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バイエルン国立歌劇場 Tannhaeuser 2012年9月29日

今シーズン初回のオペラはタンホイザーでした。

バイエルン国立歌劇場 
【Tannhaeuser】
2012年9月29日(土)

指揮:Kent Nagano
演出:David Alden
舞台装置:Roni Toren
衣装:Buki Shiff

Hermann : Christof Fischesser
Tannhaeuser : Robert Dean Smith
Wolfram von Eschenbach : Matthias Goerne
Walther von der Vogelweide : Ulrich Ress
Biterolf : Goran Juric
Heinrich der Schreiber : Kenneth Roberson
Reinmar von Zweter : Christoph Stephinger
Elisabeth : Anne Schwanewilms
Venus : Daniela Sindram
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以下は私の個人的な嗜好に基づく評価ですので
含み置きの上ご参考ください。

演出:☆☆☆★★
装置:☆☆☆★★
演奏:☆☆☆☆★
歌手:☆☆☆☆★

演出は昨今流行りのモダンなスタイルだったけれども、嫌味のない、好感が持てるものであったと思う。当然ながら装置もモダンで、簡素なスタイルながら、登場人物が場面転換の動きにも積極的に組み込まれたものでさり気ないシーン展開がなされていた。
演奏は、ナガノの指揮でキビキビと活気のあるテンポで、細部まで気を配られたよく引き締まった演奏だった。歌手もゲルネはじめ、レベルの高いものであった。
ただ、まるで生贄のように横たわっていた牧童役の少年の設定が何を意図しているのか少し理解に苦しむところか…。 

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by Atelier-Onuki | 2012-09-30 19:10 | オペラ | Trackback | Comments(0)

ウィーンの年末年始 2

処でニューイヤー・コンサートは、
公演の10日前にチケットが売り出されるとの情報を得ていました。
未々インターネットなど無い時代でしたから、情報を得るのも一苦労。
しかもウィーン特有の曖昧さ・・・この年も何枚売り出されるか、不透明。
なんとか200枚位売り出されるとの噂。

当然前の日から楽友協会のチケット売り場に並ぶのですが、
この厳しい寒さの中、ずっと外で並んでいるのは大変です。
このため、誰が考えたのやら、地元の人々の間では
点呼システムが確立されていました。

並んでいる順番にノートに番号と名前を書き込み、
時間を決めて点呼をし、その時本人が来ていないと
ハネていくと云う仕組みでした。

それも夕方から、夜11時、夜中3時そして朝6時の点呼という
なかなか厳しいスケジュール。

最後の点呼、朝6時の時点でやっと
手作りのナンバー・チケットを手に入れることができます。
朝10時頃だったか、チケット販売開始時間にチケット売り場へ行くと、
入手済みのナンバー・チケットに記載された順番通りに、
みんな順序良く並ぶことが出来るようになっていたのです。
地元の人々の情報に精通していないと難しかったこのシステム。
実は後に、あるオペラの公演の際、物議を醸し出すことになるのです…。


さて、我々は仲間と一緒に楽友協会の近くに住む作曲家Iさんのアパートで
合宿をさせてもらい臨戦態勢に入りました。

夕方並んでいますと見知らぬ日本人が寄って来て、自分は旅行会社の人間だが、
チケットを代理で買ってくれないかと尋ねて来ました。
規則では一人2枚まで買えるので、その内の1枚を売って欲しいとのこと。
出来るだけ良い席で、謝礼としてチケット額面プラス3000シリング
(当時にして3万円くらい)を払うとの事なのです。

貧乏生活をしていた我々は当然ながら二つ返事。・・・
そこでフッと先出、絵描きのKさんを思い出しました。
そうだ彼にも連絡をしてあげよう、という事に。・・・
もう待つ間もなく彼もソソクサとやって来ました。

ドキドキしながらも一晩の苦労の甲斐あって
皆な無事にチケットを購入できました。
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そしたら無欲なKさん「僕は2枚とも譲ります。」との事、
「それでは気の毒だから、この一番安いチケットを上げます。」と旅行社の人。
でも、着て行く服が・・・
結局、彼は謝礼の6000シリングを元手に
仕立屋で一張羅をあつらえて、当日に備えました。

普段の演奏会とは違い、たくさんの花々で飾られたホールは華やかで、
改めてお正月気分も高まります。
この年はマゼールの指揮で、実に楽しく大いに満足させて頂きました。

