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「ダニエル・ハーディングとバイエルン放送交響楽団の演奏会」から

演目は
ヘンリー・パーセル 「マリー王女の葬送音楽」
グスタフ・マーラー 「交響曲6番」
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パーセルの葬送音楽は始めて聴く曲でしたが、この辺は埋もれているイギリスの大家の作品を学研的、
教育的見地から紹介したいとする意向と思われ、彼の師匠であるラトルなどの影響を大いに受けているのでしょうね。

さて今夜のお目当ては何といってもマーラーの大曲「交響曲6番」でした。

大編成の曲なので会場も大きいガスタイクにあるフィルハーモニーでした。
ここの音響はあまり褒められたものではないし、折角大迫力の曲なのでドップリとその大音響の洪水に浸りたくて、
発売と同時にド真ん中の席を早々と押さえていました。

マーラー・ファンの間ではこの6番は「マーラー最高の名作だ!」と言う人が多くいます。
確かに作曲家として一番油の乗っている時期の作品で、曲としての纏まりがしっかりしているし、
その多様性や重層性は最大に拡大され迫力満点の音響空間には圧倒される聴き応え満点の作品です。

事実、管弦楽の編成はオーケストラだけの曲では恐らく最大の規模でしょう。
弦楽群もこれ以上入らない位の多さですし、何と云っても打楽器の多さ、
それにありとあらゆる種類の打楽器が登場し面白さ満載です。

中でも四楽章で打ち落とされるハンマーは圧巻で、杭打ち用の大きな木槌を思いっきりバコン!と打ち付けます。
これはマーラーの怒りなのか、それとも不吉な運命を断ち切ろうとしているのでしょうか、
逆に運命に打ちのめされるのでしょうか、乾いた衝撃的な響きはゾクッとさせられます。
それにしてもこの直前に座っている金管の奏者は怖いだろうなと何時も思っています。頭の真後ろで思いっきり叩かれるのですから・・・

このハンマーを打つ回数には2回か3回か違う解釈があって、一番目が「家族の崩壊」(アルマの問題)、
二番目が「生活の崩壊」(ウィーンの音楽監督解任)、そして三番目が「マーラー自身の死」と云われ、
マーラー自身の演奏では怖くて三番目は叩かなかったと云われています。
まぁこの辺の真意はマーラーさんのみ知るところでしょうか。・・・

さて、マーラーの楽曲を聴いていると色んな情景が浮かんでくるのですが、それは大抵の場合、
堂々とした山々とか牧歌的な草原、それに回想シーンでの田舎の風景などです。

もっとも5番のアダージョ楽章はヴィスコンティが「ヴェニスに死す」で使った影響でどうしても海のイメージが付きまといますが、
やはりマーラーの音楽には山を連想させる要素がいっぱい入っているようです。

この曲にも随所に長閑なカウベルや鐘が効果的に響きわたり、嫌が上にも牧歌的な風景を連想させます。

さて、当日座席に付こうとしたら私の席付近は椅子が取り外されドンとTVカメラが2台陣取っていました。
すかさず係りのオバさんがやって来て、「まぁ見ての通りなので、別の席に・・・」と近くの席に案内されました。
同じカテゴリーとはいえ折角ど真ん中の席を抑えていたのに・・・
TVが入るなんて最初からわかっているはずなのに、この辺は実にバイエルン的いい加減さ、良く言えばノンビリさです。

太鼓ののんびりした行進曲風のリズムに合わせてトランペットとトロンボーンが厳かに葬送のファンファーレを吹き始めました。
それと同時に舞台裏からコーラスがまるで葬儀に参列するような足取りで入場して来ました。
静かに歌い出された葬送音楽はどこまでも厳かで、歌と歌の間に挿入される金管アンサンブルとのやり取りは結構長い曲で、
途中眠くなってしまう程でした。
曲の終盤ではコーラスが再び音楽に合わせて退場行進して行きました。

この曲が終わると間髪を入れずにザバザバザンと勢いよくマーラーが始まりました。
恐らくこの曲の副題である「悲劇的」に合わせて、
まるでこの曲の前奏曲的扱いとしてパーセルの葬送音楽をもって来たのだと推測されます。
唯、やっとここで目が覚めた感じで、先ほどの音楽は必要だったのかどうか私には分かりません。
ハーディングの指揮は勢いがありバトン・テクニックも分かり易く明快です。
音楽は健康的で若々しく生々しています。尤も未だ39歳と若い人ですが・・・

音楽は滞ることなくドンドン進んで行き、迫力も充分です。
唯、この辺で確かに直接音は充分聴こえてくるのですが、音に包まれる様な瞬間がありません。
これはホールに問題があるようで、こんな曲はウィーンのムジークフェラインで聴いたらどんなにか素晴らしいだろうかと想像していました。

いよいよクライマックスの四楽章に入り、不思議な雰囲気の音形で始められた曲はドンドンと盛り上がりを見せ、
全奏者が段々熱くなっていく様子が伺えました。
狂った様に吹き荒れる木管群に金管群が更に厚みを加え、舞台裏からはカウベルや効果音が絡み、
そして打楽器達が今か今かと待っていたように大活躍を始めます。

そして例のハンマーの一撃、バコンと打ち終わった奏者もドヤ顔をしています。
暫くして二度目のハンマー・・・もう曲は盛り上がりの頂点に・・・
そして暫くの静けさのあと、バァーンと一斉に鳴ったオーケストラは不気味で混沌とした歩みのリズムの後、
宿命的な印象のバンというピッチカートで幕を閉じました。

終わった後、指揮者が微動だにしない瞬間が長々と続きました。
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まぁ長くて迫力も内容もたっぷりの曲だったので完全にグッタリです。

こんな曲を熱演で聴かされたのですから、また暫くクール・ダウンするのに時間が掛かりそうです。



by Atelier Onuki
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by Atelier-Onuki | 2014-03-23 00:04 | ミュンヘン | Trackback | Comments(0)
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