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「ドロミテ」にて

先々週はミュンヘンで所要があって、そのついでに更に南下しイタリアへと向かいました。
目指すはドロミテ山系の一番北に位置する ”Val Gardina’ ガルディナ渓谷の
“St.Ulrich”(伊名Ortisei)と云う町でこの界隈では比較的大きな町です。
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ここはドイツからは一番近いので去年まで行っていた “Val di Fassa“よりも一時間ほど早く到着します。

ミュンヘンを出発したボローニャ行きの列車はシーズン・オフのせいか空いていて快適です。
雪景色のオーストリアを抜け時刻通りイタリアとの国境ブレンナーに到着しました。

ここで牽引車や乗務員の交代があるので14分間の停車をします。
一息入れるにはちょうど良いタイミングで何時も通りホームに下りて一服つけていました。

ここでは何時もドイツ側の車掌とイタリア側の女性車掌が抱擁し会って
賑やかな挨拶をするのを微笑ましく眺めています。

いざ出発が迫って来たので車内に引き返して座っていると、
先ほどの女性車掌の声で「テクニカルな問題が発生し、この列車はキャンセルされます。・・・ 
1番線に停車中のボローニャ行きに乗り換えて下さい。」と・・・これ以上,何の説明もありません。

仕方なく1番線へと向かいましたが、食堂車には良く事情が理解できなかった人たちが
ノンビリと食事中で「大丈夫かな~」と心配になるほどでした。

結局は30分ほど待たされて、やっとこのローカル線は動き出しました。

こうなったら予定変更で途中のローカル線しか止まらない“Ponte Gardena”で下車、
ここからバスに乗り換えましたが、結局は最短コースとなり結果オーライとなりました。

さて今回この町にしたのは久しぶりにあの広大な高原の“Seiser Alm”に行きたかったからです。
ここから出ているゴンドラに乗れば15分ほどで到着、一面に広がる絶景を眺めることができます。
ゴンドラ駅に併設されているレストランで暫し景色を楽しみながらエスプレッソ・マッキャートで一息入れていました。
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それにここのコースはダダッ広いので厳しい傾斜は一箇所しかなく、あとはノンビリと滑走を楽しむだけです。
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そのくせ複雑に絡み合ったコースはたくさんあって一日で周り切るには相当気合を入れなくてはなりません。

さていよいよリフトを4・5本乗り継いで一番遠い所にある“Zallinger”と言う山を目指しました。

出発点の小道ルートに行くと、なんと格好良いスキー用の制服に身を固めた20人ほどの集団が次から次からと現れました。
背中には“Carabinieri”と書かれています。
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イタリア警察には何種類かの警察官に分かれているそうですが、
一般的な地方警官の“Porizia”よりも精鋭部隊である彼らは国家憲兵で軍隊の一部隊でもあるそうです。

そう云えば大昔、○ちゃんご一家と回っている時に、最後の難所Arabba“の急斜面で
ご子息がピタッと立ち止まってしまって身動き一つ出来なくなりました。

目に一杯涙をため言葉も出ません、・・・ 日は暮れてくるし、雪は勢い良く降って来るはで、どうしようもない状況の中・・・
上の方から出現した数人の影はパトロール中の“Carabinieri”の人たちでした。

この最悪の条件下に救いの手・・・大きなご子息をヒョイと抱っこして、あの険しい急斜面をスイスイと滑り降りて行きました。

まぁその格好良かったこと・・・いまでも鮮明に覚えています。

その“Carabinieri”の人たちが今、目前に並んでいます。
「オオ~これから見回りなのか、特殊な訓練をするのだろうか・・・」と尊敬の眼差しで眺めていました。

ところがどうしたことでしょうか・・・中々滑り出しません。
説明し終えた教官らしきCarabinieriが滑り出しましたが、
その後を躊躇しながらパラパラとヘッピリ腰のボーゲンでズルズルと付いていく人、
全く付いていけない人と区々です。

