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バイエルン放送交響楽団 演奏会 2012年10月19日

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夏場は外でボーっと過ごす事が多いのですが、秋になって来るとオペラやコンサートの新シーズンも始まり俄かに忙しくなってきます。
昔と違って今はインターネットで各地のスケジュールが簡単に見られるので、さて来シーズンはどんな演奏会があるのかとワクワクしながら見ています。

ここミュンヘンにも幾つかオーケストラがありますが、やはりメジャーはバイエルン放送交響楽団(長ったらしいのでBRと略して読んでいます)とミュンヘン・フィルでしょうか。

BRは放送局に属し日本で云うとN響と云った処でしょうか、一方のミュンヘン・フィルは市に属しています。ミュンヘンは一般的にもお金持ちの人が多く住んでいるらしく、放送局も市も予算があるようで、歴代世界的なスターが常任の指揮者に就任して来ました。

現在はBRの常任指揮者はヤンソンス、客演指揮者の中にはムーティやラトルらの名が連ねられています。
ミュンヘン・フィルもマゼールと云う大物指揮者を常任に迎えました。80歳での就任でした。
客演指揮者ではメータを始めプレートルやゲルギエフなど豪華な顔ぶれ。
それにしてもこのオーケストラは余程ベルリンに対する対抗意識が強いのか、かつてのチェルビダッケにしろ今のマゼールにしても、ベルリン・フィルに振られた人達を音楽監督に迎えています。

演奏会場に関しては、BRがレジデンス内のヘラクレス・ザールとガスタイクにあるフィルハーモニーの二箇所を主に使用し、大抵はヘラクレス・ザールでの公演です。
一方のミュンヘン・フィルはもっぱらフィルハーモニーでの演奏会で、オーケストラ事務所もここに置いている程です。
この建物は30年近く前に建てられたもので、小ホールや図書館を始め各種の文化機関が入っていて、総合文化センターのようになっています。
その一つのフィルハーモニーは客席数もそこそこ多く、ミュンヘン・フィル以外にも多くの演奏会が連日開催されています。
すり鉢状に広がっている客席は壁や天井に天然木がふんだんに使われていて、これは相当予算を掛けただろうなと推測されます。
唯、残念なのは、入って直ぐに目につくのは客席後方から中央に堂々と突き出しているテクニカル・ルーム。どうしてこんなに大きなスペースをセンターに設計したのかは分かりませんが、見るからに音が別れてしまいそうです。実際に、出ている音は若干拡散されて響きが減少しやすい感じがしますが、皆が云う程は悪くありません。それでもどうしてもこの出っ張りは気になります。

その点ヘラクレス・ザールの方は素直でまとまりのある響きがします。
建物の形はウィーンのムジーク・フェラインと同じく、音楽ホールとしてはタブーとされているシューズ・ボックス型ですが、なぜか良い音がします。
それには色んな要素があるらしいですが、ウィーンの場合は吊り天井と金箔の彫刻と内装が影響しているそうです。ここはウィーンのように煌びやかな雰囲気はなく質実剛健、両サイドの壁面には立派な段通(今はプリントされた物)が何枚も掛けられています。フローリングの床に、客席もそれほど大きくはなく、これらのことも良い音がする要因かも知れません。

それにしても音は魔物、どんなに周到な準備をして設計しても大したことがない場合もあるし、
しかし建てて見なければ分からい、そして建設後2~3年経たないとその真価が分からないときています。一般的には、平行な面ができてしまい響かないと云われるシューズ・ボックス型ですが、他にもアムステルダムのコンセルトヘボウは周知の通り、ルツェルンのホール始めエッセンやブッパータールもこの形ですが、とても素晴らしい響きがします。そう云えば仙台のホールも良いらしいですね。

そこで先日はBRの演奏会へ行って来ました。
ヤンソンスの指揮で一曲目はシュッチェドリンとか云う作曲家のよう分からない曲でしたが、終演後は作曲家自ら挨拶に現れました。私は現代曲が殆ど分からないのですが、時々こうして世界初演とかに立ち会う機会があります。考えてみればベートーヴェンだって、あの当時にしてみればとんでもない現代曲で人々を困惑させていたのでしょうから、ひょっとしてこの日の演奏会に立ち会うのも歴史の証人になるかも知れない…と思いながら丁重に聴くようにしています。

次も余り馴染みのないショスタコーヴィチの「ピアノとトランペットと弦楽オーケストラの為の協奏曲」と云う曲でしたが、これはさすがショスタコ、色んな作曲家からの引用も見え隠れして、とても楽しく聴くことができました。

休憩後はベートーヴェンの「エロイカ」シンフォニー、オーケストラは比較的に小編成で、配置も古典的な列びでしたが、演奏自体は昨今はやりのピリオド奏法ではなく、かつての正統派の路線で、素直な解釈(意外とこれが難しい)。安心して身を依だねながら聴く事ができました。

このオーケストラは、放送局オーケストラによく見られる通り、技術力が高く機能的で素直、余り色が付いていません。なかでもこのBRはレヴェルが高くどんな曲でも上手くこなしています。

この5月、4と5番のシンフォニーからベートーヴェン・チクルスが始まりました。
11月末からは日本の各地でもこのチクルスの公演を予定しているようです。

中々まとめてベートーヴェンを聴く機会も意外とありませんので、行かれる人は楽しみですね。

by Atelier Onuki
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by Atelier-Onuki | 2012-10-28 16:08 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
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