと・・・いまでも鮮明に覚えています。

その“Carabinieri”の人たちが今、目前に並んでいます。
「オオ~これから見回りなのか、特殊な訓練をするのだろうか・・・」と尊敬の眼差しで眺めていました。

ところがどうしたことでしょうか・・・中々滑り出しません。
説明し終えた教官らしきCarabinieriが滑り出しましたが、
その後を躊躇しながらパラパラとヘッピリ腰のボーゲンでズルズルと付いていく人、
全く付いていけない人と区々です。

最後尾にいた女性警官など滑りだしていきなり尻餅を付いているような状況です。

「ハハッ~これはスキー初心者のCarabinieriで訓練を受けているようです。」
どこか違う地方から配属されてきたのでしょうか・・・
普段凛々しいCarabinieriからは想像も付かない光景は、そのギャップの大きさに思わず微笑んでしまいました。

その後、私自身は一番遠い山まで登ったり下ったりしながら充分楽しんで、
お昼を取るべく帰りのコースを辿っていましたが、何と途中の未だ半分くらいの所で依然として訓練中でした。
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さて、もう一つ楽しみにしていたのは谷を挟んで反対側の山“Seceda”からSt.Ulrichまでのダウンヒルです。

ここへもゴンドラとロープウェイを乗り継いで2500mの高さまで登ることができます。
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ロープウェイは厳しい山間をグイグイ登って行きコリャ厳しいコースだろうなと思うのですが、
滑ってみると意外と穏やかで厳しい所は2・3箇所位・・・それに全長10.5kmありますから、中々滑り応えがあります。
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ロープウェイの中継地点までの前半は気を入れて滑らなければなりませんが、
これを過ぎると穏やかな林間コースで、さらに後半は景色を眺めてノンビリ滑れるほどの緩い斜面です。

途中の山小屋では何時も焚き火をしていて、ホッと暖かい気持ちになれます。
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ここでお昼を取りましたが、まぁお味も抜群に美味しく大満足しました。
この界隈は何処でも美味しいのですが、この山小屋は特に星印ものでした。
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何回かダウンヒルをしてゴンドラ乗り場で一服つけて休憩していると、
とあるスキー教官が「ビタミン・・・ビタミン!」と一服しながらニコヤカに近づいて来ました。

すかさず「俺は酸素補給中!」と返すと、引き続き親しく話しかけて来ました。

このドロミテ界隈では余り日本人を見かけないので珍しいのかと思い「日本人は余りこないでしょ!」と尋ねると、
イヤイヤ「夏のハイキングにはたくさん来るよ!・・・
俺は何回も日本人グループのガイドをしたことがあるよ!」と云っていました。

インターナショナルのコーチ交流もあるそうで、ニセコや白馬にも行ったことがあるそうです。
これが縁だったのか、その後この教官(マエストロ)とは何度か偶然見かけることになりました。

スキーも年々、体力が持つか心配していますがイザ滑ってみると、
初日以外は攣ったりすることもなく慣れるもので、結局は滑り足りなく感じるほどです。

それに今回はシーズン・オフと云う事もあってお年寄りのスキー客が多かった事・・・
1月第2週辺りは、ちょうど仕事も学校も始まったばかりなので家族連れは先ずいないし、独身でも会社勤めは来られません。

そんな空いているシーズンを狙って時間が自由になる私を含めた年配がやってくるのでしょう。・・・
事実、宿泊代やスキー・パスなどハイ・シーズンからするとグット割安になりますし、
その上65歳以上の割引制度の恩恵も初めて受けることができました。

唯、最近のオ婆さんには気を付けないといけません。

その最新のモードに身を包んだ派手な後ろ姿から、まるで二十歳くらいの娘さんかと思いきや、
まぁお幾つでしょうか・・・歩くのもタドタドシイ方々もおられます。

ヘルメットにサングラスを装着し殆ど顔が隠れていますので、よ~く気をつけてから近づかないと行けません。
「まぁ別に近づかんでもヨロシイ!」のですが・・・
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帰ってきて未だ1週間も経っていないのですが、もうウズウズしてきて、
「また行きたいなぁ~」と毎日ここのWebcamをヨダレをたらしながら眺めています。・・・


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by Atelier-Onuki | 2016-01-29 03:06 | イタリア | Trackback | Comments(0)

「雪のないスキー場・・・そしてドカ雪のミュンヘン」

今年はズーットきついプロジェクトを抱えていて、精神的にも体力的にもストレスが溜まって限界に近づいていました。

そこへやっとクリスマス休暇、もうパッと気分転換、思い切ってスキーに出かけました。

行き先は大好きなドロミテです。

初めてここを訪れてからすっかり気に入ってしまったので、
もう十数年来スキーはドロミテと決めています。

それは何よりも先ず景色が綺麗なことです。
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侵食を繰り返した山々は不思議な形をしていて何度見ても飽きる事がありません。
それに全長1200kmというコースは変化に富んでいて、一生掛かっても滑りきることができません。

スキー場にしては大抵お天気が良いし、人々は優しくて親切だし、
食事はイタリアの中でも美味しく、それは山小屋でもちゃんと作っています。
その上に物価が安いと来て、もう至れり尽くせり何も云う事がありません。

