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私の好きな春の音楽 (4月のコラムから)

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誰しも春の訪れを心待ちにしているものですが、

作曲家たちも同じで「春」をテーマにした楽曲が四季の中では一番多いのではないでしょうか。


タイトルに「春」が付いた曲や付いてなくても明らかに春を連想させる曲など目白押しです。

タイトルにずばり「春」が付いている曲を作曲家の年代順に挙げると、先ずはヴィヴァルディの「四季」から「春」。

ヴァイオリン協奏曲の形をとった小弦楽アンサンブルで、軽妙に春を表現しています。

鳥の鳴き声や気だるい犬の鳴き声などを巧みに取り入れていますし、途中で嵐もやってきますがイタリアですから可愛いものです。


モーツァルトでは弦楽4重奏の14番が「春」ですし、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ5番では「春」と、

シューマンの交響曲1番でも「春」とダイレクトに付けられています。


次に「春の何々」と付けられている曲ではメンデルスゾーンのピアノ小品集[無言歌]から「春の歌」、

またヨハン・シュトラウスの「春の声」はとても有名曲です。

グリークではピアノによる[抒情小品集]の第3集に「春に寄す」が、コープランドでは「アパラチアの春」が、

そしてストラヴィンスキーの「春の祭典」と続きます。

まぁこの曲は我々日本人が抱く穏やかな春のイメージとはかけ離れた、ドロドロとした力強い音楽ですが、

原始宗教的な踊りがテーマなので仕方がありません。ただ凄い名曲です。


そしてシューベルトの歌曲に至っては「春に寄せて」、「春の夢」、「春への憧れ」、「春の小川」、「春の歌」など、これでもかと作曲されています。


さて「春」とはタイトルが付いていないけど、明らかに春をイメージした曲では先ずベートーヴェンの交響曲6番「田園」でしょう。

ウィーン郊外の小川や森そして丘を背景に春が訪れた喜びを見事に表しています。唯これは自然現象の表現だけでなく、

心の動きを描写しているところがベートーヴェンたる凄いところです。


他にはレスピーギの「ローマの松」では、ローマ独特の形をした松を通して目くるめく春の喜びや古への憧れなどを表現しています。

鳥類学者でもあった彼は3曲目の「ジャニコロの松」では夕暮れ時の鳥の鳴き声を巧みに扱っていて雰囲気を醸しだしています。


ドビッシーでは交響組曲「春」もありますが「牧神の午後への前奏曲」も春を連想させます。

ギリシャ神話のパンの神がパン・フルートを携えているので、フルートのソロをメインにボワッ~としたパステル・トーンの音楽ですが、

ニジンスキー振り付けのバレエでは淡いエロスを表現しています。

私の大好きなレオン・バクストがデザインした装置と衣装も素敵です。



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by Atelier-Onuki | 2022-04-21 00:05 | コラム | Trackback | Comments(0)
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