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指揮者「ブルゴス」さん逝去によせて

ちょうど一ヶ月前の11日に指揮者のラファエル・フリューベック・デ・ブルゴスさんが亡くなられました。
彼の思い出を書こうと思っていたのですが、タイトな仕事をズート抱えていて今日まで延び延びになってしまいました。
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スペインのブルゴス生まれでお父さんがドイツ人、お母さんがスペイン人であることは有名で、
音楽も地元ビルバオとマドリッドそしてミュンヘンで学ばれたので、ラテン系、ドイツ系とも得意にされていました。

私が彼の事を初めて知ったのは大昔で未だ浪人時代、45年ほど前のことでした。

それは偶々ジャケットの写真が綺麗だったので、ジャケ買いのレコードでした。
シューマンの交響曲3番でいわゆる「ライン」と云う副題を持っていて、当然ジャケットはライン川の写真でしたが、
小高い山間に横たわるラインを撮った幻想的なジャケットでした。
(ジャケットの写真を探してみたのですが見付からず、ケルンの大聖堂が使われた別のジャケットを見つけました。どちらが初版盤なのかは不明です。)
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この頃は大阪の難波駅へ通じる高架線路の脇に「大十」と云う間口一間、奥行き三間ほどの小さなレコード店がありました。
本店は別の所にありましたが、ここは左の壁にはクラシック、右側はジャズの二種類しかなくて壁一杯に所狭しとレコードが陳列されていました。

ひょんなことからここの親父さんと親しくなり、よく通うことになりました。
店内にはいつも新譜レコードから選ばれたクラシック音楽が流れていて、
ちょっと強面の親父さんは最初取っつきにくかったのですが、話してみると優しい人で2割もまけてくれました。
それにしても半分はジャズだったけど、あの親父さんあの顔でジャズも聴いていたのかしら?(まぁ顔で音楽を聴く訳ではありませんが・・・)

そんな折、何故かは分かりませんが、Deccaの英国盤が大量に半額で放出されました。
この当時Deccaの録音は他の追随を許さないほど素晴らしい音でしたが、
中でも英国盤はプレス過程が原盤に近いので更に素晴らしく憧れのレコードでした。
もう見ているだけでヨダレが出てきそうな数々、実際デレッとしながら何時間も見入っていました。

とはいえ浪人の身ですから僅かな持ち合わせしかありません。
当時アルバイトをしていて週に一度単位でもらうアルバイト代が出ると、
その足でこのレコード屋に直行していましたが、欲しい枚数には程遠い持ち合わせです。

手に持ちきれない程のレコードを取りあえずは選んでそこからフームと悩んでから、厳選するのですが、どうしても絞りきれません。
そんな時は残りの何枚かを「あのぉ~すみませんがこれ取っといてもらえますかぁ~?」、
の問いに「ああ~エエヨ!」と優しく奥の方へ保管してくれました。

アルバイト代が出ると急いで引き取りに行くのですが、又新しい掘り出し物が出ていて、これも又保管の依頼と、こんな事をズート続けていました。

まぁその中の一枚がブルゴス盤だった訳です。

それ以降、彼のレコードはファリャを振った物など持っていましたが、ライブは一度聴いた位で余りよく聴いた指揮者ではありませんでした。

そんな折の一昨年、義弟がウィーンへ来るというのでデュッセルドルフから家内も交えて集合することになりました。
(結局、彼は来られなくなり家内とだけ集合したのですが。)
折角なのでと演奏会の予定を入れ、ウィーン交響楽団のシーズン最終公演を抑えていました。

当初はプレートルが指揮する予定でしたが急病の為、ブルゴスに変更されました。

普通このようなケースでは若い指揮者が代役で登場するのですが、
こちらも充分キャリアを積んだ超ベテランで、実際歩くのもままならない程でした。
指揮も椅子に座ってのもので、「彼も年取ったな~」と感慨深く見ていました。
(尤もこちらもそれだけ年をとっているのですが。・・・)

曲はベートーヴェンの「エグモント」序曲に始まり、堂々とした安定感のある演奏です。
二曲目はレオンスカヤをソリストにやはりベートーヴェンのピアノ協奏曲5番「皇帝」です。
冒頭から落ち着きのある演奏で気を衒わない何処も彼処も安定しています。
もう安心して身を委ねられるのですが、ゆったりとした二楽章ではもう襲い掛かる睡魔との闘いでした。

後半はレスピーギの「ローマの泉」と「松」です。
特に「ローマの松」での冒頭「ホルゲーゼ荘の松」から音楽がキラキラとまるで生まれ変わったように生き生きと輝きだし、
こちらもパッと目が覚めて座り直したほどです。

やはり彼の演奏はこういった曲に真価が発揮されるようです。

それにこのオーケストラの上手い事、金管や木管など円やかでありながら輝いています。
このオーケストラはとかくウィーン・フィルの影に隠れて地味な扱いをされていますが、
もっと高い評価をされてもいいのではないでしょうか。

「ジャニコロの松」での夜のシーンの表現も見事で、ナイチンゲールの鳴き声が被ってくる辺りなど怪しげな響きが混沌とする中、
幻想的でロマンティックな雰囲気を醸しだしていました。

最後の「アッピア街道の松」も遠くからローマ軍の足取りが段々と力強く迫ってきて、
クライマックスにかけてはオルガンも加わりバリッとした音の洪水で溢れていました。

これはレコードも含め我が「ローマの松」体験史上、最も感動した演奏でした。

又、一人一つの時代を築きあげた巨匠が亡くなり寂しくなりましたが、
ブルゴスさんの安らかなご冥福をお祈り致します。


by Atelier Onuki
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by Atelier-Onuki | 2014-07-11 17:54 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
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