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ビゼー「アルルの女」から第1組曲 (ドイツ・ニュース・ダイジェスト8月のコラムから)

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夏が来ると聴きたくなる曲にジョルジュ・ビゼーの名作「アルルの女」があります。

これはアルフォンソ・ドーデがプロヴァンスで最後に残った風車小屋を譲り受け、
ここからパリへ送り続けた短編集「風車小屋だより」の一つ「アルルの女」から戯曲化されたお芝居の付随音楽として作曲されました。

短い話にも関わらず、作品の題名である「アルルの女」が登場しないこのお芝居は、人々に感銘を与えました。

ただ、予算とスペースの制約から劇場版はオーケストラの編成が小さく、
そのことに不満を持っていたビゼーがフルオーケストラ用の組曲として編曲してから人気作品になります。

組曲は第1と第2の各4曲で、第1はビゼー自身によるものですが途中で亡くなったため、
第2は友人のエルネスト・ギローの編さんです。
 
力強く荘厳な民俗音楽風に始まる「前奏曲」は、プロヴァンスの明るく力強い太陽を連想させますが、
同時に悲劇の影もにおわせています。

後半に入りサクソフォンによる甘いメロディーへと移り、穏やかな農村風景やけだるい夏の午後が連想されます。

軽快な民族舞踊風に始まる「メヌエット」は流麗な弦楽のメロディーへと移り、青い大空をバックに田園風景が広がっていくようです。

その上に浮き上がるようなハープが爪弾かれると、柔らかく木管たちが絡まり、
まるでミストラル(フランス南東部に吹く北風)に吹かれ流れている雲が目に浮かぶようです。 

曲は一変して静かな「アダージェット」へ。弦楽が穏やかで甘いメロディーを奏でます。
バルタザール老人がベンチに座り、フレデリ(アルルの女に恋をし、嫉妬のあまり自殺をしてしまう地主の息子)に昔話を聞かせるシーン。

若い頃雇われていた農家の夫人と相思相愛になりますが、事情が許さずこの農家を去ったが、
今も思い出すと涙が出てしまうと話す場面で、甘くも切ない物語です。
 
さらに曲は一変し、高らかなホルンの刻みによって鐘の音を表現する「カリヨン」へ入ります。

これはアルルにあるサン・トロフィーム教会の鐘楼で鳴る鐘をイメージしているのでしょうか。

このシーンではいつも、ゴッホの「アルルの見える花咲く果樹園」を思い浮かべます。

ミュンヘンの美術館、ノイ・ピナコテークにある一枚でポプラ並木の向こうにアーモンドの花咲く農園が広がり、
この鐘楼と共にアルルの街並みが描かれています。(続く)
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by Atelier Onuki
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by Atelier-Onuki | 2016-08-20 22:14 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
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