この頃はまだ長閑で終演後にこの花々を持ち帰る事ができました。
何と楽団員の人達まで混じってステージ上の花を集めていたのですよ。
のんびりした時代でしたね…。

さて、このKさんは、その人柄がにじみ出たような、
精密で素朴なエッチングを描いていたのですが、
この純朴で欲のない性格が故に、後にまたラッキーな事が訪れて来ます。
この事は又別の機会にでも書きたいとなぁと思っています。

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by Atelier-Onuki | 2012-09-26 23:49 | ウィーン | Trackback | Comments(1)

ウィーンの年末年始 1

私がウィーンへ来た頃は今よりもずっと冷え込みが厳しく、
まだ11月でも道路は真っ白でカチカチに凍っていました。

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建物もまだ煤で汚れたままの状態で、街全体が、
まるでブリューゲルの「雪の中の狩人」を
思わせるようなグレートーンで包まれていました。

それでも暮れから新年にかけては、音楽ファンには
ワクワクするような楽しみがあります。
それは、大晦日に国立歌劇場で上演される恒例の「こうもり」と、
元日に楽友協会で行われる「ニューイヤーコンサート」です。

「こうもり」はこの歌劇場が上演する唯一のオペレッタで、
筋書きはよく知られていますし、
何度も観ているウィーン子は沢山いるのでしょうが、
歌手も素晴らしい人たちが出演し、舞台装置もとても豪華で、
これを観ないと年が越せないなんて人たちもいます。

立ち見のチケットですら手に入れるのはとても難しく、
公演前夜の早い時間から、凍てつく厳寒の中、
まるまる一晩並んでやっとチケットを手に入れることができるのです。
私は パルテレ と云って平土間奥のとても良く見えるエリア
(もちろん立ち見です) のチケットが買えました。
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チケットを買った後もまだまだ油断はできません。
今度は場所の確保をしなくてはならないのです。

一応はチケットを買った順に列になっていますが、
開場と同時にみんな我先とばかり良い席を探し走り出します。

結構前の方に並んでいたはずなのですが、パルテレに入ってみると、
何故かもう既に、前方の良い場所に子供やおお婆ちゃん達がいるではありませんか?
一体どうやって先に入れたのでしょうか???
このシステム、未だに不明です。

立ち見席…ではありますが、お婆ちゃん達は10分と立ってはいられず
大抵は腰をおろして聴いています。
しかし、曲が良いところに差しかかると「よっこらしょ」とおもむろに立ち上がり、
自然と足がステップを踏んでいます。
きっと昔は、彼女たちも上手に踊れたに違いありません。

この日は、ヤノヴィッツやクンツ等、素晴らしい歌手が出ていたのですが、
なんといっても、グルベローヴァ扮するアデーレには、あまりの上手さに唖然とさせられました。

シャンペンなどを飲むシーンでは本当に飲んでいるのではと思えるほど、
皆さんノリノリの演技で大盛り上がりのまま終演しました。

この年はステファン広場に大きなスクリーンが設置され、先程までこの「こうもり」の
ライヴを流していたそうで、今は広場の模様が映し出されています。
何万人いたでしょうか、溢れんばかりの人達が集まって来ました。
いよいよ0時のカウントダウンが始まり、皆大声でカウントをしています。

おもむろに内ポケットからシャンペングラスを取り出す紳士、勢い良く瓶を振っている若者達。

・・・drei,zwei,eins,null!!

一斉に降り注ぐシャンペンの雨、花火の炸裂、キスの嵐、
それを狙う人、護る人で大騒ぎです。
フト気が付くと何処からとなく微かに聞こえてくる妙なる調べ、・・・
そうゆったりと「青きドナウ」が流れだしていました。
人々の体は左右にと動き出し、自然にできた輪はだんだんと広がり
とうとう広場にいる全員の大円舞へと盛り上がっていきました。
曲はワルツからポルカへと移るにつれ、輪も小さなグループになりだした頃には、
もうすっかり踊り疲れて其々が家路へとつきました。

このお話はもうちょっと続きます。

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by Atelier-Onuki | 2012-09-25 01:08 | ウィーン | Trackback | Comments(0)

待ちに待ったウィーンでの初めての演奏会 2

興奮冷めやらぬまま休憩を終え、後半のプログラムに入ります。
他のお客さんもどこか落ち着きが無く、張り詰めたような緊張感が
ホールを包んでいました。
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次はクリスティアン・ツィマーマンとの
ブラームス、ピアノコンツェルト1番でした。

冒頭ティンパニーが激しく打ち鳴らされ、高揚した弦楽器が更に興奮を高めます。
コントラバスなどガリガリと松脂が飛び散ちるかのように激しく低音を唸らせています。
もうホール全体が大きく揺れ動いているようで、
その音の洪水に包まれた私はもう圧倒されて、腰が抜けそうになりました。

