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サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルの演奏会」から

演目 : マーラー交響曲2番「復活」

この週末は久しぶりにベルリンへ行って、マーラーの交響曲2番を聴いて来ました。
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実は彼らの演奏は2年前にウィーンで聴いたのですが、それはそれは腰が抜けてしまいそうな素晴らしい演奏で、
もう一度機会があったら聴いてみたいなと思っていました。

しかもこの曲はもの凄い内容ですし、2人のソリストに合唱、それにオーケストラ編成は最大級ですし、
さらにステージ裏のバンダが2部隊とオルガンまで加わり、演奏する側にとっては相当の気合を入れないと出来ない演奏会ですので、
取り上げられる機会もそう頻繁にはありません。

それにこの日は特別演奏会として1回だけの公演でした。

もうこれから先、この曲を彼らが演奏する機会は少ないだろうと思い出かけました。

開演は何時もより1時間早い19時からだったので、用心のため18時前には会場に到着しましたが、
もう大勢の人たちが集まりだしています。
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入り口近くには、「チケット求む」と書いた紙切れを持った人たちが何人も立っていますし、窓口には予約を入れていた人たちや、
当日キャンセルされるチケット待ちや立見席を求める人たちで長い列が出来ていました。
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まだ1時間も前なのにロビーには大勢の人たちが集い、聴衆も相当の気合が入っていることを伺わせます。
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指揮者のラトル自身もこの曲を初めて聴いたときに、指揮者になる決心をしたのは有名な話でいやが上にも期待が高まります。

座席に付いても超満員の会場はザワザワと半ば興奮ぎみで熱気がみなぎっています。

そんな中、厳かに登場したラトルの手にはマイクが握られていて、演奏に先立って挨拶が入りました。

「今日、ドイツの元大統領だったヴァイツゼッカーさんが亡くなりました。」と
全員が起立して3分間ほどの黙祷を捧げました。

このヴァイツゼッカーさんは国民から愛された立派な大統領で「過去に目を閉ざすものは、未来に対しても盲目になる」で始まる有名な演説をし、
ナチスドイツが犯した罪を未来に渡り共同で負って行こうと決意を表明しました。

これは後に教科書にも取り上げられた程で、日本でも「荒れ野の40年」と題して岩波から出版されているそうです。

さて、1曲目はLachenmann作曲の “tableau”と云う現代音楽で、大曲を前にした小手慣らしでしょうか、
中々複雑で手の込んだ構成の曲でしたが、私には例によってさっぱり分かりませんでした。

休憩を入れずにオーケストラは粛々とマーラー用の編成に座り直しました。
最終楽章まで出番がない合唱団も最初から登場して来ました。
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いよいよ緊張感が漂うなかキリッと振り下ろされた棒に、バイオリン群が緊張感溢れるトレモロで反応し、
間髪を入れずにコントラバスがザバザバザン!とキリリと刻みを加えました。

もう冒頭から興奮させられこれから繰り広げられる、大伽藍への期待が一気に膨らんでいきます。

長い1楽章も緊張感を切らすことなく、ありとあらゆる楽想が交差し、ウネリ、歪み、
混ざり合いながら一気にクライマックスへと盛り上がって行きました。

一転して弦楽器群で穏やかにはじまる2楽章は丁寧であくまでも爽やかな表現です。

時折、ムセブようなと云うか、萌えるようと云ったほうが良いのか、
フワッ~と甘く浮き上がるように奏でられると、もうウットリとして聴き入ってしまいます。

間髪を入れずバンバンとティンパニーの一撃によって3楽章が始められました。
木管群の滑稽な旋律で軽妙に進められる様はまるで鳥獣戯画を連想させるような雰囲気ですが、
ちょっとグロテスクな部分でもあくまでも洗練された品格が保たれています。

ありとあらゆる旋律が絡み合い不思議な世界を表現しています。

オーケストラはぐっと音量を絞り、一変して静かな中にも厳かに「原光」と題した4楽章が
バイオリン・ソロに寄り添うようにメゾ・ソプラノによって歌い始められました。

ここではラトルは必ず夫人のコジェナを起用していますが、
彼女の清涼で真摯な歌唱は実力で選ばれている事が納得できます。

そしていよいよ長い最終楽章へと自然に移って行きました。

もうここでは作曲家マーラーの全ての思いと技量をつぎ込んで、
これでもかとばかりに目が詰まった楽章となっています。

音楽は複雑に絡み合い、ウネリ、別世界へと導いて行きます。

ホルンに応対するようにステージ・サイドからもホルンがコダマして来ます。
時折、ティンパニーが連打する音も聴こえ、これは遠雷のイメージでしょうか。

途中、滑稽で不安定な旋律が続くと今度はステージ左奥から、
軍楽隊を連想させる行進曲風の音楽が聴こえてきますが、これは過去への郷愁でしょうか・・・

これらが絡み合うのですが、バランスは見事に保たれているし、
ステージ上のオーケストラとも絶妙なハーモニーです。

いよいよホルンが厳かに“希望”を連想させる「復活」のテーマを吹き始めました。

合唱もユニゾンで従い曲は段々と盛り上がり出しました。

最後はステージ裏にいたバンダも加わり、トランペットは8本に、ホルンに至ってはなんと10人と膨らみ、
ティンパニーも2対を3人で叩き始めクライマックスを形成して行きました。

シンバル奏者に至っては叩くために立ち上がりましたが、
自分が座っていた椅子をサイド・キックで蹴ってスペースを作り気合満々の一撃を加えました。

鐘にオルガンも加わり、会場が割れんばかり、もうこれ以上の大きな音が出せないほどの大伽藍の内、最後の一撃で幕となりました。
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もう演奏者も聴衆も放心状態、・・・ しばし別世界で浮遊したままでした。・・・


追記-1 : 尚、この演目はツアーで2月14と15日(ロンドン)、17日(アムステルダム)、18日(パリ)でも公演予定です。

追記-2 : 先ほど思い出したのですが、ラトルはこの複雑で長い曲にも関わらず暗譜で指揮し、
       この曲を完全に自分のものにし音楽が自然と湧き出しているようでした。
       それにソリストはもとより合唱も暗譜で歌っていて、相当練習をしたことが伺えます。
       こんな事はカラヤンで聴いたブラームスの「ドイチェス・レクイエム」以来でした。


by Atelier Onuki
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by Atelier-Onuki | 2015-02-03 02:08 | Trackback | Comments(0)
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