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私の好きな夏の音楽 (7月のコラムから)

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夏といえば暑いので音楽なんて聴いてないで山や海へ出かけたくなるものです。

でも「山」や「海」、そして涼を求めて水がテーマの音楽もたくさんあります。


先ずは山がテーマの音楽では、リヒャルト・シュトラウス「アルプス交響曲」が代表的な作品でしょうね。

彼は晩年ガルミッシュ・パルテンキルヘンで過ごしていますので、恐らくツークシュピッツに纏わる登山での1日を描いています。

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もう1つはフランスの作曲家でヴァンサン・ダンディが作曲した「フランスの山人の歌による交響曲」で交響曲としながらもピアノがメインで活躍します。

フランス中部の山岳地帯セヴェンヌ地方の民謡を元に描かれていますが、メジャーではないながら中々良い曲です。

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次に「海」がテーマの音楽では、ずばりドビュッシーの「海」が代表で、波や風の対話を表現しています。

この初版スコアの表紙には彼の要望で北斎の「神奈川沖浪裏」が採用されていますが、

私はこの曲を聴くとモネのエトルタやベル・イルでの海の絵が浮かんできます。

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水をテーマにしたピアノ曲ではリストの「エステ荘の噴水」も爽やかな曲ですし、ラヴェルの「水の戯れ」はお洒落な曲です。

ドビュッシーでは前奏曲集第1巻の1曲目「水の反映」が雰囲気タップリな甘くて切ない素敵な曲です。

尚、前奏曲集第2巻の12曲目、すなわち全24曲の最後は「花火」でこれも夏の風物詩として挙げておきます。

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メンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」も挙げておかなければなりません。

シェイクスピアの戯曲の付随音楽として作曲されましたが、夏に相応しい爽やかな音楽で、

その中の「結婚行進曲」は誰でも知っている曲です。

組曲にもなっていますが、歌手と合唱が付いた全曲版が聴き応えがあってお勧めです。

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他にもホルストの「惑星」も夏に聴く定番曲です。

特に最後の「海王星」は女性コーラスが神秘的な雰囲気を醸しだしていて、ちょっと涼しげになれます。

尚、作曲当時は未だ「冥王星」は発見されていませんでした。

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さて、暑さを逆手にとって楽しむにはビゼーの「アルルの女」が打ってつけでしょう。

アルルは夏が似合います。あのムッとするような暑さの中で展開されるロマンチズムは、また別の熱さを思い起こさせてくれます。

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最後に超高声で吹き飛んでみましょう。それはモーツァルトの「魔笛」から1幕目の」夜の女王のアリア」です。

コロラトゥーラといわれるソプラノよりも高い声で歌われますが、

私のお勧めはショルティがウィーン・フィルを振った旧盤で歌っているクリスティーナ・ドイテコムの声で、

まるで清涼飲料水を飲んだような爽やかさです。

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# by Atelier-Onuki | 2022-07-20 01:02 | コラム | Trackback | Comments(0)

ペール・ラシューズ墓地にて

ジヴェルニーから早く帰って来たので、ペール・ラシューズ墓地へ向かう事にしました。

ここにはショパンのお墓があるので一度は行きたかった所でした。

お墓巡りは宝探しのような趣があって、見つけた時には何だか達成感のような感覚があります。

まぁ筋金入りの“墓マイラー”こと梶ポンさんの足元にも及びませんが結構好きです。

メトロの駅もペール・ラシューズと分かり易く、地上に出ると大きく長い壁が目に入りますので、直ぐそれが墓地であることが分かりました。

階段を登るとそこは角っこのようで、正面入り口の方まで歩いて行きました。

それにしてもこの墓地は思っていた以上に大きく、丘に沿っているようで登りながらの参拝となり大変です。

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地図を頼りに、正面入り口に近い“ロッシーニ”からです。

メイン通路に面した彼のお墓はすぐに見付かりました。

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人気の作曲家だったので、若いうちから贅沢な生活ができ40歳ほどで作曲家を引退し、何と料理研究家としてパリで遊んでいました。