一方、ピアノの前に座っているツィマーマンはまだ若くて
今のような髭など生やしてなく、青白い、か弱そうな青年でした。

活力溢れるバーンスタインがウィーンフィルと生み出す壮大な音楽に、
このか細い青年はどう対抗して行くのだろうか、不安さえ覚えました。

オーケストラの序奏が段々と静まり、いよいよピアノがソロで弾きだされます。
これは相当気合をいれて弾きだされるのかなぁと思いきや、
いや実に静かで落ち着いた歩みで弾きだし何の気負いも感じさせません。
淡々としながらもしっかりとした音でクリスタルが輝いているようです。

音楽が進むにつれ、スピード感やスケールも充分に保っています。
このオーケストラをバックに最後まで堂々と弾きながらも、
決して正統なスタイルを崩さない彼の演奏には感嘆させられました。

後にある雑誌で読んだのですが、実はこの時彼のピアノが手違いで届かず、
やむなくこのホールのピアノを使用したそうですが、気に入らない部分があったそうです。
そんな事もあったのか、20年程経ってベルリンでライヴを再録音しますが、
私には何処にそんな不満があるのか全く分からない素晴らしい演奏でした。

当時、日本のLPの売り上げは世界でトップクラスを誇っていました。
世界有数のレコードレーベルが存在するドイツ等、ヨーロッパ諸国では
何故かLPの売上数はそれほど多くありません。
ウィーンでも記念として年に2・3枚くらいしか買わないのだと、どこかで読んだ事がありました。

日本では有名な海外アーティストの来日公演があると、来日記念と称して
そのアーティストが録音した演奏会と同曲のLPが沢山販売され、実際私もよく買ったものです。

後日、ウィーンのレコード屋さんで、
この日の演奏会のLPを見つけてふと気がつきました。
ウィーンの人々は、実際に自分が行った演奏会で録音されたLPを、
自分が共有した素晴らしい時間の記念として購入しているのだと云う事を。


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by Atelier-Onuki | 2012-09-17 23:10 | ウィーン | Trackback | Comments(0)

待ちに待ったウィーンでの初めての演奏会 1 

とうとう憧れの楽友協会での演奏会のチャンスが、ウィーンでの生活をはじめて
比較的すぐにやってきました。それは1983年11月末のことでした。a0280569_219733.jpg
当時、ウィーンでやはり一人で暮らしていた絵描きのKさんを誘い、
初めてのウィーンフィル定期演奏会へいそいそと出かけました。
しかも指揮者はバーンスタイン。

最初はハイドンの88番のシンフォニーでした。
まず、出だしから、今まで聴いたこともない、
柔らかくてどこまでも深みのある音には唖然とさせられました。
これまで日本でもウィーン・フィル、ウィーン・フィルと馬鹿みたいに
惚れ込んでいたこのオーケストラ、沢山の演奏会にも行き、数えきれない程の
録音をLPで聴いてきました。
しかし、私の想像を遥かに超えた響きがホール全体を満たしていました。
楽しく躍動感溢れるハイドンは、一気に終楽章まで進んでいきました。
演奏が終わった後も拍手は鳴り止みません。
もう数度も挨拶に現れた彼は、とうとうオーケストラの方を振り返ると、
先程の4楽章がまた鳴り出しました。
えっ まだ休憩前なのに…
こんなことって今まで体験したことがありません。
それに指揮者を見ると彼はオーケストラを前に微動だにしないまま最後まで
演奏しきりました。
これには観客も興奮気味で更なる拍手が鳴り響きました。

これは後日、テレビでこの日の演奏会の録画を見る機会があったのですが、
バーンスタインは手を使わずに、なんと目だけでオーケストラを指揮していました。

かつてバーンスタインがウィーンに初めて登場したときは、
街中で大騒ぎだったと雑誌で読んだことがありました。
記念すべき初めての演奏会では、彼の得意なマーラーの
確か「大地の歌」をとりあげています。
当時既に、マーラーの第一人者だったバーンスタインですが、
ウィーンフィルを前に奢ることなく、
「私は、皆さんからマーラーを学びに来ました。」と語ったそうです。

それから年月が過ぎ、そんな余興でこの誇り高きオーケストラを振れるまでに、
彼らから愛されていたのだなと感慨深く思いました。

そしてプログラム後半へと続きます。

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by Atelier-Onuki | 2012-09-10 02:20 | ウィーン | Trackback | Comments(0)