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エトルタを訪ねて

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サン・ラザールを出発した列車は軽快にル・アーブルを目指して走りだしました。

が・・・途中から走っては止まりを繰り返し、結局は1時間ほど遅れて到着しました。


エトルタへのバスには何とかギリギリで乗り込めました。


このル・アーブルでは印象派という名前の由来となったモネの「日の出」が描かれた縁の地で、

以前も描かれた場所を探して探索したものでした。

その時にも感じたのですが、この港湾都市は殺風景で魅力を感じませんでした。

今回もバスで街中をグルグルと回ったのですが、同じような印象でした。


さて、お目当てのエトルタにも30分ほど遅れて到着、まぁフランスですからこれ位は覚悟の上です。


バス停近くで一息を入れ高台にあるホテルを目指しました。

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なかなかの登り坂でしたが、さすが高台だけあって眺めも素晴らしいものです。

16時からのチェック・インという事で、荷物だけ預け下の海岸線へ向かいました。


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左手にはあのモネたちが描いた独特の形をした断崖が見えてきました。

以前に来た時も感動したのですが、何度見ても感動的な形をしています。

反対側の教会が頂上に建つ断崖も見応えがあります。

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海岸線のプロムナードを歩きながらあちこちから眺めたり、モネが描いた場所には絵のコピーが付いたプレートが建っていて、

フム「やっぱり上手いなぁ~」と感心していました。

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点在する露天カフェの後に茅葺の屋根を付けた可愛い船が置かれています。

今は倉庫として使っていますが、昔は牡蠣売りの小屋だったそうです。

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さて、お昼になりお腹も空いてきました。

まだフランスに着いて2日目なのに、もうお腹は“タテ飯“を求めています。

ネットで見つけていた1件だけある中華料理店に向かいました。


と言うのもフランスの中華は、とても美味しく外れたことがありませんでした。

店に到着すると古くて小さなお店、まだ店内の電気も付いていません。

恐る恐るガラス戸越しに伺っていると、いきなりドアが開き「ボン・ジュール、シルブプレー!」と

小柄な爺さんが招き入れてくれました。

もうコリャ迷わず入るしかありません。

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すぐさま「何処から来たのじゃ?」と「ジャポン!」、「ほうワシャ、ベトナムじゃ」、

「ここへ来て50年ズ~とやっていて、もう80じゃ」と、ほぅ50年前という事はベトナム戦争の真っ只中・・・

「その時、逃れて来たのかなぁ?」と勝手な想像を巡らせていました。

まぁベトナムはフランス語を話す人が多いので、きっと来易かったのかも知れません。


さて、カタカタと木の表紙の、薄汚れたメニューを持ってきてくれました。

フムフムと一通り、といっても大した数がありませんでしたが、とりあえずはお決まりの

「チンタオ」、春巻きにエビチリ、広東チャーハンを頼みました。

ビールをチビチビやりながら様子を眺めていると、奥の厨房ではどうも爺さん一人で調理をしているようです。

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最初に出てきた春巻きは一般的なものではなく、どうも生春巻きの皮をそのまま揚げているようです。

それに大量のサラダ菜にパクチーもセット、何とも微妙なソースには結構な量のニンジンのみじん切りが入っています。

恐る恐るこのソースに浸けサラダ菜に巻いて一口、「オッ、爺さん中々やるじゃない!」 

今まで食べた事がない不思議な味ですが、中々美味しい一品です。


続いてエビチリとチャーハンが運ばれてきました。

ちょっと小振りの盛り付けなのでぺろりと食べられそうです。

エビは小エビなのですが身が引き締まっていてチリソースの味付けも抜群、

あっさり味のチャーハンに乗せて食すと絶品の味となりました。


いやぁ、美味しく頂きそろそろお会計か・・と思ったころ、数人の客がドアを開け入ってきました。

お爺さんは相変わらず「何処から来たのじゃ?」と訊いています。

「スペインからで、全部で13人いるのだが・・・」

「オゥオゥ~」とお爺さんは慌てだしました。

どうテーブルを並べるか思案中です。


「私はもう出るから」と声を掛け、お勘定をすませましたが、あれから13人ものお客をどう一人で対処するのか、心配をしながら店を後にしました。

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まだチェック・インまで時間があるのでバス停まで戻り、観光用トラムに乗ることにしました。

