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シスレーの洪水

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以前、シスレーが描いた洪水の街へと向かっている夢を時々見た事がありました。
夢の舞台はどうも中部フランス辺りで、何故か汽車に乗って大きな川に掛けられた鉄橋を渡っています。
なぜ中部フランスなのかは分かりませんが、こう同じ夢をよく見ると云うのは、よほど印象に残っているのだなぁ~と思い返していました。

それはオルセーでも何度か見た事があったのですが、それよりもズ~っと昔、
未だ私が小学生のころルーブル美術館展と云うのが東京と京都にやって来ました。
それは大きな展覧会だったそうで、母親に連れられて京都まで見にいきました。
大阪の淀屋橋から特別仕立ての「ルーブル号」に乗って三条まで、岡崎にある市立美術館にはもう幾重にもなった列が出来ていました。
その賑わいは、テレビや新聞でも大きな話題として取り上げられていました。

押すな押すなの人混みの中、入って直ぐ目に入ってきたのはクールベの「水辺で戦う鹿」という大きな絵でした。それにミレーの「春」、これも印象に残っています。
(これらの絵は、未だオルセーが無かった時代、ルーブルに展示されていました。)
それに比べこのシスレーの「洪水」の絵はさほど大きくもなく、むしろ穏やかでおとなしい絵でした。何故この絵が夢に出てくる程に印象に残ったのかは、分かりませんが、多分なんの変哲もない風景の中に、その洪水と云う現象が何か日常的ではない不思議な光景として、何処かにインプットされたのでしょう。

これは一度訪れなければと真剣に考えるようになり、インターネットで調べてみましたら、あった、あった・・・それはパリの北、セーヌに沿った所でそれ程遠くはありません。しかもこの描かれた家もまだ現存しているようです。(中部フランスではありませんでした。)

パリの外れラ・デファンスから乗り合いバスが出ているようで、サン・ジェルマン・アン・レーへ行く途中にこの町があるらしい。唯、バスの路線図にはこの町の名前が出ていないのですが、まぁ近そうな所でエィと降りれば良いやと思い、バスに乗り込みました。
取りあえず、行きは終点のサン・ジェルマン・アン・レーまで行って様子を伺う事にしました。
この街には大きなお城があって、シスレーはここも描いているので、行く価値は充分ありそうです。
そのお城は案外バス停の近くにあって直ぐに見付かりました。
それにしても広大な敷地で、街の名前と同じく、サン・ジェルマン・アン・レー城と云うそうです。
お城に沿って庭園の端までテクテク歩いて行きました。
そこはちょっと高台になっていて、丘陵の葡萄畑越しにパリが遠く見えています。
そのちょっと左側へ目を移すと、これこれ・・・シスレーが描いた石橋のある風景がそのままに残っています。一方右側には赤い壁の素敵な館が建っています。
これは後から知ったのですが、アンリ四世の館と云って、なんとルイ十四世はここで生れたそうです。

街の方へ戻って(と云ってもそれ程大きな街ではありませんが)、北フランス風のちょっと渋めな落ち着いた街を歩いてみました。
インフォがあったので、地図でも貰おうかと立ち寄ると、ドアの上のプレートにはツーリスト・インフォメーションと書かれた更に上に、ドーンとドビュッシーが生れた家と書いてあります。
エッ知らなかった・・・インフォの人に訊いてみるとその通りで、今は記念館になっているそうです。運悪く月曜日だったので休館日・・・それでも中へ入れてくれました。
狭い中庭には木製の階段がへばり付くように付いています。
彼が生れたと思われる三階あたりからは、中庭越しに家々の屋根が見えます。
上を見上げると小さく切り取られた空に雲が流れていました。
あの夜想曲に出てくる雲はこんな風景だったのかしら・・・と思いを馳せましたが、
実際には二歳までしか住んでいないそうです。
シスレーの洪水_a0280569_2192274.jpg
さていよいよお目当ての洪水の町へ、ポール・マルリーと云う名の町らしい。
この辺りかと思われるバス停でエィと下車、・・・ 通りを渡って川の方へ
トコトコ歩いていると左の角に見覚えのある建物が、・・・
おっ~これだこれだ、ありました夢にまで見た光景が・・・
彼が描いた場所にはコピーの絵が入ったプレートまで立っています。

もう感無量・・・無言で暫く眺めました。
レストランだった所がタバコ屋になっている位で殆ど絵そのままです。
勿論今は洪水の状態ではありませんが・・・
気が付けば、嬉しさのあまり思わずこの建物をさすっていました。
冷静に考えると奇妙な東洋人を演じていましたね。
その建物の前は小さな公園になっていて、それを抜けると直ぐにセーヌ川にぶつかりました。岸辺まで水が迫っていて、こりゃ簡単に洪水になる訳だ。・・・

唯 残念な事に、この後は、この洪水の町を訪れる夢を見なくなってしまいました。


by Atelier Onuki
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by Atelier-Onuki | 2012-10-27 01:54 | フランス | Trackback | Comments(0)
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