秋とブラームス

この処は気持ちの良い秋晴れが続いています。
木々もボチボチと色づき始め紅葉のシーズンを迎えようとしています。
「こんな季節はやっぱりブラームスの音楽が良く似合う。」と、何度も同じ事を繰り返して云っているのですが、これほど秋に相応しい音楽が他にあるでしょうか。・・・
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若かった頃は体力もあったせいかポピュラーな「ハンガリー舞曲」とか「交響曲1番」などちょっと重厚で迫力のある曲を好んで聴いていました。

家にあった古いファン・ベイヌムがコンセルトヘボウを振ったデッカのモノラル盤を繰り返し良く聴いたものでした。
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これはデッカが開発した潜水艦のソナー技術を駆使した「ffrr」と銘打った録音が当時としては群を抜いて素晴らしく、
演奏も芯がしっかりしながらモダンな表現でこの時代とは思えないような男性的でスッキリとした演奏でした。
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最初に聴いたレコードがこれだったので、以来コンセルトヘボウと云えばブラームスを真っ先に思い浮かぶほど印象深いものでした。
事実このオーケストラ独特のちょっとベールを被ったような音で、くすんだ燻銀の輝きはブラームスにピッタリの響きでした。

14・5年前だったかジュリーニとの共演でこの曲を聴きましたが、あの四楽章で弦のトレモロに乗っかってホルンが最初のテーマを萌えいずるように吹く所は、
このホール奥にあるパイプオルガンあたりに霧が立ち込めその中からホルンがメラメラと浮き上がってくるように見えたような気がしました。
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さて60年代後半にはあの有名なミュンシュとパリ管のデビュー第二段のレコードが発売され、こればすっかり気に入って良く聴いていました。
ミュンシュはこの曲を大阪でのライブを聴いた事もあり、その熱い演奏は忘れがたい思い出で、このレコードも一方ならぬ思い入れで聴いていました。
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これとは全く違う演奏スタイルながらシューリヒトが南西ドイツ放送管を振ったコンサート・ホール・ソサエティ盤の「3番」もお気に入りでした。
何の愛想もなくサラサラとした演奏ですが、ヨクヨク聴くと中々味わいがあって田舎オーケストラの素朴な響きがこの曲に良くマッチしていました。
あの三楽章で出てくるホルンのソロの所が好きで良く聴いたものでした。
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その後も交響曲や協奏曲を長年好んで聴いてきましたが、段々と歳と共に食べ物の好みが変わって行くように、
音楽も静かで落ち着きのある室内楽やピアノ曲を好むようになってきました。

「お茶漬けを食べているような民族にはブラームスは弾けませんよっ~」とあの日本を代表するピアニストだった園田高弘さんも何処かで言っておられました。

ピアノ曲では「パガニーニの変奏曲」のようにブラームスらしくない派手目ではなく、晩年に昔を思い出すように作曲した「間奏曲」などを好んで聴いています。
これはグールドの録音が普段の彼らしくないスタッカートを抑えたシミジミとした演奏で何度聴いても飽きない味わいがあって好きです。
それにグールドと云うと・・・カナダ・・・紅葉した楓の風景・・・と想像も膨らんで行きます。
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室内楽では何時ぞや秋のルツェルンでプレヴィン・トリオの演奏でピアノ三重奏の1番を聴いた事があったのですが、
二楽章でのあの甘く切ないヴァイオリンのメロディには目に熱いものを感じて止まりませんでした。
この頃はまだ再婚前のプレヴィンとムターが仲睦まじく演奏していましたが、チェロのハレルがちょっと仲間はずれ的で気の毒でした。
唯、意外と短い間に離婚をしてしまったので、この組み合わせによる録音が行われなかったのが残念です。
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それと演奏会での強烈な印象は、やはり晩秋のウィーンで初めて行った演奏会でのツィマーマンとバーンスタインのピアノ協奏曲1番でした。
この事は前にも書いたのですが、あの最初オーケストラが大音量でガリガリ弾く所はムジークフェラインのホールが揺れているほどで、それは度肝を抜かれました。
その堂々としたオーケストラに対して未だ若くて見た目は弱々しい感じのツィマーマンが静かに落ち着き払って静かに弾き出しました。
研ぎ澄まされピアノの音は芯がしっかりとしてキラキラと輝いていました。
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後日に分かったのですが、この時に使用したピアノは会場の備え付けの物で、本来ならば彼のピアノを弾く予定だったのですが輸送中の事故で間に合わなかったそうです。
彼はこの事に関して何処かで語っていて、この時録音されたライブ盤も気に入っていないそうです。
まぁ私にはそこまで分からない素晴らしい演奏でしたが。・・・

この時の印象が余りに強かったので彼が近場でこの曲を弾く時は暫く追っかけたことがありましたが、その止めがラトルと組んだベルリンでの演奏会でした。

ブラームスと云えばかつては低音が良く響く重厚な演奏が主流でしたが、ここではスッキリとしたスタイリッシュな表現ながらキリッと引き締まったクリスタルな響きで
芯がしっかりとした凛々しい演奏です。
この演奏会の直後行われた録音もとても良い音で、今はこれを一番気に入って聴いています。
出来たら2番の方もラトルと録音をしてもらいたいものです。
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それとブラームスの演奏でもう一人面白いピアニストはグリモーでしょうか。
彼女はフランス人なのにドビュシーとかラヴェルといったフランス物には余り興味がないそうで、むしろドイツ物を多く取り上げ、中でもブラームスは昔から熱心に演奏しています。
あの男勝りで有名なアルゲリッヒですらこの曲は避けていますのに、グリモーは飄々として弾いています。
泥臭いドイツ風味など一点もない軽やかで暖かいフランスの風がフワッ~と吹いているようで、
その今までなかったブラームスの表現は心地よく「これはこれでありだなぁ~」と納得してしまいます。
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最近新しく二度目の録音も出たようですが、ちょっと聴いてみたくなります。
実は1番の方はこの録音時の演奏会も聴いたのですが、
伴奏のネルソンスが余り面白くないかも知れません。・・・

まぁ今日の処はまたツィマーマンとラトルで熱燗でも一杯やりながらじっくりと聴こうかな。・・・
ブラームスに熱燗・・・これが意外とよく似合うのですね。・・・




by Atelier Onuki
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by Atelier-Onuki | 2013-09-27 00:26 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
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