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エディッタ・グルベローヴァさん逝去によせて

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先日の1018日、グルベローヴァさんがチューリッヒでお亡くなりになりました。

まぁ引退はされていましたが、まだ74歳という若さでした。

彼女の名前は日本にいた70年代の頃から、ウィーンでのデビューを伝え聞いていました。

それは「魔笛」の“夜の女王”役だったそうですが、衝撃的な素晴らしさだったそうです。

その後、続けて「ルチア」での名唱で確固たる名声を獲得しました。


彼女の素晴らしさは、先ず完璧な技巧で、あのコロラトゥーラと云う高域の難しい歌を軽々と歌ったことです

それに声が綺麗・・・というか透明感のある、むしろ可愛い声でした。


私が初めて彼女を聴いたのは、やはりウィーンで83年、恒例の大晦日公演「こうもり」でした。

彼女はアデーレという女中の役でしたが、最初の登場シーンは2からハタキを掛けながら階段を駆け下りてきました。

まぁ未だ若かったので歌いながら転がるように駆け下りてきたのですが、

それよりも驚いたのはその歌が更に転がるように完璧に軽く歌われ、まるで羽根が空中をクルクル回っているようでした。


彼女は稀にみる最高のコロラトゥーラ歌手ということもあって、コロラトゥーラが主役の作品が多いドニゼッティの作品上演に力を注ぎました。


ドニゼッティの時代には、優秀なコロラトゥーラ歌手が沢山いて、超絶技巧の作品が人気をはくし、このような作品が多く作曲されました。

唯、近年はそれほど凄いコロラトゥーラ歌手が少なく、多くのドニゼッティ作品も埋もれていました。

それを一つ一つ発掘し、「ルクレシア・ボルジア」とか「ロベルト・デヴリュー」や「シャモニーのリンダ」など埋もれていた作品に光をあてて行きました。

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丁度、私がミュンヘンに住んでいた頃は、これらの作品に出演されていて、何度か聴く機会に恵まれました。

彼女が出演する場合は基本的に、ご主人のハイダーさんが指揮をすることになっていました。

これはかつてサザーラントさんがご主人のボニングさんとしか共演しなかったのと同じですね。


まぁコロラトゥーラという特殊な声域で、まず50年に一人いるかいないかの実力者ですから、ファンも特別に熱狂的な人たちもいました。

私の知り合いでも追っかけの人がいて、ヨーロッパ中、彼女が出演する公演に出かけ、毎回、何がしらのプレゼントを持参して楽屋を訪れていたそうです。

あまりのシツコさに、とうとう「もう楽屋に来ないで下さい!」と云われたそうで、それをちょっと自慢げに話しておられました。


また、バルセロナで「アンナ・ボレナ」を観たのですが、終演後のカーテンコールでは、

桟敷席から「エディッタ・・・エディッタ・・・!」と大声で声を嗄らして延々と叫んでいる異常なほどのオジサンがいました。


数年前にエッセンでリサイタルがあったので出かけたのですが、この時はキャンセルされ別の歌手で聴きました。

残念ながら、これが彼女の歌唱を聴ける最後の機会でしたが。・・

まぁ50年前後は出ないであろう希代の名歌手の、ご冥福をお祈りいたします。


by Atelier-Onuki | 2021-10-23 04:03 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
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