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「ミュンヘン・フィルのゲネラル・プローベから」

今朝は10時からミュンヘン・フィルの公開ゲネラル・プローベがあり、
曲目も良かったので会場のあるガスタイクまで聴きに行ってきました。
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まぁ平日の朝10時ですから勤め人は行く事が難しく、
観客は学校からグループで来ている生徒諸君とお年寄りの二極化された客層です。
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それも殆どがお年寄りで、「ミュンヘンにはこんなに沢山のお年寄りが居るのだ!」と改めて思うほど集まって来ました。
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チケットは座席のカテゴリーに関係なく一律10ユーロとリーズナブルですが、
更に28歳までの学生さん、生活保護を受けている人、失業者の人は何と無料です。

市立のオーケストラは市民の為にあり「音楽は全ての人の為に!」とは思うのですが、
ここまでのサービスをするとはこの街の気風の良さを感じます。

事実、明らかに長年失業中と思われる方々も仲良くグループで来られていました。

さて、出演はグラナダ出身の若い指揮者パブロ・ヘラス・カサド、
ヴァイオリンがハンブルク出身の中堅クリスチャン・テツラフ、
ソプラノにはザルツブルク出身のゲニア・クーマイヤーでした。

演目はモーツァルト31番のシンフォニー「パリ」
メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲、
マーラーの交響曲4番と盛りだくさんでした。

リハーサルですからオーケストラの皆さんも普段着で、
指揮者もいつ現れたのか分からない位でパラパラと拍手が起こってやっと気付いたほどでした。
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モヤモヤした雰囲気の中いきなり「ハッピー・バースデイ」の曲が高らかに演奏され始め、
最後の方は大慌てで指揮者がフィナーレを盛り上げていました。

まぁ和やかな雰囲気の中、鳴り出した音はシャンシャンシャンシャンと鈴の音が、・・・
なんといきなりプログラムでは最後のはずのマーラーが始まりました。

ちょっとあっけに取られながらも、中々良い感じです。

カサドの演奏を聴くのは初めてだったのですが、
テンポと云い表情の付け方と云い私の感性と合っていて自然に溶け込んでいけます。
まぁ若いので風格やコクを求めても仕方なく、むしろこの溌剌とした音楽を楽しんでいました。

三楽章に入り弦パートだけで静かにゆったりとしたアンサンブルで弾き始められたところなど
フワッとした音に包まれるようで、ちょっと背中にゾクッと来るものを感じました。

楽章フィナーレ近くになり緊張感と共に音楽が一気に盛り上がっている間に、ソプラノが厳かに登場し、
自然な流れに乗って四楽章へと移行して行きました。

ソプラノのクーマイヤーも清涼な声で、オペラの様に決して声を張り上げる部分などなく
トロッとした心地で流れ行く音楽に身を委ねていました。
そして「Sanct Ursula selbst dazu lacht ! ・・・」と歌われる辺りでは遂にウルッと来てしまい不覚をとってしまいました。

休憩後はこれまたいつ指揮者とソリストが現れたか分からないほどあっけなくメンデルスゾーンが鳴り始めました。
こりゃプログラムとは全く逆の順番です。

「ハハァ、今夜は本番が控えているので、編成の大きな曲からリハーサルを始め、
出番が無くなった奏者を早く上げる配慮がされているのだ。」と気付きました。

そう云えばハイドンも楽団員の要望に答える形で「告別」シンフォニーでは
パラパラと楽団員を退出させるウイットに富んだアイデアを考案していましたね。

さてメンデルスゾーンの演奏は、やはり溌剌とした速めのテンポで始められ、音楽は若々しく生き生きしています。
それでもソリストのヴァイオリンは丁寧で濁りの無い清涼な響きを醸し出しています。

以前にもテツラフの演奏を聴いたことがあったのですが、あの時からはもう10年ほど経ち、既に風格すら漂わせています。

音楽にも気持ちがこもっていて好感が持てます。
早いパッセージでも見事なテクニックですし、ゆったりとした所ではタップリと表情豊かに表現していました。

テンポも速く、引き締まった演奏だったせいかあっという間に終ってしまいました。

終演後はソリスト自らオーケストラと確認を取り合い、
最初はヴァイオリン、フルート、チェロパートと順に弾きながら合わせ直しをしていました。
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最後はモーツァルトの「パリ」シンフォニー。それほど長い曲ではないのでこれもあっけなく終りましたが、
この曲では指揮者が長々とオーケストラと何箇所か演奏をし直しながら確認をしていました。

まぁ昔はスペイン出身の指揮者と云えばファリャやロドリーゴなど、お国ものやラテン系の作曲家を得意として来ましたが、
このカサドの様にドイツ正統派の作曲家に本格的な取り組みをしているのは嬉しいことです。

彼には才能やセンスを感じますので、どう活躍して行くのか、これから益々楽しみです。


by Atelier Onuki
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by Atelier-Onuki | 2014-11-22 23:10 | ミュンヘン | Trackback | Comments(0)
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