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ゴッホ-1 (ヌエネンからアントワープへ) [ ドイツ・ニュース・ダイジェスト 6月のコラムより ]

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父親が牧師をしていたヌエネンにいたゴッホは画家になる思いを父親から渋々許されるようになります。

ここでは、農民や労働者への共感と敬意をもって、彼らの肖像をたくさん描きますが、集大成としての代表作は何といっても「ジャガイモを食べる人たち」でしょう。
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しかし、そのモデルになった娘さんとの良からぬ噂が立ち始めたり、
父親が亡くなったこともあり、ヌエネンには居辛くなってしまいました。

ここで描かれた最後の絵は「開かれた聖書の静物画」と題されています。
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カルビン派と言うキリスト教の中でも厳格な宗派だった父親と自らもその精神を受け継ぎ、
伝道師して働いたことがありますが、彼の極端なまでの言動により皆からそっぽを向かれ挫折をしています。

この絵では、父や聖職者として生きることへの決別を表現しています。

開かれた大きな聖書の脇には、キリスト教の象徴の一つでもある燭台が置かれていますが、
ロウソクの火は消されています。

机の手前にはゾラの小説「生きる喜び」が置かれていますが、
この聖書の教えとは対極の自由に生きる世界観が描かれていて、
画家としての決意を表明しているようです。

もがくフィンセントに対し、すでに経済的援助をしていた弟テオからアントワープのアカデミーへ行く事を勧められます。

ここではアカデミックな技法をみっちり教えられ、初めて見るルーベンスの絵から、
オランダの画家たちよりもずっと明るく力強い絵に感銘を受けています。

あの「フランダースの犬」でも登場する大聖堂にある「祭壇画」も見たのでしょうか・・・
(膨大な大作を残したルーベンスですが、あの2枚の「祭壇画」に関してはえらい気合の入った最高傑作だと思います。)
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しかし、ここでの生活も酷いもので、絵には没頭していたようですがテオからの仕送りは
殆どが画材とモデル代、タバコそしてアブサンにと使われ、冷たいパン以外は殆ど食べていなかったようです。

そんな中、パリに居たテオに宛てて何度も「パリへ行きたい・・・」
旨の手紙を送っていますが、テオは難色を示しています。

そりゃ今やゴッホといえば美術史上燦然と輝く凄い画家に違いありませんが、
もしこんな神経質な変わり者と一緒に暮らすなんて想像をするだけでもゾッとしてしまいます。


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by Atelier-Onuki | 2019-06-24 23:17 | Trackback | Comments(0)
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