ミュンヘンを出た列車は2時間半ほどでブレンナー峠に、ここを出ると俄かに賑やかな車内となります。
こんな辺境の峠なのに、そこそこのイタリア人が乗り込んできているようで、
眠っていても、「ああイタリアに入ったのだ!」と分かるほどです。
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乗務員も入れ替わり車内放送も先程までとは逆の順番で、イタリア語、英語、ドイツ語の順で流れます。

この先は木々や建物も変化しだし、ブドウ畑が点在し始め、
長いトンネルを二つ抜ければ間もなくボルツァーノに到着です。

ここからはバスで1時間半ほど景勝路線を走ると目的地に到着です。

今年は暖冬だったので、この辺には雪がなく近場のスキー場は軒並みCloseです。

それでもスキーバスに乗ってCampitelloや Canazeiからロープ・ウェイに乗れば
標高2000m級まで行くことができ、この辺だとさすがに雪が積もっています。
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大好きなセラ峠から広大な景色を楽しみながらダラダラと下り、気分は段々と晴れていくようです。
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それにここの目玉は何と云っても“Sella Ronda”と云われるセラ山系を一周するコースです。

これは巨大な岩の塊が隆起したセラ山脈の、全長約45kmほどのコースを一日掛けて回るのですが、
其々の地域やコースの雰囲気が変化に富んでいて、その景色を楽しむだけでも価値があります。

スタート地点は様々、滞在している近い所からスタートし、右回りはオレンジ、
左回りはグリーンの表示を辿って行けばそれほど迷うことなく一周することができます。

コースは概ね赤で中級程度でも大丈夫ですが、左右其々の一箇所だけ中々厳しい傾斜があります。

10年ほど前に○ちゃんご一家と行った時も最後の所で、
ご子息がビタッと止まって身動きできなくなった所、Arrabaの先あたりは標高も高く厳しいコースです。
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それと時間に余裕があったらPordoi峠からロープ・ウェイに乗ってSass Pordoiに登るのも楽しみです。
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ここは巨大岩盤の上で標高も3000m近くあり、何と行ってもその荒涼とした光景は
宇宙を想像させるほどで一見の価値があります。
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まぁ今年は滞在中ずっと晴天だったので雪が少なくカリカリの所も多かったのですが、
それでも気持ちよく滑った後は爽快な気分で、種類の違う疲れすら心地よく感じられます。

名残を惜しみながらミュンヘンに戻って来たら、ここは雪、
それから毎日雪が降り続きもう随分積もりました。
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ドロミテは相変わらずお天気が良いようで、少し雪を分けて上げたい位です。


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by Atelier-Onuki | 2014-12-31 23:54 | イタリア | Trackback | Comments(0)

「師走はやっぱり・・・」

皆様しばらくご無沙汰しておりました。

11月末から出たり入ったりで、ミュンヘンには殆ど居ませんでした。

12月頭は所用でローマへ出かけ、帰って来た翌日にはデュッセルドルフとアーヘンへ仕事で出向いて昨夜やっと帰って来た処です。

明日はまた会社のクリスマス・パーティがフランクフルトであるので、
荷を解いてはまた詰めなおすと云う体力勝負の日々を送っています。

実はローマへ行ったのは、ムーティで「アイーダ」を聴く予定をしていました。
彼は最近シカゴの音楽監督になったので、ヨーロッパでの公演がめっきり減った上に、
オペラを振る機会がほとんどありませんでした。

ところが、ここ数年予算難が膨らみ観客が激減しているローマの歌劇場を救わんとばかり、
自ら芸術監督を申し入れその芸術的質を向上させるべくテコ入れがされていました。

これでやっと彼が振るオペラを観る機会も出来たので楽しみにしていました。

初めて彼のレコードを聴いたのもデビュー盤の「アイーダ」でしたが、
その輝かしく歌に満ちた躍動的な演奏は歌手陣の素晴らしさとあいまって鮮烈な印象を受けました。

彼の演奏会は何度も聴いて来ましたが、ムーティと云えばやはりオペラを聴きたいもので、
未だ彼のオペラは聴いた事がない身にはとても楽しみでした。

処が、数ヶ月前にやはり予算が足りないことから、合唱団やオーケストラ団員の40%も解雇され、
彼の望むレベルまでの出演者が揃わなかったのを発端に政策に対する抗議を込めて、とうとうこの公演をキャンセルしてしまいました。

結局は演目も「ルサルカ」に変更されてしまい、どうしようか迷ったのですが折角なので行ってみる事にしました。

ローマの歌劇場はイタリア三大歌劇場の一つと云われているのですが、元来ミラノやナポリよりも地味な感じでした。
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それでも私が初めてこの歌劇場を訪れた20年程前には、係り官はまるで僧侶の様な黒い衣装を纏い、
ゴールドの大きなペンダントを掛けていて威厳がありました。

