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オペラ「ヘンゼルとグレーテル」 (12月のコラムより)

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毎年クリスマス・シーズンになると多くの歌劇場で、

この「ヘンゼルとグレーテル」が定番の一つとして上演されます。


それは2幕目、森で帰り道に迷い、疲れ果てた二人が眠りについた後、

彼らを守るために、たくさんの天使が舞い降りてくるからでしょう。


このオペラはエンゲルベルト・フンパーディンクによって作曲されましたが、

その誕生は妹のヴェッテさんが家庭で上演するための劇に4曲の作曲を依頼したことから始まります。


「お兄ちゃん、ちょっと曲を付けてよ~」と気楽に頼まれたのですが、

その歌詞の内容に、すっかり興味を抱きた彼は、こんなにも素敵なオペラへと発展させて行きます。


内容は誰でも知っているグリム兄弟によるメルヘンですが、

子供たちに見せる目的なのでヴェッテさんは、この原作の残酷な部分をすっかり取り除き、

むしろ家庭愛や神への感謝がテーマになっています。


初演はヴァイマールの歌劇場でクリスマスの前々日に行われましたが、

何と若き日のリヒャルト・シュトラウスが指揮をとっています。


それにこのオペラの形式はワグナーが心血を注いで提唱していた

“楽劇”(ムジーク・ドラマ)を継承していますが、あれだけワグナーが苦労を重ねていたのに、

このバイロイトでアスタントをしていただけのフンパーディンクにいとも簡単に完璧な仕上がりで作曲されました。

これには当のワグナーはもの凄く嫉妬をしたと伝えられています。


さて、このオペラは子供を対象にしているので音楽は親しみやすく、

ドイツの童謡なども巧みに取り上げていますが、その内容は素晴らしい音楽が随所に現れ、

相当のオペラ通でも楽しめるものです。


お芝居の内容もだれる箇所がなく、飽きやすい子供たちもグイグイ引きこまれて行きます。

魔女も単に怖い存在でなく滑稽な部分もあったり、空を飛んだり、

ちょっと目が見辛くなっているという弱点も呈しています。


最後に竈へ放り込まれ爆発をしたあとプリンテンに焼き上げられメデタシ・メデタシとなりますが、

ちょっと可愛そうな感覚にもなります。


魔女がお菓子になった後、今までお菓子に変えられていた子供たちが蘇り、

そこへ心配をして探していた両親も駆けつけて、全員で感謝の歌を歌って幕となります。


Wenndie Not aufs höchste steigt,Gott der Herr die Hand uns reicht !

いちばん困っている時にこそ、神が手を差し伸べてくださる !




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by Atelier-Onuki | 2021-12-18 20:11 | コラム | Trackback | Comments(0)
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