セザンヌを訪ねて 4 サント・ヴィクトワール山への道 (12月のコラムより)

今月は21日から日本へ出発しますので、発刊日よりも早くフライングをして掲載いたします。

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セザンヌといえば真っ先に「サント・ヴィクトワール山」を思い浮かべます。

油絵を44枚、水彩画で43枚描いたと言われていますが、
一つのモチーフをこれだけ愛着を持って何枚も描き続けたのは驚異としかいえません。
(他にはモネの睡蓮がある位でしょうか?)

山は画家にとっては中々難しい題材で、技術的な問題というよりも、
絵葉書のように描くのではなく如何に芸術性の高みまで描けるかにかかっています。

同じ様に有名な山として富士山を思い浮かべますが、この山にも愛着を注ぎ挑んだ画家達がいます。

一人目の「富岳三十六景」で有名な葛飾北斎を初め、
日本画の大御所、横山大観は神秘性を通じ崇高な域にまで達しています。
それに日本画に絶妙なモダニズムを持ち込んだ片岡珠子さんなどは、芸術としての風格と格調を与えています。

セザンヌの頭の中には恐らく北斎の影響もあったかと思われますが、
それは富士山もサント・ヴィクトワール山も、山の稜線が長く広々とした裾野が広がっていて似ているといえば似ています。

そんなセザンヌ・ファン憧れのサント・ヴィクトワール山と出会うため、
彼の絵の中にも登場するシャトー・ノワールを目指しました。

交通手段がないので徒歩で向かいましたが、
地図で確かめると街から3kmほどの所にシャトー・ノワールが見付かりました。 

道も“Route Cézanne ”(セザンヌ道路)とあり、
「この道をセザンヌも歩いて通ったのだ!」と益々気持ちが高まっていきました。

街を出てセザンヌ道路へと入ると、松林や糸杉が点在するプロヴァンスらしい乾燥した田舎の景色が広がりました。

唯、このセザンヌ道路は幹線道路なのか頻繁に車が走っています。

道幅は4m程と狭く両端から50cm位の所に申し訳程度の線が敷かれて歩道と認識はできるのですが、
中央線も敷かれていないので車が交差する時には歩道まではみ出してきます。

トラックなど走ってくると脇の雑草が生えている所まで逃げながらの危険歩行です。 

もうシャトー・ノワールまでは諦めて小高い所に見えた館への脇道へ逃れました。

やっと庭先まで登り目を上げると、オット・・目の前にあのサント・ヴィクトワール山が堂々と横たわっています。・・・ 
これだ!正に絵で見たことのある風景で、まるでセザンヌの絵の中に紛れ込んだような錯覚にとらわれます。
やっと出会えた憧れの風景に暫し時を忘れて見入っていました。

帰り道、街に入る手前の石塀からサクランボの枝が飛び出しています。

ヒョイとジャンプして一粒手折りホオバリましたが、その瑞々しい果汁は乾いた喉を甘く潤してくれました。





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by Atelier-Onuki | 2018-12-19 00:17 | コラム | Trackback | Comments(0)
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