パリで亡くなっていますのでここにお墓がありますが、遺体は後にフィレンツェのサンタ・クローチェ教会内に移されています。


さて、次に目指すは“ショパン”です。中央のチャペルを目指して歩きましたが中々の勾配で段々とキツクなってきました。

右に曲がると細い通路に面して建っていました。

さすが人気作曲家だけあって沢山の花が飾られていました。

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彼も心臓はワルシャワに安置されているそうです。

ワルシャワ生まれですが、両親ともフランス人で彼もフランス風の感覚を持っていました。

なるほど昔からコルトーを初めフランス人のピアニストで、ショパンを得意にしている人が多い訳です。

尤もペルルミュテールのようにポーランド人ながら唯一ラヴェルの弟子で、長年パリで活躍したピアニストもいましたね。

この近くにはプーランクやケルビーニなどもいますが、あまり時間もないので次をめざしました。


大きなロータリーに出て一休みです。

中央には大きな台座に乗ったギリシャ風の服を纏った巨大な立像が立っています。

誰なのだろうと、名前を読むと“ペリエ“と書かれていますが、まさかあの炭酸水の”ペリエ”とは関係がないのでしょうね。

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さあここから更に勾配が厳しくなった道を上りコローさんを目指しました。

この辺の地区は入り組んでいて、お墓がぐちゃぐちゃ入り乱れています。

どこがどの区なのか分からなくなって、グイグイ奥の方へ掻き分けるように入っていくと、ちょっとした空間の木陰にでました。

そこにはトルコ系の顔をしたお爺さんとフランス人のオバサンそれに日本人らしき男性という

何とも不思議な組み合わせの3人がバラバラと座り込んで話しています。

お爺さんが「“コロー”か?」と尋ねてきました。

「そうだけど!」と答えると後を指差しています。

振り返ると、ありました“コロー”さんです。

肖像写真で見たソックリの胸像が鎮座しています。

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「ここはコロー・ファミリーが入っているのだよ!」と追加説明が・・・

お爺さんは、傍に生えていた紫の花を一輪もいで「ホイ!」と渡してくれました。

これを恐る恐るお墓の上に、お供えしました。

それにしてもあの穏やかかで小振りの絵からは想像できない立派なお墓で、ちょっとイメージとは違いました。

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「他に誰を探しておるのじゃ?」・・・「ドーミエだけど」、「じゃぁ連れていってあげる。」と

3人は各々腰をあげ墓の間を下りはじめました。

歩き出して直ぐ、ほんの3つほどお墓を抜けると「これじゃよ!」とお爺さんが示したのは全く目立たない四角い石のお墓です。

上に刻まれている文字も朽ちていて、読めそうにありません。

こりゃお爺さんに教えてもらわなかったら永遠に見付からなかったでしょうね。

お爺さんは上に置かれている鉢植えの葉っぱをグシャグシャといじりながら

「ワシャ元々庭師で、今はボランティアでお墓のガイドをやっとるんじゃよ!」と、どうりで詳しい訳だ・・・

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「次は誰じゃ?」・・・「エエッまだ付いて来てくれるの?」

「はいドーデーですが・・・」、お爺さんはゆっくりと歩きだしましたが、迷いはありません。

2m以上もあろうか大きなお墓の間をすり抜け、「ここじゃよ!」、角っこに彼の肖像が現れました。

これも案内されなかったら見付けるのが困難なお墓でした。

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もうこの辺からフランス語になり日本人男性が朴訥な日本語で説明してくれました。

途中、これはフランス啓蒙主義を唱えた誰それじゃ、とかヴィクトル・ユーゴの息子、それにナポレオンの息子の“乳母”など説明が尽きません。

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「それを見てご覧!」と指差されたお墓の上には、沢山のジャガイモが乗っています。

「この人はアンデス原産のジャガイモを今日のように改良したのだよ・・・

もっとも彼は18世紀のことで、ドイツではすでに16世紀には改良されていたのだよ!」と得意げに説明していました。

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その内、“モリエール”のお墓が鉄柵の上に現れました。

ラ・フォンテーヌのお墓と一対をなすように隣り合わせです。

「彼のお墓には遺体が入っているかどうか不明なんだよ!」、

「この当時、喜劇役者たちは共同の墓地に一緒に葬られることを望んでいたからね!」と、ほぅここでも詳しい。

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「次は誰じゃ?」、「はい、ボーマルシェです。」、もうこの辺から余りの詳しさに畏敬の念すら覚えるようになりました。

“ボーマルシェ”モリエールと同時代の喜劇作家で、我々オペラに携わった人間には

“セヴィリアの理髪師”や“フィガロの結婚”でお馴染みです。

処で、この区画は時代別とジャンル別に分けられているそうです。

「これがボーマルシェだよ!」、エエッ先ほどのモリエールのような感じをイメージしていたのですが、余りにも立派で逆に見落としてしまいそうです。

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なんでも彼は国王に仕えた重鎮だそうで、特にアメリカ独立戦争の時は、彼らを見方にに付けたいと、

