演目
Anders Hillborg : “Eleven Gates” for Orchester グリーク : ピアノ協奏曲 ( ソリスト : Alice Sara Ott ) シベリウス : 交響曲5番 昨夜の演奏会は作曲家がスウェーデン、ノルウェー、フィンランド(指揮者も)と さながらスカンジナビアの夕べという様相でした。 ![]() サロネンの演奏を初めて聴いたのは、もう20年ほど前でまだスウェーデン放送交響楽団との演奏会でした。 その時聴いたマーラーの4番がやたらと素晴らしく、 もう3楽章辺りで完全にノックアウトされ目に熱いものを禁じられませんでした。 それ以来、彼の演奏は注意深く聴いてきました。 最初の曲は作曲家の名前すら知らない曲でしたが、結構複雑な構成にも関わらず、 さすが作曲家でもある彼は理路整然とした指揮ぶりで丁寧な表現をしていました。 まぁ私はこの手の現代曲には全く不案内なのでコメントはできませんが、・・・ 演奏後は作曲家自らステージに登場し挨拶をしていました。 さて、次のグリークは久しぶりに聴くのですが、ソリストの紗良・オットさんを聴くのは初めてでしたし、 ここ数年脚光を浴びているミュンヘン出身で日系の彼女の演奏は楽しみでした。 エメラルド・グリーンのドレスに身を包み登場してきた彼女はスラッと背が高くそれだけでも目を引く存在でした。 噂通りハダシでしたがそれでも大きく感じました。 曲の冒頭はティンパニーの連打に乗ってスタイリッシュに弾き始められます。 ここを余りにも気合が入りすぎて、ちょっと恥ずかしい気持ちにさせるピアニストも間々おられるのですが、 彼女の場合は力強くでも重々しくはなくフレッシュな響きで爽やかさを感じさせました。 一転してゆったりとしたフレーズでは丁寧な表現に瑞々しい響きで好感がもてます。 時折、テンポに貯めを作り変化を与える余裕すら感じますし、 テクニックは云うまでもなくほぼ完璧です。 最終楽章のテンポを上げていく所でも完璧で、躍動的にピアノに向かっている様は まるで豹か何かが獲物に向かって行くような光景を思い浮かべるほどです。 26歳という若い彼女にコクや深みを求める方が間違っていますし、 むしろこの曲にはこの若さが新鮮な印象を与え爽やかな気持ちになれました。 フィナーレの難しいパッセージも堂々とオーケストラと渡りあって一気に弾き切りました。 ステージ・マナーもちょっとお茶目な一面も覗かせて好感がもてます。 喝采に答えアンコール曲が弾かれましたが、出だしでその余りのポピュラーさに、 思わず会場から笑いが漏れたほどです。 それはベートーヴェンの「エリーゼのために」でした。 さてグリークに話を戻しますと、バックを付けていたサロネンが素晴らしく要所要所をしっかり押さえていました。 ともすれば時折ちょっと安っぽい響きになりかねない部分もある曲ですが、 引き締まった表現であくまでも格調の高い演奏をしていました。 休憩後はシベリウス、これは彼にとっては同国の作曲家でお手の物です。 この曲はシベリウスの生誕50周年の祝賀用に作曲されたそうで、 彼の曲の中では牧歌的で比較的明るい部分もあります。 それでも極寒の大自然を連想させる曲想には全般にどうしても暗さは漂っていますが・・・ ここでもサロネンの演奏はあくまでもキビキビとした進行の中にも格調ある丁寧な表現で感心しきりです。 彼の指揮スタイルは若々しく勢いが良いのですが、丁寧で見やすくこの辺にも さすが作曲家ならではの楽曲構成などしっかりと見据えた表現が出来るのでしょうね。 それにスタイリッシュながらも、既に風格を漂わせていました。 この所疲れていて、どうしようかと迷った演奏会でしたが「行って良かった!」とつくづく感じました。 by Atelier Onuki ~ホームページもご覧ください~ 応援クリックありがとうございます! ![]() 人気ブログランキングへ
by Atelier-Onuki
| 2015-01-18 02:29
| ミュンヘン
|
Trackback
|
Comments(0)
|
カテゴリ
全体 ウィーン ミュンヘン ザルツブルク デュッセルドルフ チロル ドイツ フランス イタリア イギリス スイス スペイン アメリカ チェコ 日本 オペラ 音楽 絵画 所感 オランダ オーストリア コラム ベルギー 未分類 以前の記事
2023年 05月 2023年 04月 2023年 03月 2023年 02月 2023年 01月 2022年 12月 2022年 11月 2022年 10月 2022年 09月 2022年 08月 2022年 07月 2022年 06月 2022年 05月 2022年 04月 2022年 03月 2022年 02月 2022年 01月 2021年 12月 2021年 11月 2021年 10月 2021年 09月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 06月 2021年 05月 2021年 04月 2021年 03月 2021年 02月 2021年 01月 2020年 12月 2020年 11月 2020年 10月 2020年 09月 2020年 08月 2020年 07月 2020年 06月 2020年 05月 2020年 04月 2020年 03月 2020年 02月 2020年 01月 2019年 12月 2019年 11月 2019年 10月 2019年 09月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 06月 2019年 05月 2019年 04月 2019年 03月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 07月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 09月 2016年 08月 2016年 07月 2016年 06月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 最新のコメント
■お問いあわせ■
mail ☆ atelier-onuki.com (☆は@に直して下さい) こちらのメールアドレスまでお願いいたします。 ■Atelier Onuki■ www.atelier-onuki.com こちらで今まで書き溜めてきた作品の数々を紹介しています。 ご覧いただけますと幸いです。 ■ドイツ・ニュースダイジェスト■ 毎月第三週(金曜)発行のニュースダイジェストでも”水彩画から覗く芸術の世界”『Nebenweg』というタイトルで水彩画とコラムを寄稿しています。こちらも見ていただけたら幸いです。 当サイト内の画像および 文章の無断転載を 禁止します。 タグ
ブログパーツ
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||