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俺たちゃ 街には 住めないからに

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デュッセルドルフの我が家は人の出入りが多く、宴会もしばしば。
そんな中、Mさんご一家とは帰国されるまでの間、特に親しくしていました。

Mさんは、かつてはスピード・スケートの選手で、何でもヘルシンキであった世界選手権では
5位と云う輝かしい成績の持ち主。
酔っ払うと、「スタート時の第一歩は世界一だと云われてたんだよっ」とよく語っていました。
奥様も本格的なフェンシングの選手だったそうで、まさにスポーツ一家という感じでした。
そんなMさんも今はのんびりした気の良いおじさんで、○ちゃん、々と皆から親しまれていました。

冬も近づいてきたある日、いつものように皆で一緒に飲んでいましたが、
話題はスキー話に・・・
今年は皆でドロミテへ行こうと云う事になり、大いに盛り上がりました。

それを聞きつけた娘の同級生が、私も行きたいと云う事で、こちらは母子二人での参加。
総勢11人と云う大所帯となりました。

あれこれと皆で計画を立てるのもワイワイと楽しく、皆で料理する日々の献立まで相談していました。
そんな中、何時しか皆は私のことを隊長と呼ぶようなりました。
まぁ11人ですからちょっとした一個小隊、なんだか小隊長になったような気分で、
そう呼ばれるのが嬉しくなってきました。

ただこれだけの大人数ですからアパートを見つけるのも一苦労です。

結局モエナと云うメインのスキー場からはちょっと外れた村に、一軒のアパートを見つけました。
アパートのある地区はソメダと云って、そのちょっぴり日本っぽい響きも気に入りました。

いよいよ出発当日、今回も夜行寝台ですが、もう雪がシンシンと降っています。
一番料金の安い6人用のベッドが付いたコンバートメントに男女が分かれて乗り込みました。
我が小隊の男性陣は4人でしたので、当然見知らぬ他人と同室になります。
まぁ最初の方はお互い遠慮がちに静かにしていましたが、
私は長旅をMさんと楽しみたかったので、
秘かに箱の酒(=日本酒)を用意していました。
これをチビチビやっていると、二人のドイツ人も興味深そうに見ています。
静かに飲んでいるのも飽きてきたので「どう・・一杯試しますか?」と聞いてみました。
最初はちょっと躊躇していましたが、飲んでみると結構気に入ったようで、
その後はオツマミも出てきてワイワイと楽しく過ごしました。

列車は定刻通りにボルツァーノに到着、箱が効いたのかちょっぴり頭が痛いです。
バス・ターミナルでモエナ行きのバスを探しても見つかりません。
結局一番近い所までバスで行って、そこからはタクシーと云う事になりました。
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外れとはいえ、このモエナにもLusiaと云う立派なスキー場があって
充分スキーを堪能することができます。
Mさんのお子さん二人は未だ初心者でしたが、さすが両親のDNAを継いだのか覚えが早く、
メキメキと上達していきました。
もうそろそろセラ・ロンダにトライしても良いかなと云うレヴェルにまで達したので、
いよいよ向かうことにしました。

モエナからスキー・バスで40分位でしょうか、セラ・ロンダの出発地点の中で一番近い
カンピテッロに着きました。
ここからロープ・ウェイで一気に登りますが、暗く厚い雲が立ち込めています。
スピードを上げたロープ・ウェイがその雲を突っ切ると
「ワァー!」と云う歓声と共に雄大な山々のパノラマが目前に広がりました。
ここはコールロゼッラと云って標高が2400m位あります。
今度は反対側の斜面を雲に向かって降りて行くのですが、ちょっとキツイのは最初だけで
途中のセラ峠あたりからはダラダラとしたコースがプランと云う村まで続き、
ゆったりと楽しむ事ができます。
それにここからの眺めは大好きです。
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広大な斜面に、もみ木やゴツゴツした岩が点在した不思議な光景で、
子供達は映画のシーンで見たのでしょうか、ここを007コースと名づけました。

プランに着いた頃、もう「お腹が空いた!」と言い出す人も。
ちょっと遠い所から来たので、既にお昼近く、ここで昼食をとることにしました。
このプランには大きなカマドのある炭火焼のレストランがあって、
ピザを初め焼き物が美味しい店です。
奥の席に陣取ってワイワイと楽しい食事が始まり、話にも興が乗って長居をしてしまいました。
実は未だここは、全体の四分の一しか来ていません…。

ちょっと先を急がなくてはならないのですが、
途中景色が良いところでは、記念写真のためストップ・・・
そんなこんなで、何とかアラバまでたどり着きました。

さあここからが最後の難関、今回の時計回りのコースでは最大の難所が待っています。
唯、これを乗り切って最後のリフトに乗れば、後は我々の帰りたい所まで滑って降りられます。

二本あるロープ・ウェイの内、当然低い所へ向かう楽な方に乗りたかったのですが、
何とこの日は運休、仕方なく一番上まで行くロープ・ウェイに乗りました。
途中からチラホラ雪も降り出して来ました。

それでも頑張って何とか途中辺りまで滑ってきましたが、今度は行きたかったコースが閉鎖中。
このキツイ斜面を直行しなければなりません。

雪は益々勢いを増し視界が効かないほどに、それに日も暮れ始めました。

ここまで頑張って来たY君ですがとうとう立すくんでしまい、ちょっぴり涙ぐんでいます。
お父さんのMさんも緩斜面では面倒を見ることができたのですが、
さすがにこのキツサでは為す術もありません。

しばらく呆然としていると、上の方から三・四人滑ってくる人影が。
近づいてきてやっと、それがお巡りさんであることが分かりました。
スキー・ウェアですが、はっきりとお巡りさんである事が分かる制服、
それもイタリアのポリシアですから格好のいい事。

どうも我々のような落ちこぼれがいないか最後の見回りをしていたようです。
事情を察した一人の若い警官が、Y君をひょいとダッコして
スイスイとものの見事に降りていきました。
我々も何とかついて行き、下にある小さな休憩小屋までたどり着きました。
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残念ながら最後のリフトはもう終了で、動いていません。
彼らに帰る術を尋ねると、タクシーしかないと云う事でしたので、
皆が乗れそうな大きな車を頼んでもらいました。

その間のオバサマ達ですが、呑気なもので、この先の心配をするどころか、
胸の前に両手を合わせた格好で、若いお巡りさんに向かって
「格好いい、格好いい・・・」と連発しています。

お店の人達も店じまい、バス停の待合みたいな軒先に裸電球だけ付けて、
さっさと帰って行ってしまいました。
大きなタクシーはそう何処にでもある訳ではないので中々来ません。
雪は止む気配もなく、どれ位待ったでしょうか。
一時間ほど経った頃、ようやく山の上からヘッドライトの動きが見え始めました。
きっとこれだろうと信じて、まるで希望の光がやって来たような気持ちで待っていました。

それが実際タクシーだったのでどれ程ホットしたことでしょうか。
今度は、いろは坂の様な山道を延々と走りようやく宿のある村まで帰って来る事ができました。

それにしてもあの山道を遠い所まで良く来てくれたなぁと、
今となっては笑い話と共にしみじみ感心をしています。

by Atelier Onuki
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by Atelier-Onuki | 2012-12-18 21:47 | チロル | Trackback | Comments(0)
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