最初ドイツにやって来たのはアーヘンにあるディスプレイ会社での就職が決まったからでした。
もう30年も前のことでアーヘンという地名も知らなかったのですが、 いざ行ってみると小さいながら中々落ち着いた雰囲気の良い街でローマ時代から栄えていたそうです。 ![]() 街の中心には温泉が出るのでローマ時代からの浴場がまだ現役で続いていますし、 何といっても街の象徴の様に建っている大聖堂は北ヨーロッパ最古だそうで、そのドーム天井などはグニャと歪んでいて歴史の長さを伺わせます。 ![]() ロマネスク様式の内装は純金のモザイクが施され格式の高さを感じさせます。 歴代の皇帝がここで戴冠式を行って来たそうですが、中でもカール大帝の戴冠式が有名です。 ![]() ![]() ギリシャ様式の白いファサードをもつ歌劇場も小ぶりながら趣がありますし、 あのカラヤンも音楽監督を務めていたので、それは誇らしげに胸像がロビーに飾られています。 ![]() まぁ街の案内はこれくらいにして、先ず会社に入って嬉しかったのは作曲家と同名の社員が何人も居たことでした。 先ず受付嬢がワグナーさん、営業にはウェーバーさん、それに管理部にはシューベルトさん、 オマケに社長のファーストネームがクラウスさん(指揮者ですが)と音楽ファンにはたまらない巨匠の名前が一同に会しています。 更にデザイナーにはベルギー人で画家と同名のファン・ダイク君までいました。 余りに嬉しいのである時「この会社にはこんなに多くの作曲家と同名の人がいて嬉しいよ。」と同僚たちに話した処、 皆「何処が面白いの?」とばかりキョトッとした顔をしています。 「エッ~何で??」とその場は何の反応もなく終ったのですが、後から逆の立場で良く良く考えてみると何となく納得ができました。 例えば日本にいる歌舞伎ファンの外人が「ここには市川さんや中村さんそれに片岡さんに坂東さんまでいて嬉しい。」 と云われてもやはりキョトンとしてしまいます。 まぁ珍しい名前ならともかく先ほど出てきた人達は比較的多く存在します。 逆に今まで出会った事がないのが、バッハ、モーツァルト、ハイドン、ベートーヴェン、ブラームス辺りでしょうか。 何とかバッハさんと前に色々付いている人は大勢いるのですが、バッハ(小川さん)のみの人には出会ったことがありません。 ベートーヴェンもこんなに有名なのに一人も居ませんでした。 この語尾のヴェン(フェンの方が自然)はフラマン人独特で、知り合いでデンホーフェンとかファーホーフェンなんて人もいましたが、 やはり先祖の出身地はフランドルだと云っていました。 それにオランダ人のゴッホもそうですが苗字の前に付く van もフラマン独特で, ドイツにおける von 何とか家と云う貴族の証とは残念ながら違うもので平民です。 ![]() ![]() ドイツ系の名前には意味がはっきり分かる名前もあれば意味を持たない名前まで様々ですが、 作曲家で意味が分かる何人かを書いてみますと。 先ほどのバッハ「小川さん」初め、ウェーバーは「糸紡ぎ」、シュトラウスは「束さん」、 ズッペは「スープさん」、シュッツは「保護さん」、ベルクは「山さん」にシェーンベルクとなると「美山さん」ですね。 その他ちょっと違うだけだと、Gluckはuにウムラルトと云うドイツ語独特の点々が上に付くと「幸運さん」、 逆にウムラルトがなかったらHändelは「商人」となるしMahlerのhを取ると絵描き、ペンキ屋となります。 シューベルトやシューマンなども明らかではありませんが、先祖はきっと靴関連の仕事に携わっていたのでしょうね。 長年、仕事上の協力機関にシューマンさんと云う電気屋さんがいますが、 この人が現場で社員のリヒァルト(苗字はワグナーではないのですが)を「リヒァルト・・・リヒァルト・・・」と良くこき使っています。 そんな光景を私は一人ほくそえんで眺めています。 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 追記 : ドイツを代表する現役歌手でもバリトンの Matthias Goerne はo が付かなかったら 「喜びさん」で、 逆にテノールの Michael Schade は 「お気の毒さん」となり、その実力とは裏腹にお気の毒な名前です。 by Atelier Onuki ~ホームページもご覧ください~ 応援クリックありがとうございます! ![]() 人気ブログランキングへ
by Atelier-Onuki
| 2013-09-17 22:48
| ドイツ
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