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「ゾフィエンザール」詣で

今回のウィーン滞在では長年「行ってみたいなぁ~」と憧れていた「ゾフィエンザール」へやっと訪れる事ができました。
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憧れていたと言っても漠然としていたし、それが何処にあるのかも分かりませんでした。

唯、昔のレコード・ファンにとってゾフィエンザールと言えば、
真っ先に英Deccaが録音した数々の名録音を思い出し、一種の聖地のような所です。

それは他を圧倒し群を抜く素晴らしい録音の数々で、この当時としては完成された録音技術だったのではないでしょうか。

Deccaは元来、録音が優秀なレコード会社で、
モノラル時代から“ffrr“(Full Frequency Range Recording)と銘打って,
その録音の優秀さをジャケットに表示されていました。

当初は潜水艦のソナーを開発した会社で、その周波数を広く拾い上げるマイクが開発され、
レコード会社になった際も録音に採用されました。
(確かにダイナミック・レンジが広く豊かなサウンドでした。)

このゾフィエンザールで録音が始められたのは1950年代初めで、ウィーン・フィルと完全専属契約をとった直後でした。

本来ならウィーン・フィルの本拠地ムジークフェラインで録音をすれば良いのにと思うのですが、幾つか問題があったようです。

1つには彼らの競合会社EMIがここを専属の録音会場として独占していた事です。
それに演奏会場ですから時間的にも場所的にも制約があったようです。

もう一つは残響が2.6秒と演奏会場としては驚異的な長さに、
当時の録音技術が整わず収録が難しい会場だったことです。

そこで、見つけてきたのがこのゾフィエンザールで、元々は温水プールでした。
夏場はプールですが冬場は板で蓋がされ舞踏会場として使われていたそうです。

あのヨハン・シュトラウスもここで「天体の音楽」や「観光列車」の初演をしているそうです。
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床の下が空っぽのプールなのが功を奏してとても良い響きだったそうです。
そう言えばムジークフェラインの床下も空間が設けられていて、それもあの素晴らしい響きを助けているそうです。

録音をするためだけに借り上げ、もの凄い時間とコストを掛けたなんて今では考えられないことです。

ここでの名録音の数々は枚挙に暇がありませんが、
中でもショルティとのワグナー「指輪」のセッションでは、
理想的な歌手陣(ドリーム・キャスト)を揃え、何と10年もの歳月を掛けて丁寧に録音されました。
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唯、残念なことにゾフィエンザールは2001年に殆どを焼失しています。
2012年には取り壊されたそうですが、現在は見事に復帰してくれました。
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一部はホテルとして、この録音会場は催し物会場として使われています。

ウィーン・ミッテ(Landstrasse)の駅を降り、東へと向かいました。

この辺はあまり来た事がなく人通りも少ない大通りはちょっと寂しい感じです。
しばらく進むと写真で見たアーチ状の屋根が見えてきました。
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「これだ、これこれ!」まぁ録音などに興味のない人には何の面白みもありませんが、
我々、レコード・ファンには聖地のような場所です。
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ドアを恐る恐る開けると、目の前の入り口にはアレッ「Fitness」の看板が、・・・
お姉ちゃんがヒョイ・ヒョイと気楽に入って行きました。

気を取り直し右側の古めかしい階段をホテルと書いてある方向へ上って行きました。
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ロビーを想像していましたが、そこはイキナリ暗い感じのバーです。
何人かパラパラと座っていましたが、ホテル客を装ってグイグイと進みましたら、行き止まりは厨房です。

でもそこの窓から録音会場がチラチラと見えます。
「オォ、コレコレ・・・」と何枚か写真に収めました。
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再び、正面玄関へと降り、今度は幾つかの会社の看板しか掲示されていませんが左側の階段を上がりました。

ありゃ何と・・・イキナリ録音会場の入り口が・・・
この日は何かのパーティがあるらしく、テーブル・セッティングやプロジェクターなどの設営をしています。
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「オウここが、あの幾多の巨匠たちが演奏した会場だ!」、と半ば興奮気味で緊張していますが、
すれ違うスタッフは気楽なもので、何の違和感もなく「ハロー」と声を掛けて行きます。
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アチコチを歩いて「オォ、この辺にカラヤンが立っている写真があったな~、
ショルティの時はこの辺だったなぁ~」と見たことがある写真を思い出していました。

会場は新しく立て直されたこともあり、若干派手な感じを受けましたが、
「良くここまで昔通りに復元してくれたものだなぁ~」と嬉しくなりました。

ここで録音された曲の一節を思い浮かべようとしましたが、
ちょうど音響のテストをしていて、クリスマス音楽が軽妙に流れていました。



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by Atelier-Onuki | 2019-12-20 00:35 | ウィーン | Trackback | Comments(0)
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