偶然の出会い

私の旅は何時も下調べを余りしないで行き当たりバッタリなのは以前のブログでも書きましたが、
それは美術館へ行く時も一緒でどんな展示品があるのか良く知らないまま入ってしまいます。

それがゴッホ美術館とか特定の作家の場合はある程度の想像が付くのですが、
一般的に大きな美術館などは展示点数も多いし多岐に渡っているので何が展示されているのか分からない事が良くあります。

それでも画集で見たことがある有名な絵に思いがけず出合ったりする事もあって、これはこれで楽しみでもあります。
特にその絵が好きでズ~と何処の美術館にあるのだろうと気になっていた絵に出会ったりするとそれは嬉しくて嬉しくて、
まるで昔好きだった女性に偶然出会ったような喜びが込み上げて来ます。
(残念ながらそんな女性との出会いはないのですが・・・)
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もう3年前でしょうか初めてロンドンにあるナショナル・ギャラリーを訪れました。
トラファルガー広場に面したこの美術館はそりゃ大きくて立派、内装も重厚で風格が漂っています。
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入り口には「このコレクションは皆さんのものです。」と云う主旨の看板が取り付けられていて、入場は無料です。
いや~さすが大英帝国・・・その気風の良さたるや・・・唯々感心していました。が・・・
(昨年行った時はオリンピックの後だったのですが、もうこの看板は見当たらず、代わりに「寄付をお願いします。」の看板があちこちにやたら目立っていて、
「ありゃ・・・帝国もちょっと弱気になったのかなぁ~。」とちょっぴり寂しくなりました。
入場料は未だ無料でしたが、私見では僅かでも取った方が良いと思っています。)
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所蔵品はもうコレデモカと云わんばかりの名作の数々で何処から如何観て行って良いのやら分からなくなってしまいます。
とにかく広い館内を隈なく観て歩きました。
そして一番奥の左端の部屋に辿り着いた時、更に一番左角にその絵は掛かっていました。
それはホッベマが描いた「並木道」です。
「エッ~こんな所にあったのだ。・・・」とこの予期せぬ出会いに鳥肌さえ立つのを覚えました。

この絵を最初に知ったのは中学での美術の時間で、それは教科書に載っていた高々10cm位のしかもモノクロ写真でした。
多分遠近法の説明として取り上げられていたのだと思いますが、
中学の美術なんて真面目には全く聞いていなかったのに何故か印象に残っていたのでしょうね。

その後もこのホッベマと云うちょっと間の抜けたような名前が気に入っていたようで、何かの拍子に一度観たいなぁと思ったこともありました。

そんな絵に偶然出会って、もう嬉しくて堪りませんでした。
それは幅が畳より少し短か目ですが大きく立派な絵です。
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それに着色が淡くて深みがあり、未だ春遠からじで道には雪が残っている風景ですが、その色使いには温かみすら感じるほどです。
並木は新しく植えられたのでしょうか、木の先の方にしか葉っぱが付いていません。
そのお陰で大きな空が見えていてどこまでも広がって行く空間が感じられます。

この木はポプラと云われていますが、その絵からは判別するのは難しい感じです。
唯、右下にはこれと同じ木を植樹している農園の人も描かれています。
このライン川河口の島にあるミッデルハルニスと云う村に通ずる道も
最近出来たのかなぁと300年前へと想像が膨らみます。

遠景の村も丁寧に表現されていますし、左の手前は川か何か水溜りがあってその周りを鬱蒼とした雑草や木々が描かれています。
これが良く描かれていて、まるでその水や木々のムッとした独特の匂いや湿気までも感じられて来ます。

さて、来週は仕事でロンドンへ行きますが時間を見つけて又この絵と再会するのが楽しみです。
それにこの絵はそれ程知られていない様で観ている人も少なく、心行くまでゆったりと鑑賞することが出来ます。

さあ当日は途中のベラスケスを初めとした名画の数々の誘惑には目もくれず一番奥へと歩を急がせます。



by Atelier Onuki
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by Atelier-Onuki | 2013-10-09 21:17 | 絵画 | Trackback | Comments(0)
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