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「バイロイト音楽祭」の思い出

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ワグナーの音楽は「まるで麻薬のようなものだ!」なんて言われていますが、
一度その虜に陥ったファンには、まるで信仰にも近い魅力を感じているそうです。

そんなワグネリアンと呼ばれる人たちにとっての聖地は何といっても「バイロイト音楽祭」でしょう。
自作のオペラを理想的な環境で聴いて欲しいとの願いからワグナー自身によって、
この地が選ばれ始められた音楽祭は、もっとも歴史の古い音楽祭でしょう。
開場以来、代々ワグナー家によって運営されてきた音楽祭ですが、
人気の故チケットの入手が困難で2・3年前から予約を入れウェイティング・リストに載せてもらいます。

もう35年も前ですが、ウィーンでの知り合いが舞台監督や歌手として参加していました。
「一度ゲネプロでも観に来ませんか?」の問いに二つ返事で出かけました。
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唯、まだ長男が生れて6ヶ月位、まぁ家内と交代しながら観ようとしていましたが、
劇場に着くと「お子さんは楽屋に預けて一緒に観なさいよ!」と言って頂き、ありがたくそうさせてもらいました。
後から聞いた処、なんとこの日上がりだったルネ・コロにもあやしてもらっていたそうです。

さて、演目は「タンホイザー」この年のプレミエで、演出はヴォルフガング・ワグナー、ワグナーの孫に当る人です。
客席の真ん中に設置された大きなテーブルの前にドンと陣取っておられました。

ゲネプロと言ってもほぼ本番と同じで、ちゃんと衣裳も着けメイクもされています。
一度だけ「歌合戦」のシーンで舞台上のカーテンが引っ掛かった所で、止められましたが、それ以外は本番さながら進行されました。

休憩時間に、ズート気になっていたオーケストラ・ピットへ入らせてもらいました。
このピットは独特で客席との間に湾曲した高い壁が立っていて中が見えません。
床はヒナ壇が奥に行くほど下がっていて、ステージの下まで食い込んでいます。
これはワグナーが地から湧いて来るような音を求めた為で、ワグナーの音楽に相応しい重厚な響きがします。
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唯、ピットの壁に反響した音はステージ上で歌う歌手の声よりも1拍遅れて出てくるので、ここでは指揮者に独特の技が必要だそうです。
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私はこの後が下がっているのに指揮者がちゃんと見えるのか知りたかったので、
コントラバスの後あたりから指揮台を見上げましたが、ちゃんと良く見ることができ長年の疑問が解けました。

by Atelier-Onuki | 2021-09-20 21:36 | コラム | Trackback | Comments(0)
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