当時敵対して恐怖を抱いていたイギリスに対し、発覚しないように

偽装工作をしながら武器、弾薬をアメリカに送っていたそうで、彼がその総指揮官だったそうです。

さて、この辺りで「閉門時間が迫ってきたので、我々はこの辺で!」と丁寧な挨拶に、私も丁重にお礼を言って別れました。


唯、もう一人だけ行きたかったのでチャペルの先まで大急ぎで歩きました。

それは“ビゼー“さんです。

ここでも大きなお墓の谷間ですが、こじんまりと良い感じで佇んでいました。

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さて、今回は半分ほどしか周ることが出来ず、ドラクロワやモディリアーニなどに挨拶ができないままなので、また近々生きたいなと思っています。

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あの3人は幻だったのでしょうか・・・否、あの辺に住み付いているタヌキとキツネとイタチの化身かも知れませんね。

また、次回コローさんのお墓に行けば会えるかな・・・



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# by Atelier-Onuki | 2022-07-16 00:05 | フランス | Trackback | Comments(0)

久しぶりにジヴェルニーを訪ねて

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今日もサン・ラザールからル・アーブル方面へ向けて出発です。

唯、目指すは1時間ほどのヴェルノン・ジヴェルニーという駅で、ここからバスでモネの家へと向かいます。


ヴェルノンでは沢山の人が降り、皆さん目的地は同じようです。

駅前には観光用のトラムが停まっていて、我先にとチケットを求めています。

確かシャトル・バスだったと思いつつ私も列に並びました。

超満員となったトラムはガタゴトと走り出しましたが、ちょっと先にはシャトル・バスが停まっていました。

結局は途中でこのバスに追い越されながらも目的地の駐車場へと到着しました。

ここからはそこそこの距離を歩いて入り口へ向かいました。

途中、団体さん専用の入り口があったりと、ややこしいのですがやっと正面の入り口に着きました。

思っていたほどは混んでいませんでしたが、ボチボチとコロナ前の賑わいが戻ってきているようです。

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入り口からは直ぐにショップに入ります。

ここはかつて彼の晩年、オランジェリーの壁画制作のために建てた大きなアトリエです。

さて庭へ出て母屋を目指します。

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それにしても花壇の植え方が上手い!

一部バラのアーチなどは人工的に作られていますが、その他はとてもナチュラルで

まるで自然に生えているような錯覚に陥ります。

それでもブルーからパープル系、ピンクからレッド系、そして黄色からオレンジ系と

色の系統ごとに上手に植えられています。

当初もモネ自身が花の種類や系統を指示したそうです。

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可愛いピンク色をした母屋には大勢の人たちが入って行きます。

入り口付近やベランダで、思い思いのポーズをとって写真を撮っていますが、これらは皆さん今流行りのインスタとかにバエル写真としてアップするのでしょうね。

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家の中はさすがに混雑しています。

居間から奥の仕事場兼、接客室へと繋がっています。

ここには所狭しと壁一面にモネの絵が掛けられ、コピーながら当時の雰囲気を醸しだしています。

胸像が置かれたキャビネットの傍には、ここを訪れた時の黒木竹子さんの写真も立てかけられていました。

隣にモネ、後妻となったアリス、右端は当時の文化相クレマンソーといった面々です。

すっかりモネに気に入られていた彼女は日本人が絵の購入を希望した際、仲介役として同伴したそうです。

この部屋で上野の西洋美術館や大原美術館の所蔵となった睡蓮を購入しました。

松方幸次郎や児島虎次郎が訪れた際の写真も残っています。

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さて、再び庭へと戻りバラのアーチを抜けて道路を挟んだ奥の“睡蓮の庭”を目指しました。

因みに最初は母屋側しか庭がなく、後に“睡蓮の庭”が作られました。

それに従って母屋側は“バラの庭”と名付けられました。

地下通路を抜け小川に沿って進むと睡蓮の池が現れます。

この小川は今も水が綺麗です。

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ここでも大勢の人たちが楽しんでいます。

思い思いの場所で写真撮影、「そりゃ興奮して撮りたくなるはなぁ~」と言いつつ私も何枚も撮っていました。

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特に藤棚の掛かった太鼓橋は人気でここでも撮影に勤しんでいます。

