![]() 音楽を聴く媒体として、かつてはレコードそしてCDとなり、今や気軽にネットから自由に楽しむ時代です。 唯、このような録音からではなく、生の演奏でしかその凄さや面白さが伝わって来ない楽曲もあります。 基本的にも生の演奏では録音では聴き取れない息使いや雰囲気が伝わってきます。 中でも生でないと絶対に伝わらないだろうなと思われる作曲家は、ドイツ系ではマーラーでしょう。 彼の交響曲は全般に編成がもの凄く大きく、それを録音で捉えるには相当の無理があります。 それに凝った作曲をしているので、時折聴こえてくる不思議な音はいったいどの楽器で、 いかに演奏しているのか分からない箇所が随所に現れます。 弦楽器群といっても皆さん同じ様に弾いているのではなく、あるパートごとに違うメロディーを弾いていたりで、 これは音楽に歪みやウネリを加え立体感や不思議で怪しい雰囲気を醸しだしています。 例えば6番の交響曲、最終楽章における“ハンマー”、これなど録音だと分かりませんが、 生だと大きな杭を打つ木槌が振り下ろされるのが見てとれます。 又、7番でのギターやマンドリン、そして“大地の歌“におけるマンドリンなどレコードで聴いていた頃は なんだかサッパリ分かりませんでした。 さて、もう一人フランス系では何と言ってもラヴェルでしょう。 オーケストレーションの魔術師と異名をとるほど、楽曲をオーケストラの楽器に散りばめるのを得意とした作曲家です。 一般的に作曲段階ではピアノを使用して進められ、その後オーケストラの楽器にどの様に編曲していくかの過程を踏むのですが、 彼はピアノを弾いている段階で既に頭の中に楽器が浮かび上がり、 ここはどの楽器とどの楽器が絡み合ったり、こう揺れ動いたりと同時にイメージが膨らんでいったそうです。 代表作の一つ「ボレロ」では一定のリズムで刻まれる小太鼓をベースに、 静かに始まる音楽は同じメロディーを繰り返し、変幻自在に発達しながら進んで行きます。 その間、あらゆる楽器のソロが繰り返され次第にクレッシェンドして行った曲は突然の変調と共に爆発して終ります。 音楽はキラキラと煌き一種の陶酔状態にまで引き込まれます。あぁまた、音の洪水の中に身を任せたいものです。
by Atelier-Onuki
| 2022-01-22 01:10
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