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グリモーとパーヴォ・ヤルヴィ、ブレーメン室内管弦楽団の公演から

先週はルール・ピアノ・フェスティバルの一環、エッセンのフィルハーモニーでの演奏会でした。

これは2日連続のブラームス・チクルスで初日はピアノ協奏曲の1番と交響曲の4番、
2日目はピアノ協奏曲の2番と交響曲の1番という組み合わせでした。

グリモーでの1番はもう3回ほど聴いていたので今回は2番の方の演奏会に出かけました。
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エクス アン プロヴァンス出身の彼女はフランス人にも関わらず、
ドビッシーやラヴェルには関心は示さず、ドイツ物にしか興味がないようです。

それも大抵の女性ピアニストが避けて通るブラームスの協奏曲に特に関心があるようで、
彼女はこの2つの協奏曲を色んな楽団と頻繁に共演し今までにないアプローチで独自のブラームス演奏をしています。

ブレーメンのオーケストラは聴いたことがなかったのですが、
誰かが「上手いオーケストラですよ。」云っていたのでちょっと気になっていました。

開演まで時間があったので会場裏の公園で休憩していました。
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当日は平日の夕刻にも関わらずマラソン大会が予定されていて、
公園内でも準備体操やならしのランニングをする人たちが集まっていました。

それもスタート地点が会場のすぐ前のところからで、大勢のランナーたちが今か今かとスタートを待っていました。
会場のバルコニーからも大勢の観客が眺めています。
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雰囲気を盛り上げる為にジャンジャン景気の良い音楽が流れていますし、それを煽るようにアナウンスがガナリたてています。

これから演奏会だと言うのに・・・正直なところ早くチャチャとスタートをしてもらいたい気持ちでした。

やっとスターターの合図で一斉に走り出し、演奏会が始まる頃には静かになりました。

さて、肝心の演奏は最初にピアノ協奏曲から始まりました。

オーケストラが入場しましたが、まぁ小さな編成です。
ヴァイオリンが各10名ほど、ヴィオラなど8人、コントラバスに至っては4人しか入っていません。
こんな小さな編成でブラームスなんて大丈夫なのだろうかと心配になります。

昨今、ヨーロッパ室内管とかマーラー室内管など「室内」と付いていながらも、
それは小さな編成ではなく室内楽的な精密なアンサンブルを目指したオーケストラだという意味合いだそうです。
このブレーメンも室内管と言うの名もそれと同じ意味だと思っていましたが、
実際に小さな編成のオーケストラでした。
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ちょっと気だるいホルンの和音で始められた曲にピアノが分散和音で乗っかって行きます。

最初の方はややゆったり始められましたが、段々とテンポが上がって行きます。

グリモーのピアノは相変わらず伸びやかな明るいタッチで好感が持てます。

それにしても複雑に絡み合う楽器群やリズムが微妙に変化をしたりと、
ブラームスはなんと難しい曲を書いたのでしょうか。・・・

まぁ聴いている方は面白いのですが、演奏者は大変だろうな想像していました。

それにしてもテンポは益々スピードが上がっていくるし、
慌しい感じでこの音楽は何処へ行くのか検討がつかないほどやりたい事が感じられません。

オーケストラの響きは懸念していた通り薄っぺらで、ブラームスらしさは感じられません。

それでも私の好きな3楽章でのチェロのソロなどは小振りながら丁寧な表現で好感が持てましたし、
管などもソロだと中々のレヴェルです。

唯、これらがアンサンブルとして幾つもの楽器が重なって演奏される部分では、
濁りや微妙なずれが生じていて、綺麗なハーモニーには達していません。

それに何といってもこのセカセカとしたテンポは如何ともしがたい。
それに至るところでアクセントを付け変化を出そうとしているのですが、
これがかえって音楽を小さく感じさせ落ち着きのない印象に感じられました。

まぁグリモーの明るく気持ちの良い響きを聴けただけで良しという感じでした。

後半の交響曲ではソリストがいないので益々ヤルヴィの特徴が強調されたより落ち着きのない演奏でした。

もうブラームスをちゃんと振れる指揮者が少なくなったなぁと、昔の演奏を懐かしく思い出していました。

一番の思い出はアムステルダムで聴いたジュリーニの丁寧で味わい深い演奏です。

あの4楽章での弦のトレモロに乗ってホルンが浮き上がって来る所など、
まだ薄暗い朝霧の中、湖面の対岸にある針葉樹の森からフワフワと浮き上がってくる霧のように、
ステージ・バックのオルガンに沿ってホルンの響きが幻想的に立ち上がって行く動きが見えたのを懐かしく思い出します。

もうこんな演奏に出会う機会があるのでしょうか ・・・


後日、ピアノ協奏曲も口直しのため久しぶりにバックハウスのCDを取り出して聴きました。
これは名盤の誉れ高き演奏なのですが、今まで印象がうすく、暫く聴いていませんでした。
それは1967年と録音時期も古いのですが、
Deccaにしては乾いた潤いの乏しい音で録音されていたのも、あまり聴かなかった理由だったかもしれません。
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改めて聴きなおしてみると、最初のホルンの立ち上がり方からして、
その円やかで潤いのある響きに、「オオッ・・やっぱり良いなぁ~」と聴き惚れてしまいます。

この録音時はバックハウスが83歳、ベームが73歳と爺さん二人の共演で、
これはそれほど愛想のある表現はしていないだろうなと高を括っていたのですが、
イヤイヤどうして渋い演奏の中にもちゃんと可愛らしい表現をしているところも
随所にあって決して爺さん二人の演奏とは思えません。

それにしてもこの頃のウィーン・フィルの音は今となっては聴けない味わいや潤いがあって良いですなぁ。・・・

バックハウスもさすがにテンポはユックリ目とはいえ、
渋さのなかにも初々しい表現もされていて本物のブラームスを聴かせてもらったなぁとつくづく感じられました。

それもそのはずです。
彼は神童と云われていた少年時代に、何とブラームスに会っているのです。
しかもその時ブラームスから“アメちゃん”をもらったそうです。

「あぁ俺も欲しかったなぁ~」、こんなのを貰ったら舐めたりしないで家宝として代々伝えていったのに。・・・

しかもこの曲をブラームス自らの指揮で聴いているのです。
さらにその時ピアノを弾いたダンベールから、その後ピアノを習っているのですね。・・・

これは正真正銘の本物で、これからはこのCDを聴く時はもっと襟を正してから聴かせて頂こうと思っています。




by Atelier Onuki
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by Atelier-Onuki | 2016-07-07 23:15 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
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