この奥の小さな池には「舟遊び」などのモチーフになった小船が浮かんでいて雰囲気を醸しだしていました。

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さあ、充分楽しんだので、ここを出て彼のお墓参りです。

家の前の通りも気を使って、同じような雰囲気で綺麗に花が植えられています。

向かいのカフェも沢山の花々が植えられ良い雰囲気です。

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途中のミュージアムも綺麗な花壇が、やはり色の系統別に植えられています。

正面入り口へは、ここではフジのアーチになっていました。

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この裏手は原っぱなのですが、ここでも気を使ったのかモネのモチーフよろしくオレンジのポピーが自生しています。名も知らぬ紫の花とのコンビネーションも素敵でした。

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この素敵な道をドンドン進むと、見えてきました教会です。


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ダラダラとした登り道を登り、右に折れる階段をあがると直ぐにありました。

十字架の形をした墓でアリスを初め一家が埋葬されているようです。

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小さな墓地ですが、何故か第1次大戦で撃墜された飛行機の隊員たちのお墓も写真付きでアチコチにありました。


今日も盛りだくさん遊んだので、気持ちはお腹一杯になりましたが、実際は腹ペコ、

帰り道、パン屋の営むカフェでパンと飲み物を購入し、駐車場近くの川沿いで遅いお昼を取りました。


さあ、今日は早めにパリに戻るか・・・



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# by Atelier-Onuki | 2022-07-13 17:49 | フランス | Trackback | Comments(0)

エトルタを訪ねて

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サン・ラザールを出発した列車は軽快にル・アーブルを目指して走りだしました。

が・・・途中から走っては止まりを繰り返し、結局は1時間ほど遅れて到着しました。


エトルタへのバスには何とかギリギリで乗り込めました。


このル・アーブルでは印象派という名前の由来となったモネの「日の出」が描かれた縁の地で、

以前も描かれた場所を探して探索したものでした。

その時にも感じたのですが、この港湾都市は殺風景で魅力を感じませんでした。

今回もバスで街中をグルグルと回ったのですが、同じような印象でした。


さて、お目当てのエトルタにも30分ほど遅れて到着、まぁフランスですからこれ位は覚悟の上です。


バス停近くで一息を入れ高台にあるホテルを目指しました。

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なかなかの登り坂でしたが、さすが高台だけあって眺めも素晴らしいものです。

16時からのチェック・インという事で、荷物だけ預け下の海岸線へ向かいました。


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左手にはあのモネたちが描いた独特の形をした断崖が見えてきました。

以前に来た時も感動したのですが、何度見ても感動的な形をしています。

反対側の教会が頂上に建つ断崖も見応えがあります。

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海岸線のプロムナードを歩きながらあちこちから眺めたり、モネが描いた場所には絵のコピーが付いたプレートが建っていて、

フム「やっぱり上手いなぁ~」と感心していました。

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点在する露天カフェの後に茅葺の屋根を付けた可愛い船が置かれています。

今は倉庫として使っていますが、昔は牡蠣売りの小屋だったそうです。

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さて、お昼になりお腹も空いてきました。

まだフランスに着いて2日目なのに、もうお腹は“タテ飯“を求めています。

ネットで見つけていた1件だけある中華料理店に向かいました。


と言うのもフランスの中華は、とても美味しく外れたことがありませんでした。

店に到着すると古くて小さなお店、まだ店内の電気も付いていません。

恐る恐るガラス戸越しに伺っていると、いきなりドアが開き「ボン・ジュール、シルブプレー!」と

小柄な爺さんが招き入れてくれました。

もうコリャ迷わず入るしかありません。

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すぐさま「何処から来たのじゃ?」と「ジャポン!」、「ほうワシャ、ベトナムじゃ」、

「ここへ来て50年ズ~とやっていて、もう80じゃ」と、ほぅ50年前という事はベトナム戦争の真っ只中・・・

「その時、逃れて来たのかなぁ?」と勝手な想像を巡らせていました。

まぁベトナムはフランス語を話す人が多いので、きっと来易かったのかも知れません。


さて、カタカタと木の表紙の、薄汚れたメニューを持ってきてくれました。

フムフムと一通り、といっても大した数がありませんでしたが、とりあえずはお決まりの

「チンタオ」、春巻きにエビチリ、広東チャーハンを頼みました。

ビールをチビチビやりながら様子を眺めていると、奥の厨房ではどうも爺さん一人で調理をしているようです。

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最初に出てきた春巻きは一般的なものではなく、どうも生春巻きの皮をそのまま揚げているようです。

