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セザンヌを訪ねて 2 (エクスへの道) [ドイツ・ニュース・ダイジェスト10月のコラムから]

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ズ~と憧れていたセザンヌの生れ故郷、エクス・アン・プロヴァンスへは、ある時突然に思い立ちました。

それはカンヌで仕事があって、その後に自由な時間が出来たからです。

折角なので海沿いの近道を行くのではなく、
噂に聞いていた山間部を走るプロヴァンス鉄道に乗ってみたくなりました。

これはヨーロッパでは珍しい私鉄で、
駅はSNCF(国鉄)のニース駅からちょっと北側に行った所に鄙びた感じで佇んでいます。

列車はまるで遊園地の電車を思わせるような、ちょっと小振りの可愛い感じです。
運が良ければ、時々蒸気機関車も走っているそうで、まさに観光列車よろしくといった処です。

駅近くのスーパーでお惣菜やワインを買い込み、心は既に休暇モードです。

走り出して直ぐに山間部へと入り川に沿ってノロノロと走ります。

景色の良さと開放的な気分が相まって、早々に冷えたロゼを開けましたが、
山間部をジグザグに喘ぎながら上る小さな電車は上下左右に大きく揺れます。

溢さないように飲むのも大変でしたが、その酔いの早いこと・・・
この日の目的地アノー(Anot)に着く頃にはすっかり酔っ払っていました。

このアノーも山間の古くて小さな町で、屋根も壁も石造りの家々が数多く点在し、
独特の雰囲気を醸しだしています。

高台から眺めるプロヴァンス鉄道の石橋は霞んだ山を背景にし、古くとても趣があるもので、
山間には小さなチャペレがへばり付くように建っているのが見えています。

さて、いよいよエクスを目指しますが、先ずは終点のデューニュ・レ・バンまで列車、
そこからバスに乗り換えSNCFの駅があるシャトー・アンヌ・サン・トーバン
(Chàteau-Arnoux-Sant-Auban)へと向かいました。

地図を見るとこの駅の傍にはデュランスと云う川が流れていますし、
そのシャトーという地名からも、大いに期待が膨らんで行きました。

バスはクネクネと山間部を下り、遠くにはちょっと湿地帯のような草原も見えてきて、
「おお!シャトー!」と益々期待が膨らんできました。

閑静な住宅街を通り、ポツンと建つ小さな石造りの駅へと到着しました。

「さて、シャトーはどの辺にあるのだろうかなぁ?」・・・
ガランとした駅のホームに佇みアチコチを眺めて見たのですが、
目の前に広がっていたのはとてつもなく大きな化学薬品工場でした。

あぁ憧れのエクスは遠いなぁ~



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by Atelier-Onuki | 2018-10-22 23:37 | コラム | Trackback | Comments(0)
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