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「セガンとヨーロッパ室内管弦楽団」の演奏会から

昨夜はケルンのフィルハーモニーでのコンサートに行ってきました。

指揮者はモントリオール出身で最近は引っ張りだこのヤニック・ネゼ=セガンとヨーロッパ室内管弦楽団、
ソリストにやはりモントリオール出身のチェリスト、ジャン=ギアン・ケラスを迎えてのコンサートでした。
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演目はハイドンの交響曲44番(悲劇的)と1番のチェロ協奏曲、
後半はベートーヴェンの6番(田園)でした。

セガンの指揮で聴くのは3回目ですが、4年ほど前に聴いたウィーン・フィルとの
ベルリオーズ「幻想交響曲」は我が幻想体験の中でも一番の出来だったので強く印象に残っています。

昨年はやはりウィーン・フィルとの共演でブルックナーの9番を聴いていました。

ヨーロッパ管を聴くのは久しぶりで、創設者のアバドや良く客演していたアーノンクールといった大物が亡くなってしまい、
最近はあまり気をそそらせる演奏会がありませんでした。

かつてアーノンクールと共演したモーツァルトの「29番」2楽章における弱音効果の利いた絹擦れの弦など
この世のものとは思えない響きは“鳥肌もの”でゾクゾクしながら聴いたのを思い出します。

“室内管弦楽団”と室内が付けられていますが、編成は一般的な大きさで、
これは創設当時、室内楽団かと思わせるほど整ったアンサンブルの精度を目指そうとアバドが命名したそうです。
当時はヨーロッパ中から若くて優秀なメンバーが集められ、
演奏会ごとに臨時で召集されていましたが、現在はやっとロンドンに本拠地を得たようです。

1981年創設当初は若者だった人たちも半数近くは年配の領域になってしまいました。
(そう書いている本人も年配の領域をとうに越えてしまいましたが・・・)
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さて、最初のハイドンの交響曲44番は余り演奏会に取り上げられる機会も少ない曲で、
実際取り立てて特徴がある曲ではなく地味に纏まった曲といった印象です。
それでも3楽章などは柔らかく気品のあるフレーズが随所に聴かれました。

一般的にハイドンはウィットもあり軽妙な曲の印象が強いのですが、
様式美を踏み外さないので、どの曲からも気品が漂っています。

2曲目もハイドンのチェロ協奏曲で、
何と家にあったCDにはこの日に演奏するケラスのものもありました。
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溌剌としたテンポで始まる曲に気分もウキウキしてきます。
指揮者、ソリスト共にテンポ良くキリリとした演奏スタイルで心地よく進みます。

それでもチェリストの演奏は丁寧でガリガリとは弾かず品格を保っています。
それにフランス系という事もあってか、音色も幾分明るく伸びやかです。

2楽章緩やかに流れるメロディも濁りの無い柔らかい響きで、
こちらは益々心地よい世界に身を預けていました。

軽快な3楽章でも決してテクニックに流されず、
あくまでも丁寧かつふくよかに進行して行きアッという間にジャン・ジャンと終ってしまいました。

喝采が鳴り止まぬ中、ケラスがもう一度座りなおしたので、どうやらアンコールを弾くようです。

演奏に先駆けてたどたどしいドイツ語で「バッハの無伴奏から一節を弾きます。」と挨拶をしました。

喋り出した声はあの気品を感じられるチェロの響きとは裏腹に、
えらく甲高い声でビックリ・・・彼は聴衆の前ではチェロだけで喋る方が得かなぁ・・・
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さて、後半はベートーヴェンの“田園”です。

先ほどのハイドンでも編成が小さく、コントラバスなど2本しか入っていませんでしたが、
このベートーヴェンでも大きな編成を取らずコントラバスは1本加わっただけで驚くほどの小編成です。

まぁベートーヴェン時代はこれ位だったと思われますが、
この編成から使用する楽譜はベーゼンライトナー版だなぁと予測されました。

そういえばアーノンクールのベートーヴェンもこの楽団と録音をしていますし、
今日もその時と同じくティンパニーとトランペットは古いオリジナル楽器を入れています。

颯爽としたテンポで始められた曲は、サラサラとドンドン進んで行きます。
それでも落ち着きがないという事も無く、むしろ心地よく軽快です。
これで音の質がもっと磨かれ、凝縮された味わいが加わると申し分ないのですが。・・・

ゆったりとした2楽章もサラサラと流れていきます。
ヴァイオリンがチャラ・チャラと繰り返し清らかな小川の流れを表現しますが、
「こんな清涼に流れていたかなぁ~」とヌスドルフのベートーヴェン・ガング脇を流れる小川を思い出していました。
(まぁベートーヴェンの時代はもっと綺麗だったのでしょうね。)

曲はぐっと落ち着き、フルートやクラリネットによってナイチンゲールやカッコウの鳴くさまが表現され、
穏やかな田園風景が目の前に映るようです。

民族舞踊風に始まる3楽章は農村での楽しい一時を表現していますが、
舞踊風の音楽が激しくなってくる辺り、これってひょっとして“チャルダッシュ?”と感じてしまします。

これはウィーンの森の麓でインスピレーションを受けてスケッチをしているのですが、
ベートーヴェンが良く訪れていたハンガリーの農村での思い出も加わっているのではないでしょうか。・・・

舞曲は盛り上がり、それを遮るように森の奥からホルンがコダマします。

待ってました・・・ ホルン奏者、一番の聴かせ所・・・

いやぁ~ ここで外す?? 
まぁ音程の取り辛い楽器であることは承知していますが・・・
よりによってここで・・・ さあもう一回チャンス・・・二度目の繰り返しが・・・ああここでもパハッ?・・・ 

まぁそれでも、じっと我慢して座っていた4楽章しか出番のないティンパニー奏者のオジサンや、
ピッコロもこことばかり頑張っていましたし、全体としてはすっきりとした良い演奏だったのではないでしょうか。・・・

やっぱりこの曲はウィーン・フィルで聴きたいなぁ~と、また良からぬ欲求が沸々と湧いてきました。

それにしてもやはりベートーヴェンは偉大だな・・・とつくづく感じさせられました。
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by Atelier Onuki
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by Atelier-Onuki | 2017-02-10 00:49 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
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