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「シャルル・ガルニエでのバレエ公演から」

パリでオペラと云えば旧オペラ座のシャルル・ガルニエ宮を真っ先に思い浮かべます。
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1990年に新しいオペラ・ハウスがバスティーユに出来たのですが、どうもこちらの方へは気が向きません。

完成してから約25年、モダンな建物は既に老朽化が進み、ちょっと寂しい雰囲気になりました。

昔の建物は時代と共に風格が出てくるのですが、モダンな建物は薄汚れていくようです。

旧オペラはナポレオン3世の時代に貴族社会の最後を飾る象徴的存在として1875年に完成しました。
一方バスティーユの方はフランス革命200周年を記念して、革命象徴の地バスティーユに、
まるで庶民が勝ち取ったような存在として完成しました。

来られる客層も気軽な感じになり、特にバレエの時などロビーで子供たちがキャッキャッと
自由に飛びはねていて、これはこれで微笑ましい光景だなあと感じました。

唯、トイレの数が圧倒的に少ないようで、休憩時間など男子トイレに婦人達が大挙押し寄せ、
当たり前のような様相で堂々と出入りされています。

一時、ちょっと優雅な気持ちを味わえるオペラ・ハウスのはずですが、
余りに庶民的すぎて如何なものかぁと考えさせられます。

そんな訳でなるべくガルニエの方で観たいのですがオペラを上演することは滅多になく、
殆どがバレエの公演です。

この日もバレエでしかも前半はリゲティのピアノ曲「ポリフォニア」とP.ブーレーズの「アンセム2」とモダン・バレエ、
やっと後半にストラヴィンスキーの「春の祭典」、しかも振り付けはピナ・バウシュとコンテンポラリー・ダンスの雄です。

それでもオペラ座の中は豪華絢爛、優雅なものです。
恐らくウィーンやミラノよりゴージャスではないでしょうか。・・・
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それにシャガールが描いた客席の天井画は見事ですしシャンデリアも大きくて豪華です。
ロビーはバルコニーなど場内をブラブラ散策して楽しんでいました。
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モダン・バレエなので覚悟を決めていましたが、リゲティも調整音楽で聴きやすく、
時折ドビュッシーを連想させるような瞬間もあってそれなりに楽しめました。

ブーレーズでは暗闇の中、円形の天井に取り付けられた照明器具が低音の電子音と共にストロボ状態で点滅、
かなり長くたってからやっとカーテンが開きソロ・ヴァイオリンが電子音楽に合わせ演奏し始めました。
ダンスというよりもパントマイムのような動きで、エレクトロ的な表現をしているようですが、
これは何とも良く理解できませんでした。

休憩後、客席に戻るとステージは既に開いていて大勢の大道具さんでしょうか、
舞台一杯に増設されたスロープに土を撒く作業をしています。
どうも演出的には既に始まっているのでしょうか.・・・
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15分ほど掛かったでしょうか、やっと土を均し終え大きな拍手と共に作業が完了しました。

ここでやっとオーケストラが入場し始め、普通のバレエらしくなってきました。

ファゴットが奏でる不吉な音色で始められクラリネットが怪しげに絡んできます。
調子外れのトランペットを合図に音楽は徐々に原始的なリズムを刻み始めます。

この曲を高校生の頃、ブーレーズの最初の盤で初めて聴いた時はまるで宇宙の音楽かと感じたものですが、
今ではすっかり古典音楽として耳に入ってきます。
この前に聴いた曲が余りにもモダンだったのも手伝っているのでしょう。

思えばこのバレエが初演されたのは、シャンゼリゼ劇場でちょうど100年ほど前のパリでした。

バウシュの振り付けは初演時のような原始的なものとは異なり、衣裳も女性ダンサーは白いワンピースで統一され優雅ささえ感じられます。
動きにも原始的な部分と優雅な踊りが上手くミックスされていて楽しめます。
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それにしてもこの大量の土の上を殆ど全力で踊るのですから大変な体力がいるでしょうね。・・・
汗をかき土の上を転げたりと衣裳は、段々とドロだらけに汚れて行きます。
いよいよ生贄の犠牲になる女性が選び出されステージ上で素早く赤の衣裳に着替えます。
群舞のあと、激しい彼女の踊りが続きますが、途中から片胸が露に弾きだされています。
それどもお構いなしに熱のこもった踊りは続きいよいよクライマックスの群舞へと盛り上がりオーケストラの一撃で暗転となりました。
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当然ながら主役を演じたダンサーには一際大きな拍手が起こりました。

ウン、これは面白い「春祭」を見せてもらいました。
さすがピナ・バウシュ・・・彼女の本拠地がある我が隣町ヴッパータールが誇らしく感じられました。
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by Atelier Onuki
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by Atelier-Onuki | 2015-12-18 00:13 | フランス | Trackback | Comments(0)
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