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コッツウォルズ地方を訪れて

先日、ロンドンでの用件がちょうど金曜日まで掛かったので,週末はちょっとコッツウォルズ方面まで足を延ばしました。

それはフランクフルトなどの大きな空港で「何とか先生と行くコッツウォルズ・スケッチの旅」なんてプラカードを掲げたグループを良く見かけます。
それに随分前ですが安野光雅さんがNHKの番組でこの辺もスケッチ旅行に来られている本を読んだ事もありました。

写真で見ていると古い家並みの長閑で雰囲気のある中々良さそうな所ですし、これだけ多くの人達がスケッチに訪れているからには、
さぞかし良い絵の題材になる風景なのだろうなと思っていました。

何でも「コッツウォルズ」は古い英語で「羊の丘」とか云う意味だと何処かに書いてありました。

どうりで途中の丘陵地帯には多くの羊の群れを見かけました。
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さてロンドンのヴィクトリア駅から長距離バスで南西に向けて2時間半サイレンセスターと云う町まで行ってローカル・バスに乗り換えました。
ここからはもう30分ほどでお目当てのバイブリーと云う村に到着です。

バイブリーは我々デザイナーの祖でもあるウィリアム・モリスが「イギリスで一番美しい村」と称えたとか何処かで読みました。

もう途中の車窓からは丘陵地に点在している蜂蜜色と云われている石で出来た古い家々が見えています。
この様式は良く統一されていて壁はもとより屋根も薄く割った石で覆われています。

いよいよ村の入り口にある駐車場でバスを降りると、そこには趣のある古い石橋が掛かっていて綺麗な小川が流れています。
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それに水が澄んでいて綺麗なこと、緑が鮮やかな水草がクッキリとした色でゆらゆらしていて、その間を何匹もの鱒が泳いでいます。
良く見るとここの種類はどうもレインボーが殆どでドイツやオーストリーにいるブラウンではありません。
カモ達に混じって白鳥も2・3羽泳いでいます。

橋の袂には,見事に真っ赤に染まった蔦に覆われた大きなホテルが建っていて、
その名も「スワン」、先程の白鳥を見ていたので納得の命名です。
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お腹も空いていたのでここで昼食を取ることにしました。
ちょうど結婚式をやっているようで、ホテルやバーは込み合っていましたが、レストランは大きくて気持ちの良い雰囲気、
それ程お客もいなくて落ち着いていました。
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コース料理からスープとチキンのグリルを選び、
先ず、ポアロ(太い葱)で味をとったポタージュ・スープが出てきました。

イギリスは概ね美味しくないのでそれ程期待をせずに頂いたのですが、一口食べて
ウッ・・・上手い!!・・・如何したのだろう、これはほんのり甘みがあって相当美味しい味付けです。
続いて出てきたチキンもちゃんと網目の焼き目が付いていて、チキン自体もしっかりとした味があって美味しい、
・・・添え物の温野菜やポテト・サラダもちゃんとした味付けで、こりゃバイブリー侮れない・・・と初認識です。
ロンドンでもなるべく美味しい店を食ベログで選んで行ったのですが、これは今回一番の味でした。

ゆったりとした時間を過ごし満足のまま川に沿ってブラブラ歩き出しましたが、見えている家々は統一された石作りで、
どれもこれも素敵で中々前に進みません。

川の向こうにはもっと古そうな家並みがまるで長屋のように建っています。
ここはアーリントン・ロウと呼ばれる一角だそうで、(後から調べました)何でも14世紀に建てられたそうですからもう700年位前の建物です。
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元々は羊小屋だったそうで納屋を経て今は住居になっているそうです。
ここはこの村でもハイライトなのかパラパラと観光客が歩いています。
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小川に沿って更に一番奥まで行き坂道を上り降りすると、教会の向こうにお城が建っています。
現在はホテルになっていて、ここも見事な蔦が絡まっています。
何でも安野さんが来られた時はこのホテルに滞在されていたそうです。
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この村も隈なく散策をしたので、さらにバスを乗り継いで南下しました。
今度はカッスル・クームと云う村を訪れました。
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ここは谷間にある村でここも良く古い家並みが見事に保たれています。
村の外れにはやはり立派なお城があって、ここも現在はホテルで例によって見事な蔦が絡まっています。
それにしてもこれらの家々やお城には絡まった蔦が良く似合っています。
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村の中心にある、いかにも中世風の教会へ入って見ました。
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ちょっと朽ちかけた墓石が教会を囲む様に点在しています。
それは未だ単純な形で板状の物や箱型の物が殆どですが、それも斜めに傾いていたりして長い年月を感じさせます。
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暫く歩いていて、「これは何処かで見た光景だなぁ。」と思い返していましたが、そうだ
ドニゼッティの「ランメルモーアのルチア」最終幕で出てくる墓場のシーンそっくりです。
実はもう三十数年前にこのオペラの舞台監督をさせて頂いたのですが、全くこれに似たシーンを作ったことを思い出しました。
そう云えばこの話は17世紀ころのスコットランドですから辻褄が合う訳です。

今回は時間がなかったので現地ではスケッチをする事ができませんでしたが、もう描きたくなる風景の連続で写真を一杯撮り溜めしました。

これから寒くなる冬場は家でこれらの題材をボツボツ取り組んで行こうと思っています。




by Atelier Onuki
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by Atelier-Onuki | 2013-11-01 01:06 | イギリス | Trackback | Comments(2)
Commented by kukko at 2013-11-01 21:23
いつも 思います
本当に どこを見ても 絵になりますよねえ・・・ため息
Commented by Atelier-Onuki at 2013-11-04 04:42
これから描いていくのが大変で、いっぱい宿題を溜め込んでしまったような心境です。
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