それに大量のサラダ菜にパクチーもセット、何とも微妙なソースには結構な量のニンジンのみじん切りが入っています。

恐る恐るこのソースに浸けサラダ菜に巻いて一口、「オッ、爺さん中々やるじゃない!」 

今まで食べた事がない不思議な味ですが、中々美味しい一品です。


続いてエビチリとチャーハンが運ばれてきました。

ちょっと小振りの盛り付けなのでぺろりと食べられそうです。

エビは小エビなのですが身が引き締まっていてチリソースの味付けも抜群、

あっさり味のチャーハンに乗せて食すと絶品の味となりました。


いやぁ、美味しく頂きそろそろお会計か・・と思ったころ、数人の客がドアを開け入ってきました。

お爺さんは相変わらず「何処から来たのじゃ?」と訊いています。

「スペインからで、全部で13人いるのだが・・・」

「オゥオゥ~」とお爺さんは慌てだしました。

どうテーブルを並べるか思案中です。


「私はもう出るから」と声を掛け、お勘定をすませましたが、あれから13人ものお客をどう一人で対処するのか、心配をしながら店を後にしました。

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まだチェック・インまで時間があるのでバス停まで戻り、観光用トラムに乗ることにしました。

ガタゴトとウネリながら教会が建つ丘の上へと向かうようです。

これは自力で登ると相当きついので、こりゃ助かります。


上に着くと、運転手がなにやら説明をしています。

お客たちは「オゥオゥそりゃ良いは・・・」とばかり皆さん下車しました。

どうもここで降ろし後から来るトラムにまた自由に乗れる仕組みの様です。

どうりで乗る前に小汚い使いまわしのチケットをくれた訳です。

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崖の上からの景色を楽しみながら、以前ここでスケッチをしたのを懐かしく思い出していました。

充分楽しんだので次のトラムで下山しました。

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ちょっと小腹も空いたので、来る途中見かけた美味しそうなパン屋でデザートをと考えました。

小さなお店ですが、並んでいるパンやケーキはどれも美味しそうです。

円柱形をしたチーズ・ケーキを購入し、バス停近くのベンチで頂きましたが、

こりゃ抜群に美味しい・・・甘さも程よく深みのある味わいが伝わってきました。

こりゃ明日の朝食もここでパンを買って海岸沿いで食べようと、心に決めました。

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やれやれやっと16時を過ぎたのでホテルへ戻りチェック・イン、

大きなシャワールームでゆっくりと汗を流し小さなテラスで暫し休んでいました。


かれこれしている内に夕食の時間になってきました。


さて、前回も行った海沿いの海鮮レストランへでも行こうかと出かけました。

ここはいかにも観光客、いらっしゃい的な店なのですが、まぁまぁ美味しかったのと気取らない庶民派なので気楽に入れます。

まだガラガラの店内では窓際の席に案内してくれました。

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さてさて、メニューには結構な種類が載っています。

店の看板からしてオマールが一押しだし、厨房前の水槽には沢山のオマールが入っていて出番を待っているようでした。


小さな前菜とメインはオマールのリゾットを頼みました。

普通オマールはそこそこの値段がするのですが、ここは良心的な価格です。

サラダのあとこのリゾットが運ばれてきました。

おぉ何とオマールが一匹ドンと入っています。

尻尾の身の部分はタップリとリゾットの中に入っていて、その大きな身は噛み応えもあるし、

味はしっかりとオマールの出汁が利いた深みのある味付けで、思わず「こりゃ美味い!」と感嘆するほどでした。

ゆっくりと食事をし、店をでましたが未だ未だ明るいままです。


海は既に引き潮で随分と波打ち際が後退しています。

この辺の海の満ち引きは激しく、モンサンミッシェルでは干潮時には島へ歩いて渡れるほどです。


一旦ホテルへ引き返し、夕日が射しだすのを待ちました。

やっと夕日が差出したので再び海岸へ向かいました。

この岸壁に当る夕日の色を見たかったからです。


波打ち際には何人かの釣り人が竿を投げ込んでいます。

丁度、正面から夕日を浴びる教会がある断崖は薄いオレンジに染まり出し良い雰囲気をかもし出しました。

左側の断崖はその形のエッジ部分が染まり、シルエットをくっきり浮かびあがらせていました。

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ボーッと何時までも眺めていられそうです。

旅の疲れもあり、この夜はグッスリとよく眠れました。


さて、良く眠れたようで翌朝は朝早くから元気、そうそうにホテルの裏側から左側の断崖へ登ることにしました。


ダラダラとした草むらの上り道は海風に吹かれながら心地よい散歩です。

所々で写真を撮りながら登っていきました。

まだ朝早いので人影も疎ら、というか殆ど見かけません。

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頂上が近づくと先端へは橋が架かっていて、ちょっと渡るが怖そうです。

