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シューベルトの交響曲は番号がややこしい (5月のコラムから)

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シューベルトは生前「6曲」の交響曲を発表していました。

彼が没して10年ほど経った頃シューマンがウィーンを訪れ、

お兄さんフェルディナントの案内で彼の部屋に通されました。


その時、机の上で埃にまみれた楽譜を発見しますが、

これは凄い曲であると悟った彼は許可を得てライプチッヒへ持ち帰ります。


そしてメンデルスゾーンとライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団によって初演されますが、

これが彼の残した最後の交響曲ハ長調で一般的に「ザ・グレート」と名付けられています。

(シューマンが発見したした時には当時としては余りにも長い曲だったので、「天国的な長さだ!」と言ったそうです。)

「ザ・グレート」とはイギリスの楽譜出版社が発刊する際、他にもある「ハ長調」の交響曲と区別するため大きい方と分かる様

「ザ・グレート」と命名したそうです。


これは凄い名曲で世界的に知られるようになり、自然と「第7番」の交響曲と番号が付けられました。


ところがその後、さらに未発表の交響曲が発見されますが、これは2楽章までしか書かれてなく「未完成」して発表されました。

4楽章で構成されるべき交響曲の形式としては未完成ですが、余りに素晴らしい曲で精神的には完全に完成されています。

これをもって「8番」の交響曲とされました。


その後、この「未完成」の交響曲は最後の「第7番の交響曲」以前に書かれた曲と判明し番号の入れ替えがありました。


ところが、まだまだ膨大な未整理の楽譜が残っていてオーストリアの音楽学者

オットー・エーリッヒ・ドイチュによって事細かな調査を行い作品番号の整理が行われました。

そこで発見された「ホ長調の交響曲」が作曲年代に従い「第7番」として食い込みます。


それがシューベルト作品番号の基本として今日も受け継がれています。

私もこれに従って交響曲は「未完成が8番」、「ザ・グレートが9番」として長年親しんできました。


ところがシューベルト没150周年を機に再び番号整理が国際シューベルト協会によって敢行されました。

その結果「7番」の交響曲は自筆譜では演奏不可能との理由から外されてしまい、

「未完成」の交響曲が「7番」、「ザ・グレート」が「8番」に変更されてしまいました。


やれやれ私も未だ頭の中ではグチャグチャで整理が付いていません。



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# by Atelier-Onuki | 2022-05-21 23:17 | コラム | Trackback | Comments(0)

ベーエンブルクを訪ねて

先日、クナッパーツブッシュの生家を訪ねた後、更に奥の方へと足を延ばしました。

そこは昨年初めて訪れたBeyenburgという小さな町で、ヴッパー川を堰き止めた

湖畔に沿って古い家が建ち並ぶ所です。

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昨年はちょうど洪水に襲われた直後だったの、ちょっと痛々しい気持ちになったのですが、

何だかこの景色が印象に残っていたので又行ってみたくなりました。


ウッパータールから川の上に作られたモノレール、といっても吊られているのですが、

乗ること15分ほどで終点のオーバー・バルメンに到着、ここからバスに乗り換えて

30分ほど山の中へと入って行きます。

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もう一度行っているので慣れたもの・・・

バス停を降り、グルッと半周、坂を登るとお目当てのアイス・カフェが現れます。

ここは廃線になったレールの脇にありますが、周りの景色と相まって良い感じです。

他にお店がないので何時も大盛況、今日もちょっと待ってからテラス席に着きました。

今回もアイス・カフェを注文・・・苦味のあるコーヒーに美味しいバニラ・アイスがよくマッチしています。

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ゆったりと休んだ後、湖の方へ降りていきました。

堰止湖といってもこの辺は水が綺麗で1mはあろうか大きな魚が泳いでいました。

後で生息している魚類の看板をみましたがサーモンもいるそうです。

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町並みの景色を楽しみながら湖をゆっくりと一周しました。

堰の下流には人口のなだらかな小川が蛇行していて、これは魚が遡上するためのルートだそうです。

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奥へ続く坂道から橋を渡り町へと入りました。

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昨年は洪水の直後だったので軍隊も出動するほどの状態でしたが、復興は進み