しかも意識的にイケメンを揃えていて、男の私ですら見とれてしまうほどでした。

売り子のお嬢さんも、昔日本の駅弁売りの様な箱を首からぶら下げて、パンフレットやお菓子、
それにタバコまで売っていて、まぁ優しくて可愛い感じでした。

処が、先日久しぶりに訪れたローマの歌劇場では、イケメン君たちは普通のダーク・スーツに安っぽい赤ネクタイのオジサンたちに、
そしてお嬢さんたちは、ちょっと強面のオバサンに変身し「エッ、まさかあのお嬢さんたちが月日を重ねてぇ~」・・・

開演30分前にも関わらずロビーも閑散としています。
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まぁ幾ら急遽演目が変わりムーティも出ないとは云え、これは寂しい状態です。
客席もパラパラ・・・結局は30%入り位の状態で開演してしまいました。
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それでもオーケストラの演奏は真剣に取り組んでいますし、中々のレヴェルで、
歌手陣も直向きで良く歌っていました。
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休憩時間にロビーをうろついていると、昔のポスターが飾られていました。

指揮者や歌手陣も錚々たる名前が並んでいます。

中でも「ドン・ジョヴァンニ」のポスターには何とカラヤンの名が、ドン・ジョヴァンニにはシエピ、エルヴィラにはシュヴァルツコップフ、
脇役のマゼットにパネライと錚々たる陣営で、「イヤ~こんな時代に観てみたかったなぁ~」と暫し眺めていました。
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オペラが誕生したイタリア、経済事情は難しいかも知れませんが、
再びイタリアの威信に掛けても昔の輝きを取り戻してもらいたいものだと、つくづく考えさせられました。


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by Atelier-Onuki | 2014-12-12 19:04 | イタリア | Trackback | Comments(0)

「ドロミテ」にて

バルセロナでひいた風邪は酷くなって先々週は39度ほどにまで熱が上がりフラフラしていました。
それでも先週は無理をして予定していたボローニャ行きの列車にモウロウとしながら乗り込みました。
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今年のドロミテ方面は大雪が降って多い所では3mほどの積雪があったのですが、
急に暖かくなり晴天続きで雪がドンドン溶け出し、ゲレンデはシャーベットのようにべチャべチャで雪が重くて快適なスキーとは行きませんでした。
それに急斜面は午後になるとコブだらけで苦戦を強いられました。

最初の2・3日は滑っていても熱でフラフラして、もう午後の早い時間に上がりひたすら眠っていました。

そんなにまでして行かなければ良いのですが、一つには根っから好きなのと、来年は例の○ちゃんご一家がやってくるからです。
これは長年の希望で「又皆でドロミテへ行こう!」と約束をしてからもう10年以上が経過していましたが、
やっと「来年には行けるぞ!」と云う事で、その下見も兼ねていました。

彼らも10年以上本格的には滑っていないので、何処で練習をして調子を取り戻し、
徐々に難しいコースへと移動していくか順番を考えていました。
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ちょうど良く滞在するペラと云う小さな村には直ぐ近くにリフトがあって、これを3本乗り継ぐと2000m位まで登ることが出来るのですが、これが滑り易いなだらかなコースです。
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暫く林間コースをダラダラと抜けるとゲレンデが広がって来ますが、これまた練習にはもってこいの緩くて快適なスキーが楽しめます。
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それになだらかなコースのわりには切り立った山々が迫っていて、その景色は絶景です。
ここはちょっと外れたエリアにあるのでスキーヤーもそれほど多く集まらないのでその点でも快適です。
コースもVigoまで下っていけるダウン・ヒル・コースなど5km以上あって変化に富んだコースを楽しむ事ができます。
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まぁこのエリアでのメッカはまるで巨大UFOが降り立ったような形をしたセラ山を50kmほど一日かけて回るセラ・ロンダと云うのが有名で、
そのスタート地点になる各々のエリアは朝早くから大勢の人達で賑わっています。
カンピテッロやカナツァイのロープ・ウェイなどは長蛇の列で30分以上も待たないと乗り込めません。
それでも山へ上がってしまえば、さすがに広く方々に散らばってしまい、それほどの窮屈感はありません。
ここまで来れば山々も更に面白い形状をした険しいさで迫り、その絶景には圧倒されてしまいます。
変化に富んだ景色はセラ峠からのコースのように広大な稜線が広がり、モミの木がゴツゴツとした岩々に絡まるように点在している光景も見事な風景です。
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このセラ・ロンダは時計周りも反時計もできるのですが、どちらも変化に富んだコースで行く先々のエリアは雰囲気の異なった光景で楽しむ事が出来ます。

それに新しくリフトが出来ていたり、コースが変更されているエリアもあります。
来年は大勢の人達を引き連れて迷ってしまっては大変ですから、やはり下見をしておいて良かったと思っています。