ガタゴトとウネリながら教会が建つ丘の上へと向かうようです。

これは自力で登ると相当きついので、こりゃ助かります。


上に着くと、運転手がなにやら説明をしています。

お客たちは「オゥオゥそりゃ良いは・・・」とばかり皆さん下車しました。

どうもここで降ろし後から来るトラムにまた自由に乗れる仕組みの様です。

どうりで乗る前に小汚い使いまわしのチケットをくれた訳です。

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崖の上からの景色を楽しみながら、以前ここでスケッチをしたのを懐かしく思い出していました。

充分楽しんだので次のトラムで下山しました。

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ちょっと小腹も空いたので、来る途中見かけた美味しそうなパン屋でデザートをと考えました。

小さなお店ですが、並んでいるパンやケーキはどれも美味しそうです。

円柱形をしたチーズ・ケーキを購入し、バス停近くのベンチで頂きましたが、

こりゃ抜群に美味しい・・・甘さも程よく深みのある味わいが伝わってきました。

こりゃ明日の朝食もここでパンを買って海岸沿いで食べようと、心に決めました。

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やれやれやっと16時を過ぎたのでホテルへ戻りチェック・イン、

大きなシャワールームでゆっくりと汗を流し小さなテラスで暫し休んでいました。


かれこれしている内に夕食の時間になってきました。


さて、前回も行った海沿いの海鮮レストランへでも行こうかと出かけました。

ここはいかにも観光客、いらっしゃい的な店なのですが、まぁまぁ美味しかったのと気取らない庶民派なので気楽に入れます。

まだガラガラの店内では窓際の席に案内してくれました。

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さてさて、メニューには結構な種類が載っています。

店の看板からしてオマールが一押しだし、厨房前の水槽には沢山のオマールが入っていて出番を待っているようでした。


小さな前菜とメインはオマールのリゾットを頼みました。

普通オマールはそこそこの値段がするのですが、ここは良心的な価格です。

サラダのあとこのリゾットが運ばれてきました。

おぉ何とオマールが一匹ドンと入っています。

尻尾の身の部分はタップリとリゾットの中に入っていて、その大きな身は噛み応えもあるし、

味はしっかりとオマールの出汁が利いた深みのある味付けで、思わず「こりゃ美味い!」と感嘆するほどでした。

ゆっくりと食事をし、店をでましたが未だ未だ明るいままです。


海は既に引き潮で随分と波打ち際が後退しています。

この辺の海の満ち引きは激しく、モンサンミッシェルでは干潮時には島へ歩いて渡れるほどです。


一旦ホテルへ引き返し、夕日が射しだすのを待ちました。

やっと夕日が差出したので再び海岸へ向かいました。

この岸壁に当る夕日の色を見たかったからです。


波打ち際には何人かの釣り人が竿を投げ込んでいます。

丁度、正面から夕日を浴びる教会がある断崖は薄いオレンジに染まり出し良い雰囲気をかもし出しました。

左側の断崖はその形のエッジ部分が染まり、シルエットをくっきり浮かびあがらせていました。

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ボーッと何時までも眺めていられそうです。

旅の疲れもあり、この夜はグッスリとよく眠れました。


さて、良く眠れたようで翌朝は朝早くから元気、そうそうにホテルの裏側から左側の断崖へ登ることにしました。


ダラダラとした草むらの上り道は海風に吹かれながら心地よい散歩です。

所々で写真を撮りながら登っていきました。

まだ朝早いので人影も疎ら、というか殆ど見かけません。

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頂上が近づくと先端へは橋が架かっていて、ちょっと渡るが怖そうです。

でもここまで来ると景色もパノラマの絶景だし、裏側の断崖も見ることができました。

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とても心地よい朝飯前の散歩でした。


さぁパン屋だパン屋、ダラダラと下り街中を一目散、パン屋を目指しました。

バケットもちょうど半分位のサイズがあったので迷わず購入、近くのスーパーへ戻り

チキン入りのサラダと自動プレスのオレンジ・ジュースをゲット、再び海岸を目指しました。

海岸線も人は疎らなので端っこのベンチにドッカと座り、準備万端、

バゲットを縦に裂いてここへサラダを投入、ガブリと一口、「オォ何と美味しい事か・・・」

こんなスーパーで売っているプラスティック容器に入ったサラダなのにもの凄く美味しい、野菜にしっかりとした味があり、甘みすら感じます。


タップリと朝食を堪能し、さぁダラダラとパリへ戻る事にしました。


エトルタ・・・また近いうちにあの人懐こいベトナム人のお爺さんに会いたいなぁ・・・



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by Atelier-Onuki | 2022-07-11 23:29 | フランス | Trackback | Comments(0)
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