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クラウディオ・アバド「追悼式」 (ウィーン楽友協会)

昨夜も忙しさに疲れ果てて家に帰った処、ウィーンから郵便物が届いていました。
それは楽友協会からで先日亡くなったクラウディオ・アバド「追悼式」の案内状でした。
クラウディオ・アバド「追悼式」 (ウィーン楽友協会)_a0280569_4372291.jpg

かつては憧れていただけで雲の上の存在だった楽友協会からダイレクトメールが来ると、
何時もはウキウキするのですが今回だけはシンミリとした気分になりました。

ここ暫くの忙しさに忘れかけていたこの現実を又思い出して返す返す残念な気持ちになりました。

それにしてもかつて音楽監督をしていたベルリンやロンドンでも「追悼式」が予定されていますし、
この人は本当に皆から愛されていたのだなぁと、改めて感じさせられました。

ロンドン交響楽団のある団員の証言によるとアバドの指揮の元、余りにも音楽が高次元に達し、
感極まり演奏中にも関わらず涙ぐんでいた楽団員を何度も見かけたと云っています。

普通オーケストラはクールに対処しているものなのですが・・・

そう云えば、このオーケストラと録音したあのボレロではクライマックスで興奮した奏者数人が「ワッー!ワッー!ワッー!」と音楽にあわせ奇声を発しています。
収録後、グラモフォンの録音技師が録り直すかどうかアバドに確認をしたそうですが、彼はこれでOKを出したそうです。
興奮の余り思わず叫んでしまったのでしょうが、単純なリズムに同じメロディーが繰り返されるこの曲には陶酔させられる要素に溢れていますし、
実際この演奏は緊張感のなか颯爽としたリズムで段々と盛り上がって行き最高潮の興奮の中、一気にクライマックスの爆発で閉じられる素晴らしい演奏です。

最初ウィーンの音大でハンス・スワロフスキーから学んだ彼は、ウィーンでのデビューも早く若い頃から親しまれて来ました。
その後もウィーン・フィルとの素晴らしい共演も多く、国立歌劇場の音楽監督もされ数々の素晴らしい公演をされて来ましたので
ウィーンの人達にとっても特に愛すべき存在だったのでしょう。
クラウディオ・アバド「追悼式」 (ウィーン楽友協会)_a0280569_4375144.jpg

そう云えばシューマン研究の第一人者である前田昭雄先生もアバドとはウィーン音大で同級生だったとか、
チューリッヒ大学の先生をされていた頃に一度お話をさせて頂く機会があったのですが、
「僕はアバドとメータの同級生なのですよ!」と嬉しそうに話しておられました。
きっと先生も悲しまれている事と思います。

この追悼式には是非出席したかったのですが、残念なことにこの日はバルセロナで、
きっと地獄のように忙しい現場の真っただ中なので離れることが出来ません。

まぁ帰って来たらゆっくりと彼を偲んでCDを聴こうと思っています。
あぁ・・・もう録音でしか聴けないのだ・・・涙!




by Atelier Onuki
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by Atelier-Onuki | 2014-02-08 04:38 | ウィーン | Trackback | Comments(3)
Commented by 加根 at 2014-02-13 15:17 x
お忙しい日々ですね。こちらはまあ雑用の日々です。アバドはほんとうに残念でした。私もCDで偲ぶようにします。ではまた。
Commented by Atelier-Onuki at 2014-02-15 01:05
あれほど品格のある演奏ができた人は滅多に居ませんでした。
本当に残念でなりませんが、ヴェルディやロッシーニのオペラそしてマーラー演奏の数々はこれから先も忘れられない素晴らしい思い出として残る事でしょう。
では、来週からはバルセロナで地獄の忙しさが待っています。
又、今年も5月か6月位に痛飲しましょう。
Commented by 加根 at 2014-02-15 09:40 x
まあ仕事は忙しいに越したことは無いが、ご自愛ください。日本で飲みましょう。
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