でもここまで来ると景色もパノラマの絶景だし、裏側の断崖も見ることができました。

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とても心地よい朝飯前の散歩でした。


さぁパン屋だパン屋、ダラダラと下り街中を一目散、パン屋を目指しました。

バケットもちょうど半分位のサイズがあったので迷わず購入、近くのスーパーへ戻り

チキン入りのサラダと自動プレスのオレンジ・ジュースをゲット、再び海岸を目指しました。

海岸線も人は疎らなので端っこのベンチにドッカと座り、準備万端、

バゲットを縦に裂いてここへサラダを投入、ガブリと一口、「オォ何と美味しい事か・・・」

こんなスーパーで売っているプラスティック容器に入ったサラダなのにもの凄く美味しい、野菜にしっかりとした味があり、甘みすら感じます。


タップリと朝食を堪能し、さぁダラダラとパリへ戻る事にしました。


エトルタ・・・また近いうちにあの人懐こいベトナム人のお爺さんに会いたいなぁ・・・



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# by Atelier-Onuki | 2022-07-11 23:29 | フランス | Trackback | Comments(0)

ベルリオーズのこと (6月のコラムから)

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フランスの作曲家ベルリオーズは他に類を得ないほどの奇才で奇想天外な曲を多く作曲しました。


時代はやっとロマン派に入った初期で、例えば代表作の「幻想交響曲」は1830年初演ですから200年近く前で、

これはベートーヴェンの「弟9番」の交響曲初演からたった6年しか経っていません。


ベートーヴェンもこの曲では交響曲に合唱を加えるという新しい試みもしていますが、

ベルリオーズの「幻想交響曲」では、まるで一足飛びに新時代に入ったような奇想天外な発想で展開されます。


まず交響曲の概念になかった物語を取り入れ、楽章も5楽章という新しい構成です。

また、この時期、管楽器は新しい楽器が発案されたり、従来の楽器も飛躍的に改良され演奏時術が向上し、

作曲家の創作意欲を掻き立てています。


また、後にワグナーが提唱したライト・モチーフ(一定の人物や状況を象徴的に表すメロディで繰り返し現れる)ですが、

その50年ほど前にもうイデー・フィクセという言い方で効果的に多用されています。


楽章には其々タイトルが付けられ場面の設定を作曲家自ら解説をしています。


さて、ベースになった物語は、ベルリオーズ自らの失恋体験をもとに構成されています。

イギリスからやって来たシェイクスピア劇団がパリで「ロメオとジュリエット」を公演しますが、

それを観たベルリオーズはジュリエット役のハリオット・スミッソンにすっかり惚れこみ、

あの手この手で接触を試みますが、相手にされず振られてしまいます。

失意のどん底に落ちた彼は、なんとアヘン自殺を試みます。(実際には未遂か・・・)


ただ、致死量には足りず生死境をさまよう内に悪夢が襲い、夢の中で彼女を殺してしまいます。

罪に問われ、結局は断頭の刑に、一瞬現れる彼女の面影も一刀両断、オーケストラの全奏で打ち消されます。

そして最後は魔物の饗宴と進んで行きます。


この曲は何といっても音楽がハチャメチャでサイケデリックな世界へと引きずり込まれます。

3楽章「野の風景」ではコーラングレの哀愁を帯びたメロディと舞台裏で応答するオーボエは牧童のやり取りが叙情的、

最後にティンパニー4セットでの遠雷の表現など味わい深いものです。


最終楽章では魔物の饗宴は音の洪水となりますが、コル・レーニョ といって弓の木の部分で弦を叩き、

骸骨が踊り、骨がカチャカチャ当る様を表現するなど聴き所満載です。

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追記 : このスミッソンとは後々、結婚するまでに至りますが、言葉の壁もあり
     結局は不幸な結婚生活で早々に離婚をしてしまったそうです。
     彼らが暮らしたモンマルトルの家はユトリロが描いていていますが、
     実際、訪れた処、もうそこには跡地であるとのプレートが立っているだけでした。
     人気曲だけに録音は物凄くたくさんありますが、私はミュンシュとパリ管の一枚を
     愛聴しています。

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# by Atelier-Onuki | 2022-06-21 00:03 | コラム | Trackback | Comments(0)