我々の思い出深い山小屋も既に撤去されていて、影も形もありませんでした。

途中アラバからコルバラへのコースを辿っていましたが、何時もとは違うアルタナティーボと書いてあるリフトへ乗ってしまいました。

そこは初めて見る風景ばかりで、思わず地図を広げて確認をした処、もうセラ・ロンダでは一番東の端から更に東へ登った様で、
もうコルチナ・ダンペンツォから登るトファーナ山が近くに見えていました。
この辺は標高も高いようで荒涼とした風景はちょっと不思議で、暫く見入っていました。
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何でもその先にあるアルメンタローラと云うコースはこのエリア最長で11kmもあるそうですがリフトがなくて、コルチナ方面から専用の車でやってくるそうです。
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まぁ今回も何とか一周することが出来たし、何と行っても素晴らしい風景に浸かっていられてリフレッシュする事ができました。
まだ熱っぽくてフラフラしているのですが・・・

来年は○ちゃんたちと滑るのが今から楽しみです。


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by Atelier-Onuki | 2014-03-20 22:31 | イタリア | Trackback | Comments(0)

「ファローリア」と云う山で

トファーナ山から降りてきて何もやる気が起こらなかったのですが、厄介なことにお腹だけは空いて来ました。

街中へ戻って来て何処かで昼食をと歩行者天国の界隈をブラブラ物色していましたが、
どうも「ヨシここっ!」とパッと気を引くようなレストランが見付かりません。
これだったら山小屋で食べた方が景色も良かったし・・・とちょっと後悔していました。

仕方なくバスターミナルの方へ迷路のような坂道をダラダラ歩いて戻って来たら、ターミナルのある通りに2・3軒のレストランが並んでいました。
ちょっと覗いて見ると地元の人っぽいお客が何人か座っていますので、これはまぁ期待できるかもと日陰のテラスに座りました。
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メニューにザッーと目を通すとズッキーニのスパゲッティなるものを見つけました。
これはまだ食べたことがありませんし、麺も自家製とあるのでメンクイの私としては迷わずこれを注文しました。
待つ事楽し・・・20分ほど掛かりましたか、やっと出てきました。
先ず麺を見てびっくり・・・殆どウドンほどの太さがあります。
恐る恐る一口試してみると、「オッ美味い!」・・・
ズッキーニだけしか入っていませんがこれがちょっと甘みもあるし、麺がプリプリした食感は腰もしっかりしていて、ほんのりとした味も付いています。
初めての味でしたがこれは美味しい一品を頂きました。

エスプレッソも頂いき、あれだけ無気力だったのに何だか元気が出てきて、
よし、こうなったらもう一つのロープウェイにも乗ってみるぞと云う気になってきました。

乗り場も直ぐ近くでここから見えています。
イソイソとチケット売り場へ行った処、窓口のオジサン曰く、「あと30分ほど出ないけど良いか?」との事。
まぁ今から帰っても早過ぎるし、近くをブラブラする事にしました。
ちょっと丘になっている乗り場の裏へ回ったら、来る時にバスが潜り抜けた素敵な石橋に遭遇しました。
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石橋を渡り丘へと歩を進めたら牧草が鮮やかな緑で輝いています。
その牧草地の中、ポツポツと日向ぼっこをしている人がいますが、中にはビキニ姿の女性も気持ち良さそうに寝転がっていました。
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さて30分が過ぎたのでロープウェイと向かいましたが、乗客は3人しかいないだけでこりゃ30分待つ訳です。
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そこそこ大きなゴンドラはファローリアと云う山へ向かいましたが、途中で中継点に着きました。
ここには電車のプラットホームのようになっていて、何とここで乗り換え、向かいのホームにはタイミング良く上から降りてきた別のゴンドラが到着しました。
そうかやっと分かりましたこれは同じロープで全体が動いていますが、ゴンドラは四台あって其々が上手く会うように設計されているようです。
何故このような設計になったのか分かりませんが、多分スキー客のために考案されたのだと思われ、
上の方では滑ることができない初心者や短い距離を滑りたい人用として作られたのでしょう。

さて乗り換えたロープウェイは頂上へと着きました。
ここは山と云うよりも全くスキー場の様相で、リフトが何本も設置されていますが、
雪がないのでリストの位置が高すぎるため一本も動いていません。
これを歩いて上まで行くには相当きつい感じだし、今日はあまり歩きたくないのが本音です。

如何しようかと迷っているとオジサンが近づいて来て、「上までジープで行かないか?」尋ねて来ました。
オジサンは商売でやっている感じで、往復9ユーロとの事。・・・
まぁ歩く事を考えたら安いものかと乗り込むことにしました。
ジープはガタガタの道をグイグイ登って行き、イササカ荒っぽい運転も手馴れているようです。
頂上へ到着し、一頻りこの辺から見える山の名前を説明してくれました。
何と昨日行ったドライ・ツィンネンも遠く見えていますし、先ほどのトファーナやイタリアで一番高いマルモラーダも見渡せ、
ここまで来て良かったと思わせる絶景のパノラマでした。
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「30分ほどで迎えにくるから、もし居なかったら電話をして。・・・」と言い残してオジサンはガタゴトと帰って行きました。
あっけにとられて訊くのを忘れてしまいましたが「何処に電話をしたら良いのでしょうか?」

付近をあちこち歩いてちょっと下にある山小屋で暫く休むことにしました。
ここからの眺めも中々のものでゆっくりと楽しめたし、そろそろ下山か・・・
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次のロープウェイに乗れたら5時のバスに間に合います。
オジサンも遠くにゴトゴトやって来るのが見えました。

