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ムターの演奏会

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昨夜はムターの演奏会があったので久しぶりにケルンのフィルハーモニーへ出かけました。
演目はロンドン・フィルとの共演でチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲でした。

ムソルグスキーの「モスクワ河の夜明け」と題されたオペラ「ホヴァンシチナ」からの前奏曲と
ショスタコーヴィチの5番の交響曲の間にこの協奏曲がプログラミングされていました。

指揮者はSeguinという未だ若いカナディアンで最近はベルリン・フィル辺りにも客演として
招聘されている様で力はある指揮者なのでしょう。
まぁ一度聴いただけでは何とも云えませんが真剣に取り組んでいる様子は伺えました。
オーケストラを纏める能力もありそうですが、未だこれからの感じがしました。

それにひきかえ、二曲目に鮮やかなエメラルド・グリーンのドレスを身にまとって登場してきたムターは
堂々としていて貫禄充分です。
暫くオーケストラの前奏があってタップリとしたヴァイオリンの出だしの所も余裕綽々で、
鮮やかながらもゆったりと柔く歌いだします。
一楽章のメイン・テーマに入ってもあくまでも柔らかく表情が豊かです。
それにしても凄いレガートで弾かれるヴァイオリンの音は滑らかで艶やか、これはあのレガートに
徹底的にこだわっていたカラヤンと共演したレコーディングよりも更に滑らかな演奏です。

16歳と云う若さでカラヤンと初共演して、あれから何十年が経つのでしょうか、
この滑らかな表現はこの当時からの影響なのか、それともこれが今の彼女の心境なのでしょうか。
その演奏には自信がみなぎっていて安心して聴き入る事ができます。
時折木管のソロとの掛け合いではその奏者の方へ向き合い、互の呼吸を合わせているようですし、
曲が盛り上がっていく直前にはコンサート・マスターの方へ向かってリードをしています。

これなら指揮者は要らないのではと思われる程で、実際このオーケストラとはモーツァルトの全曲を
弾きぶりでとても良い演奏のレコーディングを残しています。

静かに甘い旋律が続く二楽章も当然ながら艶やかな音を駆使して、どこまでもロマンチックに甘く歌います。
切れ目なくパッと繋がっていく三楽章に入ってやっとアクセントを付出しました。
ここではあえてちょっとザラっとした荒々しい感じで弾きだされますが、それも意図がはっきり伝わって来ます。
次第にスピードを増して一気にクライマックスへと突き進んで行きますが、ここでも余裕綽綽とした演奏で
キビキビと見事に弾ききりました。
もうこの曲は何十回、否ひょっとしたら何百回と弾いているのでしょうか、全く手馴れたもので完全に自分のモノにしています。
このちょっとベタな曲はロマンティックな演奏をする彼女の右にでる人は居ないのではないでしょうか。
それに彼女の弾きだす一音一音の何と目が良く詰まっている事、色んな意味合いが凝縮して込められている様に感じられます。
これほど滑らかで柔らかい音ながら芯がしっかりとしていて、力強さや奥行もたっぷり持っている上に
決して神経質な音に陥る事がありません。

あの引退を表明してから何年が経つでしょうか、何時本当に引退してしまうのか分かりませんが、
今聴く機会がある内に出来る限り聴いておきたいなぁと思っています。

by Atelier Onuki
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by Atelier-Onuki | 2013-04-12 16:39 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
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