![]() パリにいた画家たちの多くは家族が出来たこともあり、パリを離れ郊外へと引越しして行きます。 それには、絵の題材をもっと求めていったのと、大きな家に住むには家賃の高いパリを離れるしかありませんでした。 それには鉄道の発展が彼らを後押ししたようです。 モネもパリの北、10kmほどにあるセーヌ沿いの町アルジャントイユへ引っ越しますが 絵の売り上げは思わしくなく苦しい生活を余儀なくせれていました。 そんな折、彼の絵を買ってくれていた百貨店の経営者オシュデが倒産し、雲隠れをしてしまします。 仕方なく彼の大家族を引き取りオシュデが持っていたヴィトイユの家へ引っ越し、奇妙な生活がはじまります。 その頃からやっと絵も売れ始め、いよいよジヴェルニーへと引っ越します。 ここは今では説明の必要がないほど有名な観光地となっています。 淡いピンク色の母屋には中央にバラのトンネルがある広大な庭に包まれ、モネは花の種類や植える場所まで事細かに指示をしていたそうです。 ![]() そして庭の端っこのトンネルを抜けると道路を挟んで奥には、睡蓮が咲く池のある広大な庭園へと拡張していきました。 絵描きにとってモチーフを見つけるのは大変な作業ですが、彼は何と自宅内に毎日描いても飽きないモチーフを作ってしまいました。 ![]() 浮世絵にも深い関心があった彼の母屋にはたくさんの浮世絵が飾られています。 この睡蓮の池にも念願だった太鼓橋を作り藤で覆われるまでにしました。 ![]() この頃には世界中から絵の購入者たちがやってきましたが、 日本からも現在、西洋美術館に展示されている絵画を買うため松方幸次郎や大原美術館にある睡蓮を購入する為、児島虎次郎も訪れています。 そしていよいよフランス政府の要請により、オランジェリー美術館の壁画制作に臨みます。 もう85歳になっていたモネは完成させる自信をなくし、断っていたそうですが、 時の文化相だったクレマンソーに脅し宥めながら何とか制作に掛かりました。 楕円形をした大きな展示室2部屋分の壁画は見事なもので、その手が届くような距離感で描かれた情景は まるでジヴェルニーの庭に迷い込んだように包みこんでくれます。 これはヴァチカンのシスティーナ礼拝堂に描かれたミケランジェロの大作「天地創造」に因んでパリのシスティーアン礼拝堂と言われています。 85歳まで生きただけでも偉いのにこんな大作で名画を最後の力を振り絞って描きあげたのには敬服の念しか沸いてきません。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ご挨拶 パウル・クレーの作品に「Hauptwegund Nebenweg」という小さな絵があります。 これは人が歩むべき中心となる道もあれば、その周りの脇道も絶妙に絡みあっています。 そんな「寄り道」の面白さについてお伝えしてきましたが、今回をもち最終回とさせて頂きます。 長い間お付き合い頂いた読者の皆様には感謝と御礼を申し上げます。
by Atelier-Onuki
| 2023-12-19 21:39
| コラム
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