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ルール川の舟下り

明けて日曜日はちょっと気温も下がり爽やかな風も吹いています。
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折角なので何処か近場の気持ちが良さそうな所は~ と考えてルール川で船にでも乗ろうかと出かけました。
処でこの地域で発行されている定期券は色んな用途に応じた種類があってとても便利なのですが、
我々が年契約しているチケット‐2000と云うのも優れものでとても重宝しています。
これは普段デュッセルドルフ市内の公共の乗り物は全部乗り放題で、しかも貸し借りが自由と云う気前の良さです。
それが更に19:00時以降と週末や祭日は大人2人と子供3人まで同乗する事が出来、
さらにオマケで乗車範囲がこの州全域まで広がります。
何故かケルン方面だけは同じ州なのに途中までしか乗ることが出来ず、この先は別料金となります。
長い歴史の中で何時も対抗してきたこの両都市では今もそんな意識が何処かにあるのでしょうか。
逆に北西方面に目を向けると、何とオランダ国境まで有効で、高々3ユーロの追加券を買っておけば
オランダのVenloまで乗って行くことができるのです。

さて、この日はKettwigと云う小さな町まで行く事にしました。
Sバーンと云ういわゆる郊外電車に乗り、これも30分ほどで到着します。
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ルール川沿いにあるこの町はちょっと高低の差があって川原からの眺めが素敵です。
町並みは古く木組みの家や、ドイツではシーファー、日本ではスレートと云われる薄い層に加工し易い
石を瓦や壁にフンダンに使った家々が建っています。
小路もグニャグニャと曲がっていたり階段や坂道も味わいがあります。
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この日はここからミュールハイムまで船旅を楽しむ予定でしたが、未だ出発まで時間があったので
ちょっと感じの良いカフェで休憩する事にしました。
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建物はザアッと300年位前に建てられたもので石の壁などグニャと歪んでいますが、
内装はお洒落に改装しています。
帰りがけにトイレに行くべく細い階段を登り二階に上がりましたが、壁という壁は石がむき出しで、
しかも多分これから掛けられるであろう絵がたくさん置かれていました。
カフェのオーナーらしき女性に尋ねた処、あの絵は彼女自身が木炭でこの辺の風景を描いたものだそうです。
このカフェも二週間前にできたばかりで、年に12回位のペースで個展をしたいそうで
「誰か芸術家を知っていたら紹介してくれる?」と尋ねられました。
これこれと自分に指差して「私も風景画家でこの辺も結構描いているんだよ」っと、
「そりゃ是非、展覧会をやって。」、「じゃぁメールでもしますわ~」と云う事になり、
面倒なので未だメールはしていないのですが、まぁ前向きに検討しても良いかなぁと考えています。

実は7・8年前にミュールハイムのギャラリーから展覧会の依頼があって、
あまりこの辺を描いた事がなかったのでそれに合わせて随分この辺一帯を描いていました。
唯、残念な事に会期も迫った一ヶ月ほど前にこのオーナーが交通事故で亡くなってしまい
この企画は無くなってしまったということがあったのです。

さて、ブラブラと船着場まで歩いて行きました。
船着場の前には、古いレンガ造りの紡績工場のファサードだけ残した跡地があって、
その朽ち具合はまるで遺跡のような味わいがあり、既に何枚か描いた事がありました。
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それが見違えるように改装され、ファサードを生かしながら今やお洒落なマンションに変身していました。
何処かリゾート地のホテルのようで、ベランダでくつろぐ住人もちょっと自慢げにこちらの方を見ているようでした。
まぁ綺麗になったのは仕方がないのですが、我々絵描きにとっては貴重なモチーフの一つが無くなり、
とても残念な出来事です。

気を取り直して乗船しました。
昼過ぎの運行ですがそこそこ満員の状態で、やはり人気があるようです。
ルール川はその名前から想像するよりも、遥かに水が綺麗でその濃い緑色をした水も近くで見ると
ちゃんと透明度も高く澄んでいます。
なんでも鱒やサンダーといった清流に住んでいる魚も生息するそうです。

ルールと聞くと、我々日本人は直ぐに中学辺りで習ったルール工業地帯を思い浮かべます。
そうまさにあのルール工業地帯で、確かに工場は数箇所にまとまってはありますが、
この辺一帯は結構小高い丘が点在し、森も多く、工業地帯と云う印象が全くありません。

川もその丘あたりが源流ですので水はとても綺麗です。
それに所々で水量調整のダムでせき止められているので、流れも緩やかです。
日差しはカンカン照りでしたが、船が走り出すと気持ちの良い風がデッキを通り抜けて行きます。
この川の途中も何度か描いたことがあって、川辺の農家など懐かしく眺めながらノンビリと
船上からの景色を楽しみました。
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終点のミュールハイムの手前には、赤い屋根の素敵なボート・ハウスがあってこれも描いたことがあります。
これを対岸から描いたのですが、丁度この日はマラソン大会とぶつかり、川原もそのコースになっていて
目の前を何人もの人が走るのをメゲずに描いた事を思いだしていました。
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でも、これはそんな悪条件にも関わらず、なかなか気に入った一枚に仕上がりました。
後日、この絵を大変気に入ってくれた人が購入して下さり、今は奈良のご自宅に飾られているはずです。

さて、短いながらも心地良い船旅も終わり、船着場の袂にあるビアガーデンで一杯です。
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冷えたビールに炭焼きステーキ(これがとってもリーズナブル!)を頂き、楽しい一日でした。

by Atelier Onuki
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by Atelier-Onuki | 2013-08-11 01:00 | デュッセルドルフ | Trackback | Comments(3)
Commented by kukko at 2013-08-12 09:39 x
私も、旅行気分にさせてくれるので、楽しく拝見しています。
新しいの建物がたち、景色が変わったと、、、以前描かれた絵は、古くから地元にお住まいの方々にとって、懐かしい絵になるのでは?と、思いました。
でも、ほんと、いつも綺麗だなあって、思います。
ありがとうございますo(^o^)o
Commented by Atelier-Onuki at 2013-08-13 04:12
風景画家にとっては気に入っていた建物が取り壊されたり、大好きだった大木が切り倒されたりと、悲しい気持ちにさせられる出来事も時々ありますが、描いているその時にしっかり留めておかなければなりませんね。人づてに聞く所によると、この木組みの家の絵もこの家の中の何処かの壁に掛かっているそうです。
Commented by kukko at 2013-08-13 09:56 x
うわっ それはステキ~♪
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