まだ修理中の家々もありますが、かなりの落ちつきを取り戻したようです。

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ちょうど新緑が綺麗で心地よい散歩が楽しめました。

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# by Atelier-Onuki | 2022-04-27 00:15 | デュッセルドルフ | Trackback | Comments(0)

クナッパーツブッシュの生家を訪ねて

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私の住んでいるデュッセルドルフから比較的近い町にあるので、

予てから行こう思いながらも何時でも行けるという安心感から中々その機会がありませんでした。


先日はお天気も良い予報だったので、やっと訪れてみる事にしました。

デュッセルからは何時もだと30分ほど電車に乗るのですが、ラッキーなことにエクスプレスに乗れたので20分とあっと言う間に到着しました。

途中、私の好きな丘陵地帯には菜の花畑が点在し、快適な一時でした。

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ここヴッパータールの駅前は数年前に大改装され綺麗になりました。

まぁ人が多いのでゴチャゴチャ感はそのままですが・・・

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駅脇のバスターミナルも綺麗に改装されていました。

ここから暫く、と言っても5駅行くだけですが、かつてはエバーフェルドという違う町でした。

バスは街を抜け、小高い山間へ登りはじめました。

この辺に来るのは初めてだし、ちょっと素敵な家も建ちだしワクワクしてきました。


最寄のバス停はズバリ「Knappertsbuschweg」クナッパーツブッシュの小道と分かり易いです。

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その小道はダラダラとした下り坂でちょっと素敵です。

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目指すフンク通りに出て、直ぐに見付かりました。

まぁ一般的なアパートですが、ここで彼が生まれ住んでいたのだと、暫し感慨深く佇んでいました。

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この通りをダラダラ登って行くと200mほど先に実家が営んでいた蒸留所跡が残っています。

今は歴史建造物として市が管理しているそうですが、中々味わいのある建物です。

丁度、改装の最中でその内、何らかのミュージアムかお店になるかも知れません。

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まぁ私の歳では彼の生演奏など聴く機会はありませんでしたが、

あのゆったりとしたテンポから堂々とした音楽はワグナーやブルックナーの録音で楽しませてもらいました。

今日は帰ってから「リエンツィ」の序曲でも聴くか・・・




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# by Atelier-Onuki | 2022-04-22 00:52 | デュッセルドルフ | Trackback | Comments(0)

私の好きな春の音楽 (4月のコラムから)

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誰しも春の訪れを心待ちにしているものですが、

作曲家たちも同じで「春」をテーマにした楽曲が四季の中では一番多いのではないでしょうか。


タイトルに「春」が付いた曲や付いてなくても明らかに春を連想させる曲など目白押しです。

タイトルにずばり「春」が付いている曲を作曲家の年代順に挙げると、先ずはヴィヴァルディの「四季」から「春」。

ヴァイオリン協奏曲の形をとった小弦楽アンサンブルで、軽妙に春を表現しています。

鳥の鳴き声や気だるい犬の鳴き声などを巧みに取り入れていますし、途中で嵐もやってきますがイタリアですから可愛いものです。


モーツァルトでは弦楽4重奏の14番が「春」ですし、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ5番では「春」と、

