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メードリングのシューベルト(3月のコラムより)

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水車小屋の菩提樹(メードリング)

AmBrunnen vor dem Tore, Da steht ein Lindenbaum.

(泉のほとり、門の前に、そびえる1本の菩提樹)

で始まるこの歌はシューベルトが最晩年に作曲した歌曲集「冬の旅」の5曲目で

日本でもよく知られている「菩提樹」の冒頭です。


最晩年といっても31歳で亡くなっていますから、未々青年といっても差し支えのない年齢でした。


このシューベルトが見たとされる菩提樹が今も現存しています。

実際に見た菩提樹は雷に打たれて倒れてしまったそうですが、現在は2代目が育っています。


そこはウィーンの南、ほんの67kmほど行ったメードリングという小さな町外れの

ヒンターブリュールという地区にあるヘンドリッヒと云う水車小屋にあります。


シューベルトが訪れた頃は水車小屋だった所ですが、現在はその知名度にあやかって大きなホテル・レストランになっています。


実際に行って見ると、門の前には泉(井戸)があって直ぐ傍に堂々とした菩提樹がそびえて、もう笑いが出るほど歌詞の通りです。


尤も歌詞のオリジナルはドイツの詩人ヴィルヘルム・ミュラーの詩集で、

恐らく彼が住んでいたデッサウ辺りの菩提樹をイメージしていると思われます。


シューベルトとほぼ同時代に生き、やはり33歳で亡くなっている彼の詩集から

シューベルトは同じような感覚のインスピレーションを受けたのでしょうね。


さて、ここからほど近いところにゼー・グロッテというヨーロッパ最大の地底湖があり、

一般的にはこちらの方が知名度は高いようです。


元々は石膏の採掘場だったそうで、戦時中はナチがジェット機の開発をするための秘密工場として使っていました。

試作ジェット機のモデルも坑内に展示されています。


湖は岩盤から漏れだした雨水などが溜まったものですが、広大で迷路の様な地底湖を観光ボートで巡ることができます。


帰路に着くべくメードリングの街へと戻って行きました。

傍を流れている小川も先ほどまでの自然な姿からコンクリートの疏水と変わりました。


それでも水は透明で綺麗なまま、そこにサッと素早く動く影を見かけました。

これはひょっとしてと、静かに近づくとそれは鱒です。


そう、あのシューベルトの歌曲「鱒」のブラウン・トラウトです。

ゆったりと泳いでいると思いきや、餌を見つけた時の素早い身の動き、

それは彼のピアノ5重奏「鱒」でも表現されています。





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by Atelier-Onuki | 2022-03-21 19:56 | コラム | Trackback | Comments(0)
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