そしたら何のことか、この山小屋にいたちびっ子たち親子合せて十数人がガヤガヤと一目散に乗り込みます。
「オジサンも直ぐに戻って来るから・・・」と平然と言い放って降りて行きました。
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もう一人ハイキングにしてはえらいお洒落な格好をしたお爺さんも待っていたのですが、彼も置いてきぼりに・・・
ボッーと待っていても仕方がないので又テラスに戻って景色を眺めていましたが、中々戻って来ません。
遠く下に停まっているジープを凝視すると、何と彼は上に登る客引きをしているではないですか。

そろそろ時間も迫ってきたので焦り出したころお客を見つけた様で、やっとノロノロと動き出しました。
上まで登ってきたジープは我々を通り越し更に一番上まで連れて行ったようです。
お洒落なお爺さんもやるせなく手を広げて、如何しようもないの体です。
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やっと降りてきたジープに早々に乗り込み、お爺さんもすぐさま「間に合わないよぅ・・・」と云っていますが、
オジサンはノンビリしたもので「大丈夫・・・3分前には着くから・・・」と平然としたものです。
ガタガタ・ゴトゴトとちょっとスピードを上げたジープは乗客が年寄り二人なのには全くお構いなく大きく揺れながら駆け下りました。

下に着いて「ほら・・間に合っただろ・・」と云うオジサンの言葉も聞き終わらない内に、
お爺さんは猛ダッシュといってもエッサ・コラ程度のノロイ動作ですが、私もそれにエッチラ・コッチラと駆け足で従いました。
ロープウェイの係員はこの様子を見ていたかのようにニコニコしながら待っていました。

結局は先ほどの子供達も一緒のゴンドラで無事下まで降りることができました。

このコルチナまで来るとイタリア色が濃くなり、ちょっといい加減でノンビリした性格の人が多く、心配もあるけれど郷に入れば郷に従えで、
感じは明るいし人は良いのでまぁ良いかと思ってしまいます。



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by Atelier-Onuki | 2013-08-27 18:47 | イタリア | Trackback | Comments(0)

「コルチナ・ダンペッツォ」のロープウェイ

昨日までに今回の目的を二つもこなしてしまったので、この日は何のあてもなく又「SAD」バスに乗ってボーッとコルチナ・ダンペッツォへ向かいました。
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トブラッハから景勝の山岳地帯を南下すること一時間ちょっとで到着しました。
ここはドロミテでは一番大きな街で歴史も古く昔から栄えています。
リゾート地だけあって歩行者天国の通りにはちょっと洒落たブティックも点在しています。
あのリッカルド・ムーティの別荘もあるそうで夏はここで過ごしているそうです。
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昨日は歩きすぎたのでちょっと足腰がガクガクして今日は余り歩く気がしません。
とは云え折角の山岳地帯だし、「何とかと何とかは、高い所へ登る。」と云われますが、その何とかなので高い所が大好きです。

この街にはロープ・ウェイが二本ありますが、先ずはその高い方のトファーナと云う山へ行ってみる事にしました。
これはロープ・ウェイを三本乗り継いで何と3220mと富士山とまではいかないにせよ結構高い所まで登ります。

二本目までは一気に登りましたが、いきなり3000m以上行くのはリスクも伴うのでここの山小屋で一息入れることにしました。
冬場この辺はスキー場になるようですが、その光景はゴツゴツした岩ばかりの殺伐とした厳しいコースです。
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ゆったりとコーヒーを楽しんだあと、暫く付近を散歩してイヨイヨ三番目のロープ・ウェイで頂上に向かいました。
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このロープ・ウェイは勾配がキツク前方の岩盤に向けてグイグイと上昇して行き中々の迫力です。
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ここにも小さな山小屋と木製のそこそこ広いテラスが谷の方へと張り出していてパノラマ風景を楽しむ事ができます。
見通しの良い時は遠くミラノやヴェニス辺りまで見渡せるそうですが、この日は雲がモコモコと湧いていて視界が晴れたり曇ったりと目まぐるしく変ります。
このテラスから更に鉄製の階段が岩にしがみつくように設置されていて未だ上の方まで登って行く事ができます。
この階段を登ってみましたが途中で階段はなくなり、その先はゴツゴツとした岩場がむき出した本格派の登山コースで
幅50cmほどの両サイドは寄りかかれば倒れそうな弱々しいビニール製のネットしか付いていません。
その先にはネットすら無くなりワイヤーがコースにそって取り付けられているだけでそれは怖そうです。
それに尾根になっているので時折突風を伴った雲が湧き上がって来ます。
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岩盤もこの山は太古の時代に垂直方向に隆起したようで、その層は殆ど垂直に切り立っています。
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所々大きく割れた部分がパックリと口を開け吸い込まれそうな溝で迫力満点の谷を形成していました。
さすが向こう見ずの私でもこれ以上登る勇気がなく途中から恐る恐る階段を引き返しました。

