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秋のプラハは・・・

先日プラハから来た人が「今は紅葉が綺麗ですわぁ・・・」と言っていました。
秋のプラハか・・・そりゃ綺麗だろうなぁ・・・ちょうど11月1日が「全聖人の日」という祭日だったので思い立って出かけることにしました。
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中央駅からDB(日本で云うJR)仕立ての直通バスに乗って4時間半ほどで到着します。

プラハはもう随分前、未だ東側だった時に行ったきりで暫く振りでした。
最初に行ったのは30年近く前ですが、突然プラハからヘルプの依頼が入ってヴィザも取得する時間がないまま出向きました。

それはテニスのフェデレーション・カップが初めてチェコで開催された時で、現地での打合せが難航し、
誰か専門家を寄こして欲しいとの事で、白羽の矢が私に当たってしまったのです。

その時は今とは違って閉鎖的な国家でしたからハプニング続きで、貴重な体験をしたのですが、
それを書き出したらえらく長い話になるので、これは別の機会に書かせて頂くことにします。

その後、母親と行った事もあって、この時もハプニング続き・・・
これは母親自身が中々良い文章を残しているのですが、これも別の機会と云う事で。・・・

バスは長閑な丘陵地帯をひた走り、途中の延々と続くホップ畑を抜けレーゲンスブルクを経由すると、間もなく国境へ着きます。
かつてはズラーと戦車が睨みを利かせていた国境も、今は何のコントールもなくあっけなくチェコへと入りました。

バスはプラハ駅に到着、かつての古い駅舎は大工事の真っ最中ですが、未だ以前の東側らしい面影を保っています。
地下鉄に乗るべくエスカレーターを下るとそこはもう新しくなったショッピング・モールで何ら西側と変らなく変貌していました。

ホテルに落ち着き、夜のオペラに備えました。
今回の目的の一つはここで縁のあるモーツァルトのオペラを観る事でした。
唯、ややっこしい事にこの街には三つもオペラ・ハウスがあって、そのどれもがコレッと云った特徴がないので、
どういう関係なのか分かるのに時間が掛かりました。
(未だ、はっきり分かったとは云えないのですが・・・)

この「フィガロの結婚」と云うオペラは当初ウィーンで試演をしますが、そのちょっと貴族をからかった内容はその後の上演が難しくなってしまいます。
そこで手を上げたのがプラハの歌劇場で、その初演は大成功を収め、しかも次の作品の依頼まで受けてしまいます。
そして出来たのがあの名作「ドン・ジョバンニ」でした。

この事もあってモーツァルト自身もプラハが大のお気に入りに、あの38番のシンフォニーには「プラハ」と命名しています。
まぁ我々音楽ファンにとっても、もしプラハが受け入れてくれなかったら、
「フィガロ」や「ドン・ジョバンニ」も今日のように頻繁に上演されなかったかも知れずプラハに恩を感じてしまいます。

当日はエステート劇場での公演でしたが、オーケストラも歌手陣も国立オペラの陣営というややこしさ。・・・
しかも「フィガロ」は国立オペラでの初演ですが、「ドン・ジョバンニ」はこのエステート劇場が初演という、もう頭の中がコンガラガッテしまっています。
それにあの映画「アマデウス」ではウィーンでのシーンにも拘らず、この劇場で撮影をしたそうです。

ちょっと小ぶりですが、白と淡い緑を基調にゴールドでアクセントを付けられた外観はとても可愛らしい印象の劇場です。
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ロビーやクローク、カフェテリアも小さく、あちこちに今なお東の匂いをプンプン発散させています。
馬蹄形の客席には彫刻で装飾が施されシャンデリアと共に長い歴史を感じさせます。
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それにオーケストラ・ピットも小さい事、・・・ せいぜい35・6人?小編成のオーケストラが所狭しと陣取っています。
指揮者用の譜面台を置くスペースすらなく、こりゃ暗譜で長いオペラを指揮するのは大変だなぁ~と心配をしてしまう程です。
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ザバザバザン、ザバザバ、ザバザバ・・・・ザンと軽妙に始まった序曲は中々締りがある演奏で、木管のソロ・パートなども充分楽しめます。
装置はそれ程コストを掛けてはいませんが、まぁまぁ納得ができるシンプルなものですし、衣装はちゃんと役柄に相応しいものを着ています。
歌手陣は小粒ながらも中々良く歌うし、演技も充分こなれていて楽しいものです。
それに劇場が狭いので声の通りが良く、ツイツイ引き込まれて行きました。
それなりに長いオペラですが、集中ができたせいか一回の休憩を挟んでアット云う間に終ってしまいました。

劇場内は特に乾燥をしているので、もう喉はカラッカラ。・・・
ビィール、ビィールと観劇後に迎える最大の喜びの瞬間です。!!

それでもこの夜は直ぐに飲むのを我慢して、お目当ての店へと向かいました。

それは「この店のビールは美味しい。!!」と例の食ベログで読んでいたからです。
唯、小さな店で、お客は殆どが地元の人、それに常連客専用の席まであって、
そこには絶対に他の客は座れないし、店員の態度も凄く悪く閉鎖的である。と・・・

中には入った事は入ったけどビールを飲めないまま帰ってしまった日本人までいて、
そりゃどれほど閉鎖的なのか気になるし、闘争心もメラメラ燃えてきます。

なる程、知らなければ通り過ぎてしまう何の変哲もない店構え、しかも入り口はちょっと廊下を中に入らないと扉がありません。
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いざドアを開けると地元民で、もうワンサカ賑わっています。
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店員も客が入ってきても知らん顔をしていますし、先に入っていた3人が、かろうじて空いていた席に座ったのですが、
すかさず「立て!!」と云われていました。
確かに閉店間近でしたが、余りにも態度が横柄。・・・

暫く見ていると、立派な刺青をしたディスペンサー係りに直接ビールを頼んでいる人もいます。
何だ未だ飲めるじゃないか・・・と一杯注文したらイヤイヤ注いでくれました。

まぁグビッと一口流し込みましたが、・・・ ムム、ウ、ウマイ・・・ 何たる美味さ・・・
これは我がビール史上、体験のしたことがない美味さ・・・イヤ~参った参った・・・

その切れと云いコクと云い格段に美味い、泡もきめ細かく、丁度良い冷え具合で・・・
もうオジサンはメロメロ・・・この態度の横柄なオジサン達にも敬意の眼差しに・・・
気が付けばもう二杯目を頼んでいました。・・・

ドイツは当然ビールが美味しいし、チェコは更にピルゼンやヴドヴァイザーなど美味しい事は知っていましたが、
これほど美味しいビールが未だあったとは初めて知りました。

因みにこの店は [ U ZLATEHO TYGRA ] という名で「黄金の虎」と云う意味だそうです。

ああ又、虎屋でビールが飲みたいなぁ~

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追記

結局、また後から分かったことですが、ここのビールはPilsner Urquellというポピュラーな銘柄で、
それはドイツでも飲めるし好きな銘柄なので何度も飲んだ事がありましたが、
この店の味はやはり別格できっと新鮮なのと注ぎ方に違いがあるのでしょうか全く別物の美味しさでした。
いやはやビールも奥が深そうです。

by Atelier Onuki
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by Atelier-Onuki | 2013-11-05 00:56 | チェコ | Trackback | Comments(0)
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