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「日本が愛した印象派展」 ボンから

この週末は最高気温が5度と冷蔵庫なみに冷え込みましたが、ボンで開催中の「日本が愛した印象派展」を見に行ってきました。
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会場は幾つかキャラクターが違うのミュージアムから構成された“Museumsmeile”の一つ“Bundeskunsthall“で開催されています。
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会場にはすでに大勢の鑑賞者が訪れていてドイツ人もこの展覧会に並々ならぬ興味があることを伺わせました。
それに、学芸員の誘導による15・6人のグループがひっきりなしにやって来ては熱心に説明を聞いていました。
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展覧会の構成は最初に日本地図が壁面に大きく描かれていて、
全国にあるどの美術館にどの様な印象派の絵画が所有されているのか表示されていました。

展示はペリー来航から始まり、明治維新へと移り、
急速に西洋化に向かっていく様子が興味深い浮世絵と写真で説明されていました。

そして西洋画家を目指した日本人画家たちはパリに向かいますが、
ちょうどその頃は印象派の画家たちが健在で活躍していた時代でした。

逆に印象派の画家たちは、輸入され始めた浮世絵に大きな衝撃を受け、
その画面構成の大胆さや平面的感覚に大きな影響を受けるのもこの時期からでした。

これら展示されている浮世絵はモネが所有していたもので、ジベルニーのモネ財団から貸し出されています。

そして、いよいよ日本人による印象派の収集が始まります。

印象派への先駆者であるクールベからコローそしてミレーが数点ずつ展示されています。
それにしても今更ながらコローの風景画は素晴らしいの一言です。

印象派の絵画は年代順にマネ、そしてピサロとシスレーの数点から始まります。

次の部屋には日本収集史上、最大の松方コレクションで有名な松方幸次郎の紹介と、それらが展示されている西洋美術館、
そして彼の姪御さんでパリに駐在中にモネと懇意になった黒木竹子さんにも焦点をあてていました。
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同じ部屋にはもう一つの大きな収集で知られる大原美術館から大原孫次郎の紹介、
そしてコレクションを率先して世話をした画家、児島虎二朗に焦点をあてていました。

引き続きモネのロンドンでの国会議事堂から睡蓮まで、ルノワールの数々と充実した内容です。
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セザンヌ、ゴーギャン、ゴッホ、シニャックと経て、
いよいよ印象派から影響を受けた日本人画家の絵が纏まって展示されています。

児島虎二朗の大きな「朝顔」と題された二点を始め、
黒田清輝、和田栄作、藤島武二、青木繁の大作が展示されています。
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特に、明治から大正の日常風景を描いた作品からはノスタルジックな日本の情景が
ほのぼのと伝わってきて味わい深く鑑賞していました。
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全体としてこれだけ日本中に散らばっている印象派の絵画や、日本人画家の作品群を一堂に会して見る機会は先ずないでしょうし、
画集でも見たことのない個人所有の作品に出会えたり、質の高い名品が集められていてとても充実した展覧会でした。

ここでは絵画のみならずロダンやブールデルの彫刻も展示されていますが、
会場が若干狭く、無防備に置かれた展示台に見学者がブツカリやしないか心配になりました。
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それでなくてもドイツ人はあまり回りに気付かない人が多いので心配です。

以下はこのミュージアムの日本語による案内と、共同で企画をした東大の三浦先生のブログ・サイトです。

http://www.bundeskunsthalle.de/ausstellungen/japanese-language.html

http://post-realiste.blogspot.de/2015/10/blog-post_18.html


by Atelier Onuki
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by Atelier-Onuki | 2015-11-24 01:10 | ドイツ | Trackback | Comments(0)
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