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「フランツ・ウェルザー・メストとバイエルン放送交響楽団」の演奏会から

先週は怒涛のような忙しさで、
フト気が付けば金曜日で夜は演奏会の予定が入っているのを辛うじて思い出しました。

演目は
シベリウスのヴァイオリン協奏曲
Pintscherと言う若い現代作曲家のオーケストラの為の[idyll]
チャイコフスキーの「くるみ割り人形」2幕目からの抜粋 でした。

最初のシベリウスではソリストにNikolaj Znaiderというポーランド出身の若いヴァイオリニストで、
彼の演奏を聴くのは初めてでした。
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静かに始められた演奏は清涼で一点の濁りも感じさせません。
音はスマートでスッキリとした演奏スタイルです。

突如現れる激しいリズムから短いカデンツァでも完璧なテクニックでブレルことがありません。
綿々と歌われるニ楽章でも感情に溺れることなく、あくまでも端正な表現で好感が持てます。

そして力強く刻まれるオーケストラのリズムに乗って始まる三楽章も崩れることなく品を保ちながら進行して行きます。

後半は段々と熱い演奏になって行きますが、ここでも丁寧な表現で感心させられました。

彼の演奏を聴いる内に、ふとヘンリック・シェリングを思い浮かべました。

ひょっとしてシェリングのスタイルを継承しているのかなと感じたのですが、
そう云えばシェリングもポーランドの人でしたね。
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メストもその風貌からもちょっとクールな演奏を想像しがちなのですがクライマックスなど、
どうして中々熱い表現で盛り上がりました。
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それにしてもこの曲は果てしなく広がる雪原や深い森、そして青く染まる湖を連想させますが、
そんな厳寒の環境の中から熱いロマンチズムが湧き出てくる良い曲ですね。

さて、休憩後はPintscherと云う作曲家で2012年、ルツェルン音楽祭の作曲家部門で賞を取ったそうなのですが、
いかにも現代曲らしい領域の作品でしょうか。
私は現代曲には不案内なのですが、ハッとする所やゾクッとするシーンはありませんでした。

最後はお目当ての「くるみ割り人形」です。
これは「バレエ」としても 「物語」良し、「音楽」良しで一番好きな演目の一つです。
しかもピットではなく演奏会としてステージの上でフル・オーケストラがマジで取り組むのですから楽しみにしていました。
「フランツ・ウェルザー・メストとバイエルン放送交響楽団」の演奏会から_a0280569_351387.jpg

ニ幕への導入曲から始まった曲は「お菓子の国の魔法の城」へと進み
いよいよ色んな国からの踊りを披露する「ディヴェルティスマン」へと入っていきました。
「チョコレート」(スペイン)、「コーヒー」(アラビア)などなど変化に富んだ楽しい曲が次々と現れます。
そしてロマンティックな「花のワルツ」ではもうトロケそうな心地よさです。
二曲の「パ・ド・ドゥ」も感動的な盛り上がりをみせ、クライマックスへとなだれ込んで行きました。

ここでもメストの表現はスマートなやや早めのテンポでグイグイ進行していきます。
曲が盛り上がるところでは熱い演奏ながらも、あくまでもシンフォニックな表現で格調が保たれていました。

メストが抑制しながらも熱い演奏をするなんて表現の幅が広がってきたようです。

これは大いに充実した演奏会でした。

さあ明日はツィマーマンとヤンソンスでブラームスのピアノ協奏曲1番を聴きに行く予定で今から楽しみです。



by Atelier Onuki
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by Atelier-Onuki | 2014-11-05 03:51 | ミュンヘン | Trackback | Comments(0)
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