昨夜も忙しさに疲れ果てて家に帰った処、ウィーンから郵便物が届いていました。
それは楽友協会からで先日亡くなったクラウディオ・アバド「追悼式」の案内状でした。 ![]() かつては憧れていただけで雲の上の存在だった楽友協会からダイレクトメールが来ると、 何時もはウキウキするのですが今回だけはシンミリとした気分になりました。 ここ暫くの忙しさに忘れかけていたこの現実を又思い出して返す返す残念な気持ちになりました。 それにしてもかつて音楽監督をしていたベルリンやロンドンでも「追悼式」が予定されていますし、 この人は本当に皆から愛されていたのだなぁと、改めて感じさせられました。 ロンドン交響楽団のある団員の証言によるとアバドの指揮の元、余りにも音楽が高次元に達し、 感極まり演奏中にも関わらず涙ぐんでいた楽団員を何度も見かけたと云っています。 普通オーケストラはクールに対処しているものなのですが・・・ そう云えば、このオーケストラと録音したあのボレロではクライマックスで興奮した奏者数人が「ワッー!ワッー!ワッー!」と音楽にあわせ奇声を発しています。 収録後、グラモフォンの録音技師が録り直すかどうかアバドに確認をしたそうですが、彼はこれでOKを出したそうです。 興奮の余り思わず叫んでしまったのでしょうが、単純なリズムに同じメロディーが繰り返されるこの曲には陶酔させられる要素に溢れていますし、 実際この演奏は緊張感のなか颯爽としたリズムで段々と盛り上がって行き最高潮の興奮の中、一気にクライマックスの爆発で閉じられる素晴らしい演奏です。 最初ウィーンの音大でハンス・スワロフスキーから学んだ彼は、ウィーンでのデビューも早く若い頃から親しまれて来ました。 その後もウィーン・フィルとの素晴らしい共演も多く、国立歌劇場の音楽監督もされ数々の素晴らしい公演をされて来ましたので ウィーンの人達にとっても特に愛すべき存在だったのでしょう。 ![]() そう云えばシューマン研究の第一人者である前田昭雄先生もアバドとはウィーン音大で同級生だったとか、 チューリッヒ大学の先生をされていた頃に一度お話をさせて頂く機会があったのですが、 「僕はアバドとメータの同級生なのですよ!」と嬉しそうに話しておられました。 きっと先生も悲しまれている事と思います。 この追悼式には是非出席したかったのですが、残念なことにこの日はバルセロナで、 きっと地獄のように忙しい現場の真っただ中なので離れることが出来ません。 まぁ帰って来たらゆっくりと彼を偲んでCDを聴こうと思っています。 あぁ・・・もう録音でしか聴けないのだ・・・涙! by Atelier Onuki ~ホームページもご覧ください~ 応援クリックありがとうございます! ![]() 人気ブログランキングへ
by Atelier-Onuki
| 2014-02-08 04:38
| ウィーン
|
Trackback
|
Comments(3)
![]()
お忙しい日々ですね。こちらはまあ雑用の日々です。アバドはほんとうに残念でした。私もCDで偲ぶようにします。ではまた。
0
あれほど品格のある演奏ができた人は滅多に居ませんでした。
本当に残念でなりませんが、ヴェルディやロッシーニのオペラそしてマーラー演奏の数々はこれから先も忘れられない素晴らしい思い出として残る事でしょう。 では、来週からはバルセロナで地獄の忙しさが待っています。 又、今年も5月か6月位に痛飲しましょう。 ![]()
まあ仕事は忙しいに越したことは無いが、ご自愛ください。日本で飲みましょう。
|
カテゴリ
全体 ウィーン ミュンヘン ザルツブルク デュッセルドルフ チロル ドイツ フランス イタリア イギリス スイス スペイン アメリカ チェコ 日本 オペラ 音楽 絵画 所感 オランダ オーストリア コラム ベルギー 未分類 以前の記事
2023年 05月 2023年 04月 2023年 03月 2023年 02月 2023年 01月 2022年 12月 2022年 11月 2022年 10月 2022年 09月 2022年 08月 2022年 07月 2022年 06月 2022年 05月 2022年 04月 2022年 03月 2022年 02月 2022年 01月 2021年 12月 2021年 11月 2021年 10月 2021年 09月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 06月 2021年 05月 2021年 04月 2021年 03月 2021年 02月 2021年 01月 2020年 12月 2020年 11月 2020年 10月 2020年 09月 2020年 08月 2020年 07月 2020年 06月 2020年 05月 2020年 04月 2020年 03月 2020年 02月 2020年 01月 2019年 12月 2019年 11月 2019年 10月 2019年 09月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 06月 2019年 05月 2019年 04月 2019年 03月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 07月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 09月 2016年 08月 2016年 07月 2016年 06月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 最新のコメント
■お問いあわせ■
mail ☆ atelier-onuki.com (☆は@に直して下さい) こちらのメールアドレスまでお願いいたします。 ■Atelier Onuki■ www.atelier-onuki.com こちらで今まで書き溜めてきた作品の数々を紹介しています。 ご覧いただけますと幸いです。 ■ドイツ・ニュースダイジェスト■ 毎月第三週(金曜)発行のニュースダイジェストでも”水彩画から覗く芸術の世界”『Nebenweg』というタイトルで水彩画とコラムを寄稿しています。こちらも見ていただけたら幸いです。 当サイト内の画像および 文章の無断転載を 禁止します。 タグ
ブログパーツ
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||