暫くテラスから見上げていると先ほどの尾根に人影が見えます。
どうやら頂上を目指して歩いているようですが、世の中には勇気のある人もいるものです。
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「アァ~怖っ・・・!」思い出すだけでも鳥肌ものです。
ボーッして下のほうを見ていたら今度は向かいの岩盤に動く影が、・・・
ここにも垂直の岸壁を移動しているクルーがいます。
もう「あんたら正気かぁ~」と叫びたくなるくらい見ているだけでゾッ~としてしまいます。

この高さだと気温も低くて寒くなって来たので下りることにしました。
今度は一気に二つ乗り継いで一番目の山小屋まで降りました。
もうここまで下ると木々も生えているし緑に囲まれてホットする光景です。
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お天気もここでは快晴・・・芝生の上には大勢の人が安楽イスに寝転がって日向ぼっこ・・・何とも長閑な光景に様変わりです。
ホットしたのと余りの気持ちよさに暫く寝そべってしまいました。
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この日は殆ど歩かなかったのですが、何だか景色の凄さに緊張したのかドット疲れが出てきてもう何もやる気が起こりませんでした。


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by Atelier-Onuki | 2013-08-24 01:25 | イタリア | Trackback | Comments(0)

「トレ・チーメ」のハイキング

以前、本格的なワンダー・フォーゲルをやっている知人から「ドライ・ツィンネンは良かったですわ~」と聞いていましたので、
何時かは行ってみたいなぁ~と思っていました。
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ドイツ語でDrei Zinnen / イタリア語でTre Cimeと云う三つの頂からなる山はドロミテの山の中でも一番有名な一つで良く写真では見ていました。
途中にあるミズリーナと云う湖も綺麗そうです。

ドロミテでも東の端にあるこの山はドイツ方面からは遠くて、ちょっと行きにくい気がしていましたが、
夏場はこのトブラッハからも例の「SAD」が直通のバスを出していると云うので行ってみることにしました。

朝9時発のバスは10分ほど前にはもう押すな押すなの人だかりで、大勢の人が乗り込もうとしています。
30分後には臨時のバスも出るそうですが、後ろの方に空席を見つけたので取りあえずは乗り込む事にしました。
次から次へと人が乗り込んで来たバスは、立っている人が十数人もいるほど超満員の状態になりました。

バスは一路コルチナ方面に向けてドンドンと山の中へと走って行きました。
途中は森あり湖ありと中々の景勝路線です。
暫く幹線道路を走ったあと左へ折れ曲がり、イヨイヨ急勾配の山道をミズリーナ湖へ向けて上って行きます。

写真で見ていたミズリーナ湖もちょっと神秘的な光景だったので期待が湧きます。
バスは湖手前のグランド・ホテルに着き更に湖に沿ってドンドン奥へと走りました。
車窓からの眺めはフム~・・・確かに綺麗ですが、私の想像は現実よりも大きく膨らんでいたようです。
当初はここが良かったら寄って行こうと思っていたのですが座席を立つほどではないようでした。
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結局U-ターンをするためにバスは湖の一番奥にある停留所まで行きましたが、誰一人として降りる人はいなかったので無事通過するだけとなりました。

折り返したバスはイヨイヨ最終目的地のトレ・チーメを目指し有料道路へと向かいましたが料金所までは凄い渋滞で、
ここを通過するだけで20~30分は掛かりました。
道はイロハ坂よろしくクネクネとヘアピン・カーブの連続でキツイ勾配をグングン進んで行きます。
周りは険しい山々が迫って来て、一体何処まで上がっていくのだろうか心配になるほど突き進みます。
結局はエッこんな高い所までと驚くほどで、トレ・チーメの直ぐ裏側の袂に着きました。
ここには駐車場があって驚くほど多くの車が所狭しとギュウギュウ詰めで駐車をしています。
何でも標高が2300mもあるそうで木が生えることが出来ない高さは荒涼とした光景です。

先ずは停留所傍の山小屋で休憩してこれからのハイキングに備えました。
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ここはトレ・チーメ南側の壁面で迫って来ている山肌はすでに迫力があるのですが、それがこの山である事を認識するには難しい形をしています。
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良く写真で見かける典型的な光景は北側から撮ったもので、それを見るにはこの先にある三つ目の山小屋まで歩くしかありません。

二つ目の山小屋までは緩やかな道でダラダラと歩いて行けますが、その先の尾根まではちょっとキツイ登りとなります。
道は緩やかなコースもあり、本来はショート・カットが大好きな私ですが歳の事を考えて遠回りをしました。
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やっと尾根までたどり着くともう目の前に迫力あるトレ・チーメが斜に構えていますし、
やはり良く写真に出てくる三番目の山小屋も遠くに見えてきました。
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もうここまでもキツイ行程でしたが、この景色を見てしまうと何だか「もう少し先まで行ってあの写真に出てくるアングルから見てみたい」
という衝動に駆られます。

