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上野の国立西洋美術館を訪ねて

今年の五月に東京へ行った折、久しぶりに上野の西洋美術館を訪れました。

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もう、何十年前になるでしょうか、私が初めてここを訪れたのは高3の夏休みで、
それは高円寺にあるちょっと有名なデッサン教室へ一月間通っていた時でした。

この頃は未だ見るもの全てが物珍しくこのモダンなル・コルビュジエ設計の建物は新鮮で、前庭に展示されているロダンの彫刻と共に深く印象に残りました。
その後、学生時代からこの前に立っている文化会館へ仕事で足繁く通うことになろうとは、その時には全く想像も付きませんでした。

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当日はラファエロの特別展を開催していたのでチケット売り場には長蛇の列ができていました。
私は常設展だけを観たかったのですが、窓口は特別展も同じでこの長い列に加わらなければなりませんでした。

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この美術館は松方コレクションを中心に展示がされているのは有名な処ですが、
第一次大戦で大儲けをした時代に予算に糸目をつけず収集をしているので、
美術史上を代表するような凄い名作の数々が展示されていて驚かさせられます。

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中でも印象派の絵画がコレクションの中心を占めていますが、特にモネの作品など未だ健在だったモネの自宅まで行って買い付けている程で、
ここのコレクション全体の中でも質、量共に最大の規模でしょう。

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「睡蓮」は元より「舟遊び」や「雪のアルジャントゥイユ」など名作の数々をたっぷりと味わうことができます。

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それらは彼自身が気に入って自宅に飾っていた作品の数々を渋々譲ってくれるまで交渉を重ねたそうです。

大原美術館にある「睡蓮」などの購入交渉をした児島虎次郎さんもそうですが、当時すでに巨匠中の巨匠であったモネさんを相手に、
巨匠の言いなりには従わず本当に欲しい絵が手に入るまで粘り強い交渉が出来たなんて、
この時代の日本人の凄い気概と見識の高さにはつくづく感心させられます。

パリのロダン美術館や郊外の農家で保管されていたこれらのコレクションは、
第二次大戦後フランス政府によって没収されていましたが、これも粘り強い交渉を重ねて遂には日本へ帰属されることになりました。
一点ゴッホの「アルルの寝室」(三作目)は頑として認められず残念ですが、今オルセー美術館での展示もその場所が良く似合っているようです。

これら先人の並々ならぬ努力のお陰で今日我々の目を楽しませてくれたり、何よりも大いに勉強させてもらえるのはとてもありがたい事です。

45年前初めて見た少年の目にも新鮮な感動を与えてくれましたが、こうして歳を重ね多くの名画を見てきた今も新鮮な感動を覚えました。
この美術館には愛すべき有数の名品が揃っていて世界的にも立派に誇れる美術館だと再認識しました。


by Atelier Onuki
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by Atelier-Onuki | 2013-07-18 21:48 | 日本 | Trackback | Comments(0)
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