シューマンの交響曲1番でも「春」とダイレクトに付けられています。


次に「春の何々」と付けられている曲ではメンデルスゾーンのピアノ小品集[無言歌]から「春の歌」、

またヨハン・シュトラウスの「春の声」はとても有名曲です。

グリークではピアノによる[抒情小品集]の第3集に「春に寄す」が、コープランドでは「アパラチアの春」が、

そしてストラヴィンスキーの「春の祭典」と続きます。

まぁこの曲は我々日本人が抱く穏やかな春のイメージとはかけ離れた、ドロドロとした力強い音楽ですが、

原始宗教的な踊りがテーマなので仕方がありません。ただ凄い名曲です。


そしてシューベルトの歌曲に至っては「春に寄せて」、「春の夢」、「春への憧れ」、「春の小川」、「春の歌」など、これでもかと作曲されています。


さて「春」とはタイトルが付いていないけど、明らかに春をイメージした曲では先ずベートーヴェンの交響曲6番「田園」でしょう。

ウィーン郊外の小川や森そして丘を背景に春が訪れた喜びを見事に表しています。唯これは自然現象の表現だけでなく、

心の動きを描写しているところがベートーヴェンたる凄いところです。


他にはレスピーギの「ローマの松」では、ローマ独特の形をした松を通して目くるめく春の喜びや古への憧れなどを表現しています。

鳥類学者でもあった彼は3曲目の「ジャニコロの松」では夕暮れ時の鳥の鳴き声を巧みに扱っていて雰囲気を醸しだしています。


ドビッシーでは交響組曲「春」もありますが「牧神の午後への前奏曲」も春を連想させます。

ギリシャ神話のパンの神がパン・フルートを携えているので、フルートのソロをメインにボワッ~としたパステル・トーンの音楽ですが、

ニジンスキー振り付けのバレエでは淡いエロスを表現しています。

私の大好きなレオン・バクストがデザインした装置と衣装も素敵です。



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# by Atelier-Onuki | 2022-04-21 00:05 | コラム | Trackback | Comments(0)

メードリングのシューベルト(3月のコラムより)

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水車小屋の菩提樹(メードリング)

AmBrunnen vor dem Tore, Da steht ein Lindenbaum.

(泉のほとり、門の前に、そびえる1本の菩提樹)

で始まるこの歌はシューベルトが最晩年に作曲した歌曲集「冬の旅」の5曲目で

日本でもよく知られている「菩提樹」の冒頭です。


最晩年といっても31歳で亡くなっていますから、未々青年といっても差し支えのない年齢でした。


このシューベルトが見たとされる菩提樹が今も現存しています。

実際に見た菩提樹は雷に打たれて倒れてしまったそうですが、現在は2代目が育っています。


そこはウィーンの南、ほんの67kmほど行ったメードリングという小さな町外れの

ヒンターブリュールという地区にあるヘンドリッヒと云う水車小屋にあります。


シューベルトが訪れた頃は水車小屋だった所ですが、現在はその知名度にあやかって大きなホテル・レストランになっています。


実際に行って見ると、門の前には泉(井戸)があって直ぐ傍に堂々とした菩提樹がそびえて、もう笑いが出るほど歌詞の通りです。


尤も歌詞のオリジナルはドイツの詩人ヴィルヘルム・ミュラーの詩集で、

恐らく彼が住んでいたデッサウ辺りの菩提樹をイメージしていると思われます。


シューベルトとほぼ同時代に生き、やはり33歳で亡くなっている彼の詩集から

シューベルトは同じような感覚のインスピレーションを受けたのでしょうね。


さて、ここからほど近いところにゼー・グロッテというヨーロッパ最大の地底湖があり、

一般的にはこちらの方が知名度は高いようです。


元々は石膏の採掘場だったそうで、戦時中はナチがジェット機の開発をするための秘密工場として使っていました。

試作ジェット機のモデルも坑内に展示されています。


湖は岩盤から漏れだした雨水などが溜まったものですが、広大で迷路の様な地底湖を観光ボートで巡ることができます。


帰路に着くべくメードリングの街へと戻って行きました。

傍を流れている小川も先ほどまでの自然な姿からコンクリートの疏水と変わりました。


それでも水は透明で綺麗なまま、そこにサッと素早く動く影を見かけました。

これはひょっとしてと、静かに近づくとそれは鱒です。


そう、あのシューベルトの歌曲「鱒」のブラウン・トラウトです。

ゆったりと泳いでいると思いきや、餌を見つけた時の素早い身の動き、

それは彼のピアノ5重奏「鱒」でも表現されています。





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# by Atelier-Onuki | 2022-03-21 19:56 | コラム | Trackback | Comments(0)