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さまよえるオランダ人の公演

私のオペラ・フェスティバル初日はワグナーの「さまよえるオランダ人」で始まりました。
演出は何時も斬新な演出で物議を醸し出すコンヴィチニ、しかも今日は休憩なしの二時間半ぶっ通しの上演なので覚悟を決めて着席しました。
(ワグナーは元々一幕形式で考えていたそうで、最近はこの休憩なしの上演も多いようです。)
それでもこの作品はワグナーの中では上演時間が一番短い作品だし、曲も初期の作曲なので未だ古典的な手法も残っていて聴きやすいものです。
開演に先立ち挨拶があって、今日エリック役のフォーグトが11時頃に病気との連絡があり、急遽
ケルンからホムリッヒが17時ころに駆けつけてくれましたとの案内がありました。

指揮者はアッシャー・ヒッシュと云う中堅で中々の集中と気合を持って序曲が振り下ろされました。
オーケストラも良く答えボリューム感もたっぷりながら丁寧さもちゃんと兼ね備えた演奏です。
席がバルコン・サイドの前の方だったので、ピットにも近くダイレクトに聴こえてくるオーケストラの音を楽しむ事ができました。

演出はモダンだろうと覚悟をしていましたが、最初の幕が開いてみると何と結構写実的な舞台でちょっと拍子抜けしました。
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亡霊船からオランダ人の乗組員が上陸してくるシーンでは中世の甲冑や兜にマント姿で、ほの暗い舞台にはうっすらと光が射している光景は
まるでレンブラントの[夜警]を連想させます。
昔々に幽霊船となったオランダ人とレンブラントとの結びつけは中々上手い発想だし、絵的にもとても綺麗なシーンを作っていました。
間奏曲の後、滞りなく開いた二幕目は打って変わって現代のフィットネス・クラブの設定です。
いよいよコンヴィチニの真骨頂が発揮されそうです。
冒頭の「糸紡ぎの歌」のシーンでは糸車を皆で回しながら歌う演出が普通ですが、ここでは良くジムにある固定の自転車を皆で漕いでいます。
まぁこれも回すと云う意味では辻つまはあっていますし、それ程抵抗を感じるどころかちょっと面白く感じました。
遅れてやって来たゼンタの手にはオランダ人の肖像画が、それもやはりレンブラント風です。
途中から現れたエリックもサウナにでも入っていたのかバス・ローブ姿でオランダ人に魅せられた
ゼンタを責めますが、この格好ではちゅっと説得力に欠けた感もありました。
三幕目は街頭に面した居酒屋の設定ですが、ここでも照明が綺麗でその落ち着いた暗めの光のなか色使いも渋くてシックです。
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時折舞台の袖からスポットがあたり光線が綺麗に差し込んでいるシーンなどサイドのボックス席をしきっているギリシャ風の円柱と
ワインレッドの壁とがマッチしてまるで映画のワン・シーンを見ているようでした。

歌手も全体に上出来でしたが、特にゼンタ役のアンニャ・ケンペとダーラントを歌ったケーニーヒがずば抜けて素晴らしい歌唱と声量でした。
それとゼンタの精神的な象徴として一幕目から登場していた役者が演じるもう一人のゼンタの存在はこの内容をより理解する上で重要な役割を果たしていました。

終演後はもう既に外から音が聞こえて来て、今夜のもう一つ催し「ワグナー対ヴェルディ」が始まりだしたようです。
外に出ると広場には黒山の人だかりで、オーケストラもあちこちに陣取り打楽器群の饗宴の様相。
更にアマチュアの楽団が次々とやって来るようで、オペラ前の大階段へは入らない様にコントロールされています。
歌劇場から出てきた観客の殆ども立ち止まって見ているので一向に前に進めない状態です。
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係員が必死で前に進むように指導しているのですが誰一人として動きません。
暫く様子を伺って居たのですが、催し自体はちょっとお祭的だったし、それに何と云っても
お腹が空いていたので、今度はバックして再び劇場を抜け裏口から退避しました。
近くの日本レストランで一杯潤ってから帰路につきましたが、帰り際ここを通ると未だクライマック・スシーンを派手にやっていました。

by Atelier Onuki
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by Atelier-Onuki | 2013-07-01 05:50 | ミュンヘン | Trackback | Comments(0)
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