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ヘンゼルとグレーテル

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先日の日曜日は、我らが大野和士さんがここのシュターツ・オーパーデビューとなる
「ヘンゼルとグレーテル」を観てきました。
グレーテル役も中村エリさんで、こうして日本人の活躍を見るのも嬉しいものです。

クリスマス・シーズンになると、「ラ・ボエーム」やバレエの「くるみ割り人形」と共に毎年
数多く取り上げられますが、中でもドイツ語圏では一番多く取り上げられているのではないでしょうか。
内容的にはクリスマスとは関係がないのですが、二幕のフィナーレで沢山の天使が出てきたり、
最後は神への感謝の賛美で終わるので、この時期には相応しいのでしょうね。
実際、もしこのオペラがなかったらと思うと、オペラ・ファンと子供達には、
ちょっと寂しいクリスマスになっていた事でしょう。

個人的にも昔まだ学生だった頃、大谷洌子先生の演出での公演をお手伝いさせて頂いた事もあって、
とても好きな作品です。

このオペラはフンパーディンクの妹さんでヴェッテ婦人と云う人が教会の子供劇のために、
グリム童話の中からこの題材を選び、原作の残酷なシーンをカットして、やんわりとした内容に
自ら台本を書きました。
そこで作曲を音楽の先生でバイロイトでもワグナーの助手を勤めていた兄に、
「お兄ちゃん、ちょっと音楽をつけてよ。」と気軽に頼んだ処、
こんな立派なオペラに仕上がってしまいました。

おそらく、クリスマスには毎年、教会で子供たちによる降誕劇を行ってきて、
ちょっとマンネリ化していた劇を何か新しいやり方で試したかったのだと思われますが、
妹さんとしてはその出来の余りの立派さに、驚くと共に少々困惑したのではないでしょうか。
私も以前、降誕劇の装置のお手伝いをした事がありましたが、
気まぐれな子供達の扱いは大変で、しかもこんな立派なオペラは素人だけでは
到底できそうもありません。

実際、これを知ったワグナーも、自分自身が目指していた楽劇と云うスタイルで、
素晴らしい出来栄えとなったこの作品には大いに嫉妬をしたそうです。
事実、ヴェッテさん達が上演したという記述は見たことがありませんし、
初演はクリスマスの二日前にヴァイマールで何とリヒァルト・シュトラウスの指揮で
行われていますから、文字通り音楽史に残る名作の誕生と云えるでしょうか。
子供向けに分かり易いとは云え、話の内容、音楽共に素晴らしく、
ジーンと来るシーンもシバシバあります。

この日の演出は1965年の復刻バージョンでリストさんと云う演出家、
この方の事はよく知らないのですが、伝統的で分かりやすい演出で安心して観ている事ができました。
14時と18時からの二公演で、歌手は流石にダブル・キャストでしたが、
指揮の大野さんは両方共の出演でさぞかし大変だった事と思います。
丁寧に出だした序曲は自然なテンポで進み、フィナーレではたっぷりと歌って
気持ち良くまとまりました。観客の反応も暖かい拍手で好意的でした。

まぁ初登場の指揮者にとっては試金石の様な扱いをされている作品の一つですが、
ここでは数年前まではルイージが振っていましたし、
二年前だったかロイヤル・オペラではコリン・デイヴィスが豪華キャストを起用して振っています。
(どうもこれはDVDになっていて今年、日本でアカデミー賞を取ったようです)
レコーディングを見ても、かつてはカラヤンを初めクリュイタンスとショルティはウィーン・フィルと録音
をしていますし、巨匠と云われた人達にも興味のある作品なのでしょうね。

大野さんの場合は多分、数年前グラインドボーン音楽祭での実績もあって、
招待されたと思いますが、これから徐々にメジャーの出し物にも登場してもらいたいものです。
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歌手陣はお父さんがちょっと張り切って歌い、テンポを崩していましたが、
我らがエリさん初め皆さん良く健闘していました。
唯、この貧しきはずの一家、皆さん良く栄養が行き渡っているようで、ちょっと微笑ましい。
まぁ考え方によっては、返って悲劇にはならない救いとして良いのかも知れません。

Wenn die Not aufs höchste steigt,
Gott der Herr die Hand uns reicht!

たとえ困難が最高潮に達しても、
神はその手で私たちを守りたもう!

下手な訳で済みませんが、皆によるこの歌で終幕となります。

by Atelier Onuki
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by Atelier-Onuki | 2012-12-23 01:58 | オペラ | Trackback | Comments(2)
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Commented at 2013-01-02 05:58
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by Atelier-Onuki at 2013-01-03 17:23
Lilicco 様、

改めてあけましておめでとうございます。

コメントありがとうございました。
いつも読んで頂いているようで嬉しい限りです。
これからも面白かった出来事など、興味深い内容の文章を心がけますので、今後共ご愛読宜しくお願い致します。
では皆様にとりまして良き新年であります様お祈りしております。

小貫
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