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「デュトワとロイヤル・フィル」 エッセンの演奏会から

先週末はエッセンであったデュトワとロイヤル・フィルの演奏会に出掛けました。

演目は
ベルリオーズの「ローマの謝肉祭」
メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲」 V.ルノー・カピュソン
ドヴォルザーク「交響曲9番」 新世界から
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デュトワの思い出は、もう20年ほど前にアムステルダムで聴いた
コンセルトヘボウとの共演によるラヴェルの「ダフニスとクロエ」でした。
それはそれはキラキラとした演奏でしたが、オーケストラのいぶし銀のような響きは決して派手になることはなく、
素晴らしかった演奏が深く印象に残っています。

この「ダフニスとクロエ」が当初予定されていたので行く事にしたのですが、
どういう訳かドヴォルザークの9番いわゆる「新世界から」に変更されてしまいました。

「まぁドヴォルザークも良いか!」と開き直って聴きにいきました。

会場はアレッと思うほど閑散としていて、最上階席は全く人を入れていませんでした。
デュトワではそんなに集客が出来ないのでしょうか・・・
先日のラトル、ベルリン・フィルの超満員との差は歴然としていました。

最初のベルリオーズはデュトワの得意曲の一つでもあるので、
やはり手馴れたものでキラキラと輝くような演奏で楽しめました。
それにしてもベルリオーズって面白い作曲家です。

二曲目のメンデルスゾーンはヴァイオリンにフランス人のカピュソンを起用し、
フランス系スイス人のデュトワとは同じような演奏スタイルなのでしょう。
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事実、演奏され始めた音色はやや軽めでニュートラルな印象です。
ヴァイオリンも濁りのない繊細な弾き方で好感がもてます。

下手な感情移入やポルタメントなど一切なく素直に曲が進んで行きます。
オーケストラも正攻法で上質の音楽を楽しませてくれました。
ヴァイオリンの線の細さとか、堂々とした巨匠風の表現はないので、
やや物足りなさも感じましたが、それは贅沢というものでしょうか・・・充分立派な演奏でした。

唯、後から知ったのですが、彼はアイザック・スターンが愛用していたグァルネリを使っているそうで、
これだったらもう少し芯の太い表現もできるのでは・・・と思ってしまいます。
「デュトワとロイヤル・フィル」 エッセンの演奏会から_a0280569_22161819.jpg

さて、メインはドヴォルザークの9番です。
デュトワとロイヤル・フィルであえてドヴォルザーク? と思っていましたが、
いざ演奏が始まってみると、どうしてなかなか聴き応えのある演奏です。
ニュートラルな表現ながらツボを得た、聴きやすい演奏でドンドン引き込まれて行きます。

二楽章の有名なイングリシュホルンが吹くメロディに木管たちや、
衣擦れのように弦が絡まってくる辺りでは、不覚にもウルッと来てしまいそうになりました。
三楽章や終楽章では金管群が待ってましたとばかり活躍するシーンが目立ちますが、
ここでもバランスのとれた綺麗なハーモニーが保たれ気持ちよく委ねることができました。

「新世界から」と言えば私は真っ先にケルテスとウィーン・フィルの演奏を思い出し、
何かとこの演奏と比べてしまって、辛めの評価をしてしまいがちですが、
この日の演奏は決して熱い表現ではありませんが、とても上質の素晴らしい演奏でした。
彼らがこの曲を選んだのも納得ができました。

アンコールにはドヴォルザークに縁のあるブラームスの「ハンガリー舞曲の1番」、・・・
オケもノリノリの演奏でしたが、まぁこれは余興として楽しめました。



by Atelier Onuki
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by Atelier-Onuki | 2017-05-01 22:16 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
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