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5月に

Im wunderschönen Monat Mai,
Als alle Knospen sprangen,
Da ist in meinem Herzen
Die Liebe aufgegangen.

素晴らしく美しい月、五月に、
あらゆるつぼみが一斉に開いたとき、
僕の心にも
愛がほころんだ。

シューマンの歌曲集「詩人の恋」はハイネの詩によるこの一節から始まります。

一年でも最も美しい五月、木々には鮮やかな新芽が芽吹き、花々も一斉に咲き出しました。
この一番心地良い季節に、なぜかこのハイネを初め多くの詩人は失恋をしてしまいます。
作曲家も然りで、シューベルトも失恋だけの短い生涯でとても気の毒な気持ちになります。
唯、その代償として珠玉の名作の数々が生まれてきました。
もし彼らの恋が実り、その後幸せな家庭を築いていたら、今日、我々はあの名作の数々を
聴く事が出来なかったでしょう。

詩人でも作曲家でもない私は失恋に悩まされる事もなく、ウキウキとした気分で散歩に出かけました。
ちょうど木漏れ日も射し出し、それに今日は柔らかいそよ風が心地良く吹いています。

いつもの散歩コースですが、毎回いろんな発見に興味をそそられます。
先ず見つけたのは白い八重桜、これはピンク色と決め付けていたのですが、
白もあってその美しさにしばし見とれていました。
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畑のある緩やかな丘陵まで出てくると今度は何だか十数羽の白い鳩を操っている人が・・・
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二つの餌箱をあっちに置いたりこっちにやったり、時には餌を投げてみたりと、
おそらくサーカスかマジック・ショーの訓練かと思われます。

その後ろてにはお花畑が広がっていて、さながらオランダのチューリップ畑の一角を
切り取ってきたようです。ここは自分で摘んで代金は缶に放り込むセルフ・ガーデン。
バリバリと音を立ててレトロなポルシェが横付けされました。
中からやはりレトロな婦人が降りてきて、このお花を積むようです。
それにしても良い服を着たご婦人でした。
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ダラダラと川原まで降りて来ると先日のガンの親子ものんびりと泳いでいました。
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ビア・ガーデンでも待ちわびたように大勢の人たちが昼食を楽しんでいます。

本流沿いに川を鉄橋まで上りました。
この袂に小さな茶屋があって一休みです。
その後はこの裏手に生息するBärlauch(熊のニラとでも訳せましょうか、所謂行者ニンニク)を
採取するのがお目当てです。
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この行者ニンニク初めて見かけたのはウィーンの森でしたが、それはそれは森全体が入った瞬間から
ニラの匂いに包れる程で、一面可憐な白い花が咲き乱れた宝庫でした。
最初は食べられるかどうか分からなかったので、偶々摘んでいた家族に訪ねた処、
「アァー、ンー、ちょっとウサギの餌に・・・」と恥ずかしそうに云っていました。
ミュンヘンに来てからは市場でも結構いい値で売っているのを見かけますし、
レストランでもこれを使ったリゾットやスープもあってちょっとは知られている様です。
唯、これはスズランとそっくりなので要注意です。
花が咲く時期は若干違うのですが、スズランの方は猛毒ですので危険です。
新鮮な行者ニンニクもタップリと採取する事ができ帰路につきました。

帰り際うちの近くのビア・ガーデンでは丁度伝統の踊りが始まろうとしていました。
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これはタンツ・ウム・デン・マイバウムと云って「五月の木のもとで踊る」といった意の伝統行事、
あのバイエルンのビア・ガーデンには必ず立っている白とブルーの格子柄のポールが五月の木の事です。
民族衣装で着飾った踊りは素朴そのもので、何だかズッーと時間がさか戻った感じがしました。


by Atelier Onuki
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by Atelier-Onuki | 2013-05-03 01:00 | ミュンヘン | Trackback | Comments(0)
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