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「グリンツィング界隈」へ

昨夜の演奏会が覚めやらぬ内にと、ベートーヴェンと縁の深い地を散歩しに出かけました。
ショッテン・トアから私の好きな38番の路面電車にダラダラと乗ること20分ほどで終点のグリンツィングに到着します。
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この終点の駅がまた好きでグニャと曲がりながら家の中へ突っ込むように入ると、それが終着駅になっていて、時間が止まっているような佇まいです。
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このグリンツィングは新酒をのませるホイリゲがたくさん点在しているのが有名で、色とりどりに塗られた可愛い飲み屋が軒を連ねています。
暖かい季節にはぶどう棚がある中庭で気持ちよい時間を過ごす事ができます。
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さて、それとは別に我々音楽ファンにとってたまらないのはベートーヴェンと深い縁があるからです。
彼は絶えず騒音問題など他の住民とのトラブルを起こしていたので引越し魔として有名ですが、
この界隈でも知られているだけで3軒のアパートが現存しています。
特に有名なのは「ハイリンゲンシュタットの遺書」を書いた住居で、現在は記念館になっています。
以前は中庭を挟んだ向側が記念館でしたが、最近は実際に彼が住んだ部屋が狭くなりましたが記念館として開放されています。
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唯、残念だったのは以前裏庭に出ることができ、そこからこの町名「ハイリゲンシュタット」の由来になった教会が見えたのですが、
昨年隣の家が増築したそうでこれが見えなくなってしまいました。
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これは音楽ファンにとっては重要な要素です。

すでに難聴が進行していたベートーヴェンは温泉が出るこの町に医者の勧めでやって来たのは29歳の時でした。
その丘陵地帯の風景が故郷ボン郊外にあるアール渓谷に似ていたのですっかり気に入ってしまいます。
すぐさまこのアパートに引っ越して来た彼がある日この教会の鐘楼を眺めていて、鐘が大きく左右に動いているのを見たそうです。
それに気づきながらも自分には全く聞こえていない事実に直面し、
音楽家としては致命的な現実を突きつけられた彼は弟宛てにいわゆる「ハイリゲンシュタットの遺書」を書きなぐります。
しかし、そのままの勢いで近くのホイリゲで酒を煽り、酔っ払った彼は死ぬのも面倒になって思い止まってくれました。
もし、近くにホイリゲがなかったら彼の「交響曲2番」以降作曲されたかけがえのない
名作の数々は存在しなかった訳で思うだけでゾッとしてしまいます。
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更に近くには3番「エロイカ」を作曲した住居がホイリゲとして現存しますし、少し下った大通りをグリンツィングの方へ
ダラダラ登って行くと「田園」を作曲したアパートも残っています。
唯、ここは一般の方が住んでおられますので入る事はできません。
このアパートには彼を慕っていたグリルパルツァーも住んでいたと看板に書かれていました。
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グリンツィングを通り抜け外れにあるベームさんが住んでいた立派なアパートまで歩きました。
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ぐるりと一回りして又教会まで戻り、この脇にある公園を散策。
それはあの教科書に良く載っているベートーヴェンが散歩をしている像があるからです。
最初に訪れた時は「人魚姫」や「小便小僧」の像と同じく、何~ンだとガッカリしたものですが、
最初から覚悟をして行くとそれなりに感慨深く見ることができました。
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この日はブラブラとエロイカ通りを抜けて彼の散歩道、いわゆる「ベートーヴェン・ガング」と云われる田園のインスピレーションを受けた
小径を歩きたかったのですがにわかに大粒の雪がえらい勢いで降ってきたので諦めてしまいました。

まぁ夜はベートーヴェンの世界からはかけ離れているオペレッタだったので、
どうしようかと迷っていたフォルクス・オーパーでの「メリーウィドゥ」を観に行く体力を残す事にしました。



by Atelier Onuki
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by Atelier-Onuki | 2013-12-11 05:33 | ウィーン | Trackback | Comments(0)
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