「ペルチャッハのブラームス」

構想から20余年、苦しみの内にやっと完成にこぎつけたブラームスの第一交響曲も初演を終え、
その重荷から開放された彼はペルチャッハへ作曲を兼ねた避暑に訪れます。
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ここでは構築的で重厚な1番の交響曲とは、打って変わって明るく伸びやかな2番の交響曲を生み出します。
それも彼としては珍しく3ヶ月ちょっとと云う短い期間で一気に完成させています。

その穏やかな曲想からブラームスの「田園交響曲」と呼ぶ人もいるほどで、ゆったりと落ち着いた気分で聴ける癒し系の曲でしょうか。

その昔、学生時代だったかブラームスの「交響曲2番」はペルチャッハで作曲された云々の記事を読んだ記憶がありましたが、
それが何処なのか見当も付かなかったし、余りにも遠い存在で探してみる気にもなりませんでした。

ところが先日マーラー二番目の作曲小屋を調べていたら、何と同じ湖に面した町だと判明しました。

この間のバード・イシュルでもそうでしたが、マーラーはこの時期ブラームスを追いかけては近い所で作曲活動をしていたようですね。

ミュンヘンからはクラーゲンフルト行きの列車に乗れば直行でいけることも判明、いそいそと出かけました。
それでも5時間強と結構長い旅程でした。


早々にブラームスが最初の年に宿泊した「シュロス・レオンシュタイン」で荷を解きました。
ここはお城の施設を改装した旅籠だったようで、なんと600年前の建物とか、木が剥き出しの柱や床にその歴史の長さを伺い知ることができました。
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便利になった今でもこんなに疲れる長旅でしたが、恐らくウィーンを出発したブラームスは蒸気機関車しかなかった時代に、
よくもこんな遠く辺鄙な所まで来たものだと変な所で感心していました。
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お天気も良かったので湖畔を散歩してみました。

船着場には大勢の人たちが乗り降りをして賑わっています。
湖畔に面した小道も明るく綺麗に花々も植えられていて心地よい雰囲気です。
看板には「ヨハネス・ブラームス・プロムナード」と掲げられていて、今や地元も彼の功績にちゃっかりあやかっているようです。
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ここペルチャッハはオーストリア最南部に位置するヴェルーター湖畔北側の中央辺りに面する町で、
海を持たないオーストリアの人たちとっては貴重なリゾート地の一つだそうです。
湖は濃いエメラルドグリーンの水を湛え、その濃度はまるで「バスクリンを混ぜているの?」と思えるほどです。
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そう云えば途中この湖へ流れ込む川もすでに同じ色をしていて、この辺の山々にはこの色に染まってしまう何か含有物が含まれているのでしょうね。

湖の南側にはアルプスが連なっていて、西側はイタリア、東側はもうスロヴェニアだそうです。

ベンチに腰掛け遠く山々を眺めながら2番のシンフォニーに思いを巡らせていました。

ホテルの筋向いにはまるで甲州街道のような交通量の道路を挟んで古びたペンションが建っています。

ブラームスは2年目の夏から、こちらへ引っ越しています。
それは最初に訪れた時に、長逗留をしていた芸術愛好家で世話好きのとある男爵夫妻が食事や船旅などに誘ったり、何かと彼に気を遣ったそうです。

人付き合いが余り得意でない彼は作曲にも専念したかったので、翌年からはこの寂しいペンションを7部屋も借りて静かに作曲をしたそうです。
その甲斐あって、ここでは「ヴァイオリン協奏曲」や「ヴァイオリン・ソナタの1番」それに「ハンガリー舞曲」という名作の数々を生み出しました。
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唯、このペンションは本当に朽ちかけていて、壁に落書きのように「この家にブラームスは滞在しました。」
と書かれていなかったら唯の廃墟にしか見えず、ここで生れた名作を思うと悲しい気持ちになりました。

さて、翌朝も良い天気、・・・「裏山には城跡があって、そこからの眺めが良いよ。」との情報を得て登ってみることにしました。
途中からはキツイ山道になり、森の中をハァハァと息を切らせながら登って行きました。
所々石組みの城壁が残っていてかろうじて城跡かと思わせます。
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頂上には東屋が建っていてここからの眺めは遠くアルプスが見渡せ絶景です。
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東屋には大きな木製の安楽椅子が設置されていて、ここでゴロンと寝転べるようになっています。
枕元を見るとボタンが3ツ付いていて、上から「ハンガリー舞曲6番」、「子守唄」、そして「ヴァイオリン協奏曲」から2楽章と書かれています。
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上から押してみると元気良くハンガリー舞曲が鳴り出しました。
続いて「眠れ~眠れ・・・」で始まる例の「ブラームスの子守唄」、
ヴァイオリン協奏曲のアダージョではその心地よさに本当に眠ってしまいそうでした。


by Atelier Onuki
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by Atelier-Onuki | 2014-06-24 00:16 | オーストリア | Trackback | Comments(0)
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