この尾根からも山小屋まで上下二つのルートがありますが、上の方は「一歩間違えれば!・・・」と考えさせられる如何にも本格派向きっぽいので、
当然ながら下の緩そうな一般登山道を選びました。
途中に小高い丘があってここからの眺めも良さそうです。
皆それを思うのか殆どの人達がここへ立ち寄って記念撮影をしています。
傍にいたイタリア人の母子が「ウンタラ・カンタラそこのジャポネに・・・」みたいなことを言っています。
どうやら私に二人一緒の写真を撮ってもらいたいらしい・・・
ハイよっとiphoneを渡され、縦だのドウだの賑やかに言っていましたが無事終了、
撮れ具合を確認した中々美人の娘さんは気に入ったようで「ミーレ・グラーチェ!」とご機嫌さんでした。

続けて山小屋を目指しましたがこれが見えているのに中々遠い道のりです。
途中で上の岸壁を見上げたら何とそこにはロック・クライミングをしているグループが直角の壁を横に移動しています。
もう見ているだけで鳥肌が立ちそうです。
ふと近くを見ると幾つも人工的に開けられた様な四角い窓があります。
そうだ何時かTVで見たことがあったのですが、この辺は第一次大戦の時は国境地帯で要塞として作られたようです。
それにしてもあんな絶壁の高い所に良くも要塞など作ったものです。
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最後のキツイ階段を登りきりやっと山小屋まで辿り着きました。
一頻り景色を堪能した処でお昼、もうお腹もペコペコです。
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ちょうどお昼時のレストランも超満員、「暫く待つか・・・」と諦めかけた頃、テーブルに座っていた昔は美人だったと思われる婦人が
同じテーブルに座れと言ってくれました。
イタリア語しか話さない婦人とは残念ながら詳しい会話は出来ませんでしたが、人懐こい人でボリュームたっぷりのボロネーゼも美味しく頂けました。

さて景色に誘われてここまでやって来ましたが、このキツイ道のりを帰らなければなりません。
途中の尾根までは何とか結構頑張れましたが、その先は休み休みでフウフウ云いながら何とかバス停まで戻ってくる事ができました。

帰りのバスでは良く眠れた事・・・
夕食時もワインが直ぐに利いてきて、この夜はグッスリと眠りました。


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by Atelier-Onuki | 2013-08-23 04:04 | イタリア | Trackback | Comments(0)

マーラーの作曲小屋

ブライエス湖を後にしてマーラーの作曲小屋へと向かいました。
この小屋はトブラッハの手前にある人里はなれた小高い山の中腹に建っています。
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彼が滞在していたホテルも今はグスタフ・マーラー・ストゥーベという名のレストランとしてちゃっかり彼の名を冠していますが、
当時はどんな名のホテルだったのでしょうか。
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それにしても当時はオーストリア領だったとはいえ、インターネットはもとより電話すらなかった時代に良くもこんな辺鄙な所に見つけたものです。

シーズン中はコンサートやオペラの指揮者として忙しかった彼は夏休みに静かな所で小屋を借り集中して作曲に専念していました。
これまでもアッター湖畔やヴェルター湖の近くで小屋を借りていましたが、ここは最晩年の3年間ほど訪れていた最後の作曲小屋となり、
交響曲の「大地の歌」と「第9番」、そして未完に終わった「第10番」の二楽章までが作曲されました。
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若いころから病弱で異常なほど神経質だった彼は絶えず不安を抱えながらの人生で、
精神的にも落ち着いているかと思ったら突然かき消すかの様に不安が襲ったりと不安定だったそうです。

この精神状態は彼の作品の中でも特長的に現れ、静かで穏やかなメロディーも長続きはせずに荒々しい金管群によって唐突に中断される瞬間が間々訪れます。

それは社会的な不安や家庭の問題、健康状態、そして死への恐怖との葛藤でした。
もうこのトブラッハにやって来た頃はウィーンの音楽監督も辞し、活路を求めてニューヨークへ行ったり来たりの日々で、
アルマとの関係も修復のつかない程にまで達していたようです。

彼の先人達も含め交響曲作曲家と云われる人達にとってベートーヴェンの存在は余りにも偉大すぎて、意識をしない人は居ませんでした。
なかでも人一倍の意識をした彼は「第9番目」の交響曲を作曲する事に対して大きな恐れを抱きためらっていました。
それはベートーヴェンが「第9番」の交響曲が初演された僅か数年後には亡くなってしまい、これが最後の交響曲となったからでした。

このトブラッハでは新しい交響曲の構想は練られていたのですが、「第9番目」にあたる交響曲を「大地の歌」と云う題名にして番号を回避したほどです。

それでも新しい交響曲への思いは募り、とうとう「第9番」の作曲を決意します。

前作の「大地の歌」の最後では「永遠に・・・永遠に・・・」と何度も引きずるように未練がましく終りそうで中々終わらない終結ですが、
ここではイヨイヨ迫りつつある「死」という現実に対してきっぱりと正面から向き合おうとしています。

