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ムーティとウィーン・フィル ケルンの演奏会から

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昨夜は今シーズンのハイライト、ケルンでのムーティとウィーン・フィルの演奏会へ行ってきました。

演目はモーツァルトのフルート協奏曲1番 と
ブルックナーの交響曲7番 でした。

さすがこの組合せだけに会場は溢れんばかりの聴衆が集まっていました。

最初のモーツァルトは「クラリネット協奏曲をやってくれたら良かったのに~」と
この余り面白くない曲の選択に不満を抱いていました。

それでも割り切って、ここはちょっと優雅な気分にでも浸るかと構えていました。

小編成のオーケストラは生きいきとしたテンポで弦楽の合奏で始まりましたが、
まぁ何とその弦の柔らかい響きか・・・先ほどまでの不満はすっ飛び心地良い
気分に浸っていました。

後半はお目当てのブルックナーです。
特に7番は彼の交響曲のなかで一番好きな曲です。

モヤモヤッと霧の中から沸き立つように弦楽によって静かに弾き始められました。
それに木管群が加わり徐々に音量を増していきます。
いよいよ金管群が乗っかり最初の盛り上がりを見せます。

ムーティの指揮ぶりはたっぷりとしたテンポながらもキビキビとした運びです。
それに何といっても気持ち良く歌わせ、さすがムーティの真骨頂といったところです。

響きは奥深く重厚ながらも、深刻にならず明るいところが聴いていて心地く身を任せられます。

2楽章におけるあの天国的な弦のメロディにもウットリです。
後半、一旦ぐっと音量を落とし序々に膨らんできた音は、ティンパニーの一撃と共に爆発を迎えますが、
緊張させられていた雰囲気が一気に開放され、思いっきりその音の洪水に身を委ねてしまいます。

それに、ホルンの後で待機していたワグナー・ホルン達がいよいよ登場し、その鄙びた響きで味付けをしています。
ここでもブルックナーは如何にワグナーを尊敬していたかが伺われますが、
寂が利いた中にも、ちょっとオドケタような親しみも感じられ好きな楽器です。

トランペットのソロが特徴的な3楽章でも金管群は生きいきとして鳴らしています。
フォルテになって、ホール中に音が溢れても、なんと心地よい響きか・・・

金管が盛り上りみせ、ここでもシンバルの一撃で最高潮に達しますが、
ここでのティンパニーの連打・・・凄い・・・

猛スピードで連打しますが、ちゃんと味わいを付けこのティンパニーだけを聴いても、
一つの音楽の世界を表現しています。
連打しますが最後の一打は更に気持ちをこめ溜めを作って叩いています。
それに、何と行っても革張りのティンパニーなので、なんとも味わいのある渋い響きがしています。

不思議な弦のアンサンブルではじまる最終楽章では、颯爽とした推進力で曲は進み、
紆余曲折のメロディがあっちへ行ったりこっちへ行ったりを繰り返しながら、
フィナーレへと向かって行き、金管群のオンパレード宜しく鳴り響き、
バ~ンと最高潮になったところの一撃で幕となります。

1時間ちょっとと結構長い曲ですが、まだまだ聴いていたいなぁと、終るのが惜しまれる演奏でした。

ただ、集中して聴いていたせいか終った後はグッタリと放心状態で、
今尚、頭の中ではキラキラとした金管群の響きがキラメク鳴り響いています。


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by Atelier-Onuki | 2018-12-20 23:49 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
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