最後尾にいた女性警官など滑りだしていきなり尻餅を付いているような状況です。

「ハハッ~これはスキー初心者のCarabinieriで訓練を受けているようです。」
どこか違う地方から配属されてきたのでしょうか・・・
普段凛々しいCarabinieriからは想像も付かない光景は、そのギャップの大きさに思わず微笑んでしまいました。

その後、私自身は一番遠い山まで登ったり下ったりしながら充分楽しんで、
お昼を取るべく帰りのコースを辿っていましたが、何と途中の未だ半分くらいの所で依然として訓練中でした。
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さて、もう一つ楽しみにしていたのは谷を挟んで反対側の山“Seceda”からSt.Ulrichまでのダウンヒルです。

ここへもゴンドラとロープウェイを乗り継いで2500mの高さまで登ることができます。
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ロープウェイは厳しい山間をグイグイ登って行きコリャ厳しいコースだろうなと思うのですが、
滑ってみると意外と穏やかで厳しい所は2・3箇所位・・・それに全長10.5kmありますから、中々滑り応えがあります。
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ロープウェイの中継地点までの前半は気を入れて滑らなければなりませんが、
これを過ぎると穏やかな林間コースで、さらに後半は景色を眺めてノンビリ滑れるほどの緩い斜面です。

途中の山小屋では何時も焚き火をしていて、ホッと暖かい気持ちになれます。
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ここでお昼を取りましたが、まぁお味も抜群に美味しく大満足しました。
この界隈は何処でも美味しいのですが、この山小屋は特に星印ものでした。
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何回かダウンヒルをしてゴンドラ乗り場で一服つけて休憩していると、
とあるスキー教官が「ビタミン・・・ビタミン!」と一服しながらニコヤカに近づいて来ました。

すかさず「俺は酸素補給中!」と返すと、引き続き親しく話しかけて来ました。

このドロミテ界隈では余り日本人を見かけないので珍しいのかと思い「日本人は余りこないでしょ!」と尋ねると、
イヤイヤ「夏のハイキングにはたくさん来るよ!・・・
俺は何回も日本人グループのガイドをしたことがあるよ!」と云っていました。

インターナショナルのコーチ交流もあるそうで、ニセコや白馬にも行ったことがあるそうです。
これが縁だったのか、その後この教官(マエストロ)とは何度か偶然見かけることになりました。

スキーも年々、体力が持つか心配していますがイザ滑ってみると、
初日以外は攣ったりすることもなく慣れるもので、結局は滑り足りなく感じるほどです。

それに今回はシーズン・オフと云う事もあってお年寄りのスキー客が多かった事・・・
1月第2週辺りは、ちょうど仕事も学校も始まったばかりなので家族連れは先ずいないし、独身でも会社勤めは来られません。

そんな空いているシーズンを狙って時間が自由になる私を含めた年配がやってくるのでしょう。・・・
事実、宿泊代やスキー・パスなどハイ・シーズンからするとグット割安になりますし、
その上65歳以上の割引制度の恩恵も初めて受けることができました。

唯、最近のオ婆さんには気を付けないといけません。

その最新のモードに身を包んだ派手な後ろ姿から、まるで二十歳くらいの娘さんかと思いきや、
まぁお幾つでしょうか・・・歩くのもタドタドシイ方々もおられます。

ヘルメットにサングラスを装着し殆ど顔が隠れていますので、よ~く気をつけてから近づかないと行けません。
「まぁ別に近づかんでもヨロシイ!」のですが・・・
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帰ってきて未だ1週間も経っていないのですが、もうウズウズしてきて、
「また行きたいなぁ~」と毎日ここのWebcamをヨダレをたらしながら眺めています。・・・


by Atelier Onuki
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by Atelier-Onuki | 2016-01-29 03:06 | イタリア | Trackback | Comments(0)
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