まるで手探りをするかのように静かにゆったりと始まり出した曲は間もなく「大地の歌」の最終章、
「告別」のフィナーレで奏でられる「Ewig - - - ewig - - -(永遠に・・・永遠に・・・)」の旋律へと又もや受け継がれて行きます。
このテーマは手を変え品を変え色んな変奏となって綿々と綴られます。
それでもこの長閑な環境が反映されているのか全般に牧歌的でゆったりとしたメロディーが進行していきます。
音楽はだんだんと高揚して行き金管群による最初の盛り上がりがやってきます。
これは背後に佇むドロミテ独特のギザギザとした荒々しい形ながらも荘厳な山々を連想させ彼らが何かを語りかけて来ているようです。
綿々と続いた曲は金管による三度目の盛り上がりを見せた後、グット落ち着きを見せ
バイオリン・ソロの甘い旋律を経て静かに終結して行き弦によるピチカートのあと木管の宙に舞うような不協和音で静かに閉じられます。
ここで少しは覚悟をする勇気が見え出したようです。

一転してニ楽章はファゴットのおどけた旋律に木管が絡み合い、ちょっと「鳥獣戯画」の世界を連想させます。
その騒がしい音楽はグロテスクとまで思えるほどで、何だかヤケクソぎみで人生の辛い部分を吐き出しているかのようですが、
一転して落ち着きを取り戻し良かった頃の昔を回想しているようでもあり混沌としています。
曲は高揚して行き亡霊の饗宴の様を呈してから徐々に静かになって行き最初に出てきたファゴットの旋律に戻ってきますが、
ここではテンポもゆったりとして落ち着いた表現で静かに終わります。

唐突に噴出されたトランペットで始まる三楽章も半ばヤケクソぎみの気持ちは継続されているようです。
音楽はまるでもう如何でも良いやと開き直って墓場へ向かう行進曲のようです。
それでも突如またもや過去への追憶シーンとなり穏やかなシーンも現れますが、
この行進曲風のリズムはドンドンとスピードを上げて駆け足で向かっていくようです。
曲の幕切れも踏ん切りが付いたのか「早く行こうよ!」と云わんばかりに慌しくてあっけなく終ってしまいます。

静かにゆったりとした弦楽器群で弾き始められた最終楽章のアダージョは綿々と奏でられ果てしなく延々と広がって行きます。
まるで「まな板の鯉」のごとく心穏やかに綴られその甘いメロディーは恍惚すら感じます。
もう死への恐怖よりもむしろ憧れへと昇華してきました。
これはマーラー自ら自分の為のレクイエムとして書いているかのようです。
先ほどはクラリネットが道化た旋律もここではホルンがテンポを落とし荘厳に響いています。
これに導かれた金管群が再び盛り上がって行き大伽藍を描くと、
テンポはグット落ち静かに静かに何度も名残を惜しみながら消え入るようにこの曲全体の幕が閉じられます。

いや~、この長い曲を聴いたせいか文章も長々となってしまいました。
そう作曲小屋へ急がなければなりません。
と云うのも今は人寄せを目論んで、ここはちょっとした動物公園になっています。
その閉館時間が心配だったので本当は夕暮れが似合うのですが、日が長い夏場なので未だカンカン照りのなか足を急がせました。

鉄道のガードを潜り抜けると、もう周りは牧草地の坂道をダラダラと登って行きました。
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林を抜けるともう直ぐ左手に2・3軒のホテルが見えてきます。
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この一番左のホテルにマーラーは滞在していました。
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ホテルの直ぐ向かいにある動物公園と云っても家畜程度で大した動物はいないのですが、案の定18時に閉門していました。
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それでも名残を惜しむ何家族かの子供達が入り口近くの遊具で遊んでいました。
フェンス越しにドア・ノブを見ると中からは開けられそうです。
暫くしてこちらを振り向いたお母さんに手を振って手招きをしました。
「そこに窓口があるけど・・・」、「いやもう締まっているし写真を撮るだけだから・・・」と
無理やり開けてもらいました。
足早に公園の奥にある作曲小屋へと急ぎました。
それは林の中に忽然と佇んでいました。
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おそらくマーラーが来たときはこの小屋しか建っていなかったのでしょうね。
小さな室内には日に焼けて薄くなってしまった写真や手紙のコピーなどが展示されています。
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彼はどの方向に向かって座っていたのだろうかとか想像を巡らしていました。
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帰り際、マーラーも見ただろうと思われるトブラッハ方面の景色を眺めていたら、
里の方から教会の鐘がカンコンと聞こえて来ました。
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そうですあの一楽章の後半にも鐘の音が聴こえてきます。
きっとマーラーもこの里からの鐘を聞いたことでしょう。

帰り道はiphoneでこの一楽章を聴きながらシミジミと下って行きました。

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追記 : この文章を書いた後、昨夜フト気付いたのですが、このカンコンと鳴る鐘の音を同じ音形でゆっくりと伸ばすと何とあの「Ewig・・・」の旋律と同じではないですか。
ドイツ語の発音的にも自然なアクセントに感じますが、この辺の真意はもうマーラーさんのみ知るところでしょうか。

それとカンコンと鳴っている途中からゴォンゴォンと低くて小さな音の鐘も被るように鳴りだしました。
この日は聖母マリアさんの命日なので何時もより派手目に鳴らしたのでしょうか。・・・

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by Atelier-Onuki | 2013-08-21 23:51 | イタリア | Trackback | Comments(0)