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図らずも「ベートーヴェン週間」に

この夜はアーノンクールとコンツェントゥス・ムジクスでベートーヴェンの1番と3番のシンフォニーを聴く予定でした。

今回のウィーンでの演奏会はベートーヴェンばかりを聴くことになり、図らずもベートーヴェン週間になってしまいました。・・・ 
こうなったらベートーヴェンにとことん迫ろうと朝から彼のお墓参りにと中央墓地を目指しました。
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この広大な墓地はウィーンの観光名所の一つで、墓地が観光対象なんてのも実にウィーンらしい感じがしますし、
空港から街に向かうと一番先に出くわす観光地が墓地というのも他に例がありません。

それは多くの著名な作曲家や音楽家が纏まった地域に埋葬されているからです。

唯、モーツァルトは仮のお墓で、当初はウィーンに現存する一番古いSt.マルクス墓地の共同墓地に埋葬されたのですが、
その後どれが彼の遺体なのか分からなくなったからです。
これは天才として名声が高かった彼にしては、当時で一番安いお葬式をあげられた為で、何故そうなったかは未だに不明です。

ベートーヴェンのお墓も経っての希望で彼の隣に埋葬してもらえたシューベルトと共に、街中にあった別の墓地から移設されたものです。

又ショッテン・トアからこれも好きな路線71番のチンチン電車に乗り込みました。
ベルヴェデーレの下宮を過ぎると街並みはぐっと鄙びて来て、それもドンドンと寂しい光景になって行き時間が止まっているようです。

途中St.マルクス墓地も通るので途中下車も考えたのですが、お目当ての屋台がすっかり姿を消していたので思い留まりました。
それはかつて「ウィーンで一番美味しい!」と評判のソーセージ屋さんがありました。
老夫婦の経営で自家製のソーセージを焼いていましたが、お爺さんは亡くなってしまったのでしょうね。
「それにしてもあのチーズ入りソーセージは天下一品だったなぁ~」・・・

寂しい思いも束の間、電車は中央墓地の第一門に到着、次の中央門で下車です。
電車の駅が3ツあることからもその広大さが伺われますが、墓地の中を巡回している公共のバスがあるほどです。
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この日も寒かったのですが、ここを最初に訪れたのも2月で、この閑散とした寂しい雰囲気がここには良く似合っています。
あの映画「第三の男」のラストシーンでもここの並木道が出てきますが、あれも晩秋の頃でしょうね。・・・ 背景にカラスがパタパタと舞っている寂しい風景はそのままです。
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さて中央にある教会を目指せば間もなく左側の広場に巨匠たちが眠っています。
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モーツァルトを中央に左にベートーヴェン、右にはシューベルト、その更に右の方にはJ.シュトラウスとブラームスが、この二人は意外と仲が良かったそうです。
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その背中合わせにはシュトラウス父とライバルだったランナーが隣り合わせ、向かいにはヨゼフとエドゥアルトのシュトラウス兄弟のお墓も。・・・
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スッペ、ヴォルフ、グルックそして教会側の角には12音階を象徴した交差点で構成された大理石によるモダンなシェーベルクのお墓があり、
気が遠くなる程に次から次かと出現するので、まるで宝探しの様相を呈してきます。

この裏側に回ると今度はロッテ・レーマン、そして長年ウィーン・フィルの名コンサートマスターだったボスコフスキーさんのお墓があります。
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この前では特に感慨深く佇んでしまいます。
と云うのも、もう40年以上前、未だ浪人をしていた時でしたが偶々武道館でウィーン・フィルのリハーサルに遭遇して、
休憩時間にボスコフスキーさんとお話をさせて頂く機会があったからです。
握手をしてくれた瞬間ガチッと手に当たるものを感じました。
よく見るとその太い指には大きな黒ダイアの指輪をはめておられた事を懐かしく思い出しています。

寒いし宝探しも疲れたので、隅っこの壁際に追いやられて可愛そうなツェルニーさんとサリエリにササッと挨拶をして墓地を後にしました。

又、ショッテン・トアまで引き返りましたが、こうなったら意地が出てきてもう少し探訪を続ける事にしました。
目の前にはヴォティーフ教会の透かし彫りの様に見える素敵な鐘楼が二本聳え立っています。
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私はズットここでベートーヴェンのお葬式を行ったと思い込んでいたのですが、後で分かった処によると更に左奥の方にあるアルザー教会であった事が判明しました。
「なぁ~だ。」そこは今回滞在しているアパートの並びで毎日その前を歩いていました。
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教会の正面にはベートーヴェンとシューベルトのレリーフが取り付けられていて、その縁が書かれています。
ベートーヴェンのプレートには「何年何月ここで祝福を受けた」旨のことが書かれていたのですが良く理解が出来ず、その祝福の意味が分かりませんでした。
その後、写真を見て良く調べて見ると、ちゃんと「この教会でこの不滅である遺体を祝福した。」と書かれていて日付も確かに彼が亡くなった日にちでした。
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この葬儀には二万人もの人が参列した事は挿絵も残っていて見たことがあったのですが、全くの無知でした。
何でも彼を慕っていたシューベルトも参列したそうです。
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なるほど彼が住んだ最後の家も近いので、ここでの葬儀になったのでしょう。

こうなったらその9番のシンフォニーを作曲したアパートへも足を延ばしました。
それは比較的大きなアパートで中は見ることが出来ませんが、中庭を通り裏のベートーヴェン・ガッセ(小道)に抜けることができます。
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その先にはあの映画「アマディウス」の冒頭で出てくるサリエリが入院していた精神病院が今も同じ病院として現存しています。
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ブラブラとショッテン・トアまで戻り、リング沿いのウィーン大学向かいに建つ立派なアパートへも足を運びました。
ここでは出たり入ったりと比較的長く住んだようで「フィデリオ」や交響曲では5番と6番の途中までと「エリーゼの為に」などを作曲しています。
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もう空はすっかり暮れてしまったし、寒いしもうこれ以上は辛いので探索はここまでとしました。
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ウィーンは来る度に何かと探訪をするのですが、掘っても掘っても未々知らないこと山ほどあるし、毎回新しい発見にも出くわすので切がないようです。



by Atelier Onuki
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by Atelier-Onuki | 2013-12-13 21:46 | ウィーン | Trackback | Comments(0)
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