「利口な女狐の物語」ウィーン国立歌劇場の公演より

当初、今回の旅ではヴェルター湖周辺でボーッしてから帰ろうと思っていたのですが、
出発の数日前にウィーンの公演予定を見ていたらヤナーチェクの「利口な女狐の物語」があることを発見しました。

上演される機会が少ないこのオペラはかねてより「一度は観たいなぁ~」と思っていましたし、
しかもプレミエ公演なので迷わず予定を変更しウィーンへ立ち寄ることにしました。

クラーゲンフルトからウィーンまでは5時間程と結構な長旅です。

この路線は多分何度か通った事があると思うのですが、何時も夜行だったので景色を見るのは初めてです。

沿線は山岳地帯が多く中々の景勝路線で、途中ポッコリ盛り上がった丘全体がお城になっている所など
まるでお伽噺に出てくるお城のようで興味深く眺めていました。
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さて、この「利口な女狐の物語」には多くの動物や昆虫たちの着ぐるみが出てくるので、当日は綺麗に着飾った子供たちの姿も多く見かけました。
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ただ、内容は子供向けというよりも、もっと深い意味合いも含んでいます。

日本語タイトルは「利口な女狐」ですが原語には、もっとずる賢いと云う意味が含まれていて、
英語のタイトルでも「The Cunning Little Vixen」となっています。

生命の源である森を背景に生物の力強い再起や輪廻を表現しようとしています。
森もモラヴィア地方の寂しい森で全体に東欧圏独特のペーソスを醸しだしています。

開演前に降ろされているカーテンはこの出し物のために作られたオリジナルで、紗に森をイメージした図柄があしらわれ、
所々に取りつけられた豆球がほのかに付いたり消えたりして蛍を連想させます。
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音楽が始まると同時にうっすらと光が入り、紗越しに幻想的な森の情景が浮かび上がりました。
平行して倒れていた3本の大木がゆっくりと起き上がり、すでに自然の再起を暗示しているようです。

紗が開き現れた舞台はリアルで自然な森の情景を表現していて息を呑むほど素晴らしい出来栄えです。
特に小高く盛り上がった土手などこれだけデコボコを付けながらも自然の森さながらで
「こりゃ~良く作ったなぁ~」と唯々感心しながら呆然として見つめていました。

間もなくトンボや蝶々、芋牛にカタツムリなどありとあらゆる昆虫たちが登場してきました。
この着ぐるみが良くできていて、またまた感心・・・
昆虫の特徴を良く捉えながらも人が着ても可笑しな印象を与えるどころかお洒落なデザインです。
それに動きが素晴らしい。・・・
トンボや蝶々などは絶えずその薄い半透明の羽を小刻みに動かしてそれらしい感じを演技しています。
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森番が登場し「疲れた!」とウトウトと転寝をしたころ、いよいよビストロウシュカ(子狐時代の女狐)がカエルと戯れながら登場しました。

フトした拍子にカエルが森番に跳び乗ってしまい起こしてしまいますが、ここで初めて森番は女狐を見つけ、
そのちょっと愛くるしい姿に魅了されたのか捕まえて連れ帰ります。
このシーンでも土手の上ではトンボが踊っていて「束縛」を暗示しているそうです。
何故トンボなのか良く分かりませんが、この後も「束縛」を意味するシーンでは必ずトンボが現れ象徴的に踊っていました。
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森番の家では、ここでは大人になった女狐が比較的自由に飼われていますが、悪戯をする森番の子供に噛み付いたり、
挙句の果てはシツコク因縁をつけてくる鶏を噛み殺してしまいます。

これにはとうとう森番も彼女を厳重に縛ってしまいますが、
夜のシーンでは何を錯覚したのかこの魅力的な女狐にちょっと惚れてしまったような仕草もあって、
彼もハッと我に帰るシーンがありました。

それにしても女狐役のReissと云う歌手は美人だし、演技や仕草も色っぽくて魅力的、森番でなくても惚れてしまいそうです。

シーンは進み、逃げ出したビストロウシュカは逞しい雄狐と出会い、
仲良くなった二人(否二匹)はキツツキの祭司の元で結婚式を挙げます。

このシーンでは大勢の動物や昆虫たちに祝福されますが満天に蛍が輝きその喜びを盛り上げていました。
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その夜、二人(二匹)が結ばれるシーンもありますが、ここでもトンボが踊りだし「束縛」(結婚や子供)を暗示していました。

シーンは変り、多くの子狐に恵まれた彼らは幸せそうに森中を闊歩しています。

そこに通り掛かった鳥の行商人をカラカイます。
商売の鳥を食べられ怒った行商人が鉄砲を放ちますが、子狐をかばおうとしたビストロウシュカに命中してしまいます。

時は流れ、再び森番が昔を懐かしみながらウトウトし始めます。
そこへカエルが又飛び乗って彼を起こしてしまいますが、
「あの時、乗ったカエルは僕のお祖父さんだったのだよ!」と告白します。

そこへビストロウシュカそっくりな女狐が現れ、
生命の偉大さそしてビストロウシュカとの再開に感動した森番は彼女を抱きしめます。
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森の奥が大きく開き燦々とした光が輝いて感動のうちに幕となりました。




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by Atelier-Onuki | 2014-06-26 00:34 | ウィーン | Trackback | Comments(0)
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