この週末は懐かしい写真を見付けたので、思い出しながらこの広場の絵を描いてみました。
![]() それはジュネーヴ近郊のフランス側にある小さな村でした。 この当時は4年に一度開催され展示会のオリンピックと云われた“TELECOM”と云う催しがジュネーヴでありました。 当時は未だ携帯電話なども存在しない頃で、通信網もそれほど完備されていない時代でした。 それに一般の通信設備でも、アフリカや中東では未々未開の時代で、 実際のビジネスも各国の大臣クラスなど大物が相手で、商談が決まると大きなプロジェクトを得るチャンスでした。 ですから各社共、えらい力の入れようで2年前くらいから計画が始まり、 施工も2・3ヶ月掛けて大掛かりなスタンドを作っていました。 中には4階建てやエレベーターを付けたことがあるほどでスタンドと云うよりも、もしろ建築物を作っているようでした。 まぁこれだけ大きな催しですから各国から大勢の人たちがジュネーヴに集結し、 会期が近づくと市内のホテルは不足し、値段も普段の4~5倍、一泊4万円なんてのはザラで 中には8万円なんて法外な値段を付けていました。 そんな厳しい状況下、我々も毎回2ヶ月ほど滞在をしなくてはならず、 ある年からはジュネーヴ市内は諦め近郊の町々にあるホテルをあたっていました。 そんな中、引っ掛かって来たのが空港からジュネーヴとは反対側にあるフランスの“Bellevue”と云う村にある一軒でした。 この空港はバーゼルと同様、国境に位置していますから、 空港の出口にはコッチがスイス、反対側はフランスと表示が出ていて、同じ空港内で違う国に出る事ができます。 されこの“Bellevue”ですが、何もない辺境の地で滑走路の直ぐ脇に面しています。 毎朝滑走路から聞こえてくるゴーと云うエンジン音に起こされていました。 ![]() 近くには大型スーパーが一軒とネオンで紫に染められた怪しげな中華バイキングが一軒あるだけです。 到着した夜は一人でしたが早速この中華を恐々試しに入ってみました。 少し遅かったのか寂しくなるほど疎らにしかお客さんが居ませんでした。 ビールを注文し、いざバイキングの内容を確認に・・・ フーム、ドイツあたりでは見かけないそこそこ興味深い料理が並んでいます。 前菜を盛り付け、いざ試食・・・ おっと何と美味しいではないですか・・・ さすがフランス、中華も美味しいのは認識していましたが、 こんな片田舎のバイキングなので全く期待をしていなかったのですが、それは見事に外れました・・・ ワイン・リストを見るとなんとシャトー・マルゴーまで揃っています。 すっかり気に入ったので、これ以来ホテルに近いこともありシバシバ訪れていました。 とは言え飽きてくるのも事実で、地図で確認をすると歩いて行けそうな近場に “Ferney-Voltaire”と云う村を発見しました。 早々、出かけて見ると小さいながら古い家並みが続きとても趣のある街です。 バラバラとレストランもあってさすがに美味しい料理をだしてくれました。 ここもすっかり気に入ったのですが、中でも今回描いた広場には伐採された大木が象徴的に中央に立っていて印象に残りました。 ![]() 持参していた小さなスケッチ帳にササッと鉛筆描きだけはしたのですが、 その内にと思いながら今回まで描く機会がありませんでした。 この町には小さなシャトーもあるようですが、帰り際小さな広場に劇場を発見しました。 それは特徴的な看板が目に入ったからです。 そこには手描きでアルレッキーノやプルチネッラの姿が描かれていました。 ![]() ![]() 「ヘエ~、こんな田舎にも“コンメディア・デッラルテ”が来ていたのだ ・・・ それも未だ劇場が残っている。・・・」 と大きな驚きと感銘を受けました。 “この中世イタリアで出来た風刺喜劇はフランスでも絶大な人気があった。”と学生時代に習ったことがありました。 そして、ある時フランスの王様を風刺した劇をして、王の逆鱗に触れた為フランスを追放された。と ・・・ “ワトー‘も気に入っていたようで何枚も彼らの絵を描いている等々・・・ 学生時代に習ったことが実際目の前に事実として展開している光景には唯々、感動を覚えるばかりでした。 ![]() まぁこの絵を描きながら十数年前の出来事を懐かしく思い出していました。 by Atelier Onuki ~ホームページもご覧ください~ 応援クリックありがとうございます! ![]() 人気ブログランキングへ
by Atelier-Onuki
| 2015